晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

地名のこと(9) 2/14

2012-02-14 | 上林地名考

2012.2.14(火)雨

 イノハナが鋳の花で鉱物と関係があるとしたら、日吉や京北のマンガン鉱銀座にその地名があるはずだ。地名辞典で小字を辿ってゆく。ついでに鉱山地帯の大江方面ものぞいてみる。どんどん出てくれば、やっぱりということになるのだが、全然見当たらない。やっぱりダメかと再度見て行くと京北町(現京都市右京区)下黒田に井ノ花、井ノ花谷を見つける。このあたりもマンガン坑地帯なのだけど、これだけでは鉱物との関連を語ることはできない。
 そんなとき鉱物関係のあるブログで丹波に於けるマンガン鉱の鉱脈についてのことが書かれていたのを見つける。丹波のマンガン鉱は京北、日吉あたりが最も濃いが西進すると猪鼻(京丹波町)のあたりで一旦途切れるというような内容だった。
京都大学の日下部吉彦氏の「丹波山地のマンガン鉱床」という論文が公開されており、そのマンガン鉱床分布図を見ると、そんな感じかなあということが解る。
 となるとだ、これは可能性としてはかなり薄いのだが、イノハナ=鋳の端という意味も考えられそうだ。
 昨年猪鼻を訪れた際には、マンガン鉱山のことなどさらさら頭になかったから、聞くことも無かった。この地がマンガン鉱脈の端ということならば、端の鉱山があるはずだ。とその時あの地名の謂われとなっている猪鼻岩のことを思いだす。猪の顔に似ているから猪鼻と付けられたという地名はあとからこじつけられたものとばかり思っていたが、ひょっとしたらあの猪の鼻は過去の鉱物の試掘の跡ではないだろうか。そういえば自然のものでは無いような気もしてきた。雪が解けたら現地を訪れてみよう。猪鼻にマンガン坑があったのかどうか、鼻の穴に入って何かの跡でないか観察してみたい。
Img_3164  
この穴、人工的に掘られたものなら事件である。


 とまあ地名の探究というのは次から次へと疑問が拡がり、遂に一点に凝縮するなんてことはあり得ないのである。

今日のじょん:屋根の雪が少なくなって、じょんのびアルペンルートが開通した。雪が解けるのは嬉しいことだけど、じょんの遊び場所が少なくなるのはチト寂しい。P1010032 P1010044
 

ビフォアーアフター

  

 

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雨読 鉄の語る日本の歴史(上) 2/13

2012-02-14 | 雨読

2012.2.13(月)曇、雨

 鉄のことを知りたくて色々の本を読むのだが、どうも頭に残らない。何度か読み直せば良いのだけどそれもしゃくだ。というわけで新たな本を読むことになる。そのうちに頭の記憶装置に保管されることになるのだが、今度はそのデータを取り出すのが一苦労となる。
 「鉄の語る日本の歴史(上)」飯田賢一著 そしえて文庫一九八二年第五刷 定価一八〇〇円 購入価 六〇〇円
 鉄に関する技術史の本である。世界に於ける鉄の発見から、日本のにおける明治の国営八幡製鉄所設立までの技術史である。それ以降現在に至るものは下巻に記されているのだが、わたしの目的には沿わないので当分読むことはないだろうから上巻についてのみ報告しよう。P1010049
 本書の良いところは「鉄の生活史」窪田蔵郎著と同様、著者のポリシーがしっかり表れていることだ。技術的なこと歴史的なことは充分語られていても著者がどのような考えを持っているのか書かれていない、教科書のような本が沢山ある。そういう本は読んでいてもつまらないし、読んだ後の感動も起こらない。
 飯田氏は技術史、思想史の専門家ということだが、金属に関する研究もされており、鉄に対する思い入れもあるようだ。
 人類の長い穴居、狩猟生活から定住、農耕生活に変わったきっかけは鉄の発明にあるのではないかと言っている。日本に於いても、登呂遺跡に見る無数の木製品をみてもその製作に鉄の道具があると推測されるのだ。鉄の製作は農業と同時期、あるいはそれ以前とも言われている。ただ一般の歴史の認識では、鉱業は新しいもので、まず農業が芽生えたというふうになっている。この一般論に反論されているところに著者のポリシーを感じるのである。
 また明治新政府の鉄鋼にかんする政策については、技術者を無視した政治家の手法を鋭く批判している。わたしはあらゆる分野で明治新政府の欺瞞性、野蛮性、無能力、官僚主義を批判してきた。大成功をおさめたかに思われている鉄鋼興産の分野でもそうであったかとおもわされる内容であった。
 技術的なことで、古代の鉄製品の原料について化学分析などを通して書かれているが、実は各書によって主張が異なるのである。わたしが知りたいのは原料が砂鉄であるか鉱石であるか、はたまた国内のものであるか海外のものであるかということである。大きくはマンガンの含有率によって語られているのだが、各書によって結果が正反対のものとなっているのは、含有率だけでは言い切れない部分があるのだろうか。
 また、一六世紀に描かれた重文の『職人尽絵屏風』の鍛冶師の絵に芭蕉らしき木とカナリアらしき小鳥が庭先にあることに言及されている。貧しい鍛冶師にとって、風流のために飼っているものとは思えない。どちらも鍛冶の仕事に関係するのではないかと鋭い観察をされている。芭蕉に特に空気を清浄する効果があるとは思われないが、カナリアは鉱山内で有毒ガスの感知に使われていたと聞く。いずれにしても氏の観察眼の鋭さに感服する。
 余談ではあるが、文中に釜石地方の餅鉄(もちてつ)と呼ばれる70%近い鉄分を含む鉄鉱石のことが書かれている。餅鉄は低温で還元が出来、良質の銑鉄が得られるためたたら製鉄以前の古代の製鉄が行われたのではないかと言われている。わたしはもち鉄の現物は見たこと無いのだが、一昨年上林川で採取した石が実はそれでないかと思っている。P1010051

ずしりと重くて、強力な磁性がある。



 今日のじょん:ゆきパパが「じょ~んお土産屋で」と言って長座布団を持ってきてくれた。わたしのイ草の座布団が破れてきたので、こりゃいいやじょんにやらんと使っちゃおっとおとうの場所に敷いておいた。ところがだ、ふと見るとじょんがくんくんと嗅いだと思ったらクルクルすとんと座り込んでしまった。どーも自分がもらったと解ってるみたいだ。。P1010045P1010046
  



 しゃーないなあ、返したらあとばかりにじょんの場所に敷いてやったら牢名主のようになってしまった。P1010048

 

 

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