晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

地名のこと(5) 2/4

2012-02-04 | 上林地名考

2012.2.4(土)晴

 地名というものは自然科学のように、証明してしまえば一応の結論が出るわけでない。考え抜いたあげくに、これかもしれないなあと数点を候補に挙げても、いつまでもあれで良かったのだろうか、これで良かったのだろうかと考えてしまうのだ。そのことが新しいアイデアを生む、そして新たな発見をするわけだ。
 とまあ抽象的なことを言っても何のことか解らないだろうから、具体的に「猪鼻地名」を使って紹介してみよう。
 猪鼻(いのはな)は上林と若狭をつなぐ猪鼻峠から探索が始まった。まず峠の麓に猪鼻という地名が無いかと探るのだが、上林側には無いようだ。若狭側はどうかと調べるが、実は角川日本地名辞典福井県に高浜町の小字名は記載されていない。自治体の協力がなければ記載できないということなので致し方ない。なんらかの方法で調べたいがまだ調査できていない。府県をまたぐ調査は困難なことが多い。
 若狭郡縣志なる文書に猪鼻嶽の記述を見つける。おそらく猪鼻峠と坪坂峠の間のピークかと思うのだが、これが峠名の由来かもしれない。いずれにしても猪鼻の意味はなんだろう。Img_2720
 
猪鼻峠、この尾根上に猪鼻岳がある。


 船井郡瑞穂町(現京丹波町)に猪鼻がある。顕著な猪の面をした岩窟があり、地名の由来とされている。浜名湖の北西に猪鼻湖がある。ここにも湖名の由来となった猪岩がある。どちらもユーモラスな鼻が特徴的で憎めないのだが、地名の語源としては考えにくい。つまり猪鼻地名は全国各地にあるかなり普遍的な地名なのである。そしてその総てに猪を表す岩なり景色なりあるわけではない。なにか共通した語源があるのだろうけど、それがつかめない。Img_3164
 
猪鼻の由来のユーモラスな岩は、単なる付会ではないかもしれない。(乞うご期待)


 まず柳田国男氏の説を見てみよう。「地名の研究」に竹鼻について書かれた文に添えてあるのだが、一向に要領を得ない文章ではある。

 それからまたこの県西部から美濃にかけての地名に、竹の花・竹の腰という字名が、かなり多い。これなどもやはり軍略の必要からでたもので、実際に竹藪を立てて遠望をさえぎり、または人工的に一つの切処を設けたものかと思う。関東にも同じ地名があり、また竹を多く植えていた。ハナは塙であって川の岸などの迂回しなければ近よれない地形であった。イノハナというのも似たような場所で、やはり目かくしの竹を植えていたのだが、交通機関が改まって今は必要もなく、不便ばかり多いので、おいおいにこれを伐り去り、一つの田舎の風物の特徴が消えかかっている。(地名と歴史 八)

 竹鼻と猪鼻を似たような場所と言っているが、ハナは塙を表すという。塙は小高い丘などを表すのだが、竹の植えられた小高い丘が竹鼻なら、猪鼻は何なのだ。
 山科区の竹鼻、東近江市の竹鼻、岐阜羽島市の竹鼻を見てもいずれも平坦地であり、塙という感じでは無さそうなのである。

今日のじょん:今朝は1月25日の最低気温-7℃に迫る-6℃だった。雪の表面が凍てて硬くなっている、これがじょんが好きなんだなあ。ところが中は柔らかいもんだから、ズボンズボンと沈んで、笑ってしまう。P1000976 P1000979 P1000981   


 

 

コメント
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