東京にいる利点は様々ですが、私にとって最大なのは、演奏会や美術展など、エンターテイメントが日本一充実していることです。というわけで、東京にいる時は、なるべくこのメリットを享受したいと思っています。
今日はヤマハ銀座のコンサートサロンにて、ジェラール・プーレと川島余里両氏によるヴァイオリン・ピアノのデュオを聞いてきました。プーレ氏は現代の巨匠と言える方で、お父上のガストン・プーレ氏は、ドビュッシー本人と彼のヴァイオリンソナタを初演した名ヴァイオリニストです。
プーレ氏のヴァイオリンは、現代にあって貴重な、奇しくも旅前に聞いた往年のヴァイオリニストによるCDのような、馥郁たる香りが立ち上ってくる演奏でした。
現代の演奏は(演奏のみならず文学などにも言えると思うのですが)、香りを感じさせらるものが少ないような気がします。現代社会が極めて無臭に近くなっている影響でしょうか。久々にかぐわしい音楽を堪能しました。