晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

雨読 災害・崩壊・津波地名解(2) 5/20

2016-05-20 | 雨読

2016.5.20(金)快晴 

 本書を読んで、今までに考証した地名について再確認できたものや、新たな発見が出来たものがあるのでいくつか紹介してみよう。
白垣(しれがき・綾部市五津合町)
  白(シロ)は土砂崩れや地滑りあるいは洪水により運ばれた土砂に埋まった地。 
  垣(カキ) 川の沿岸、川の蛇行する地の近くや急流が曲流している様な崖地に見られる地形。

 かつては崖崩れや地滑り地を色(赤、青、白)で表しており(赤禿、青崩など)垣は崖を表すものとして考えていたが、白が洪水により運ばれた土砂を表すとすれば、白垣とは洪水によって運ばれた土砂が堆積して出来た集落という風にも考えられる。特段目立った崖崩れが無いようならこの方が説得力がある。

畑口川が山裾を流れている、土砂が堆積した段丘上に白垣はある。「丹波負笈録」には白屋垣とある。また違った意味も出てくる。

何鹿郡(いかるがぐん・丹波国の郡、ほぼ現在の綾部市)
 元は如何留鹿、以何留鹿などと表記されていたものが二字佳名 の詔によって何鹿郡となったという説もある。鵤(いかる・鳥の一種)がこの地に多いからという説が一般に流布されているが(綾部市史など)イカルはどこにでもいる鳥で一つの地方に特徴的に多いとは考えにくい。現在の状況を見ても綾部市の鳥として指定されていて、イカル情報などのイベントがなされているが特段この地方に多いということはない。
 本書では、「いかり〈碇、狩、五十嵐、五十里など〉多くは川のそばで見られる地名で、イカルは怒る、あふれるという意味をもち、洪水などによりたびたび被害を受ける地、水はけの悪い地をいう。」とある。郡名などは佳名という意識があり、災害地名などありあえないという考えもあるかもしれないが、由良川の貫流する何鹿郡の状況を見る限り、鳥のイカルよりは信憑性があろうというものだ。

大栗(おぐり・おおぐり)
 大栗峠の栗地名は崩壊地名ということをかつて書いたが、志古田道の崩壊を見てまさにその事が実証されたと思うが、綾部市忠町の大栗はその実感がなかった。

上林川左岸、須呂橋のたもとから上流部分が大栗である。大きな栗の木も見えるが関係はない。

 支流の上流は地滑り地形となっているが(防災科学研究所)上林川沿いの大栗については至って静かなところで、災害、崩壊という感じはしなかった。ところが忠出身の方に伺っていると、「大栗の先は上林川の流れが狭くなっていて、大水の際には濁流が渦巻き忠の集落まで逆流して水害を及ぼした」ということであった。南側の支流からの水と併せて壮絶な光景が現れたのだろう。栗はクレ・クル(崩れる・えぐられる)が訛化されたものといわれるが濁流がクルクル渦巻いている様子も栗と表現されたのかもしれない。おわり

【今日のじょん】先日の続き、プレート田村さんにも寄ったので、マウイちゃんの様子などお見せしよう。

食べ物に対する執着心はじょん以上である。「この根性マケテルナ、、、、」

 

コメント
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