材料を煮終えたら,それを細かく砕きます。
理想的なのは力仕事で木槌で叩いて紙料(パルブ)を取り出すことです。手軽にやるのならミキサーを使います。ただ,ミキサーは短時間でかき混ぜることを主眼にした器具なので,限界を承知していないといけません。たくさんの材料を入れてミキサーの能力を超える使い方をしていると,オーバーヒートを起こしてしまいます。わたしのお奨めは材料が内部でダンスする程度,というものです。なお,ミキサーは使いようによってはとても危険なので,使用上の注意をしっかり伝えておくことがたいせつです。
これによって,紙料が取り出せたら,とにかくきれいに水洗いします。とことん洗います。
葉書サイズの紙を漉く場合,必要な量を団子状にしておいて,一つ分だけ水に溶きます。これに粘剤(ネリ)を加えて,紙料中の植物繊維が均等になるようにかき混ぜます。粘剤を入れ過ぎたら,(失敗ではありませんが)水が漉き枠から落ちるのに時間がかかります。
学校で紙づくりをする場合は,溜漉き法がよいでしょう。紙料を無駄なく使いきれます。流し漉き法は初心者にはむずかしく,慣れていないとたいへん。
漉き舟で漉き枠をセットします。
漉き枠の内に紙料を流し込みます。この写真はエノコログサの繊維です。
漉き枠を水から引き揚げて水切りをした後,上の枠を外します。
天日で自然乾燥する方法です。斜めにして水切りしながら乾かします。この状態の紙を“湿紙”と呼びます。
下写真の左はトウモロコシ,右はススキです。
9月とはいえ暑さの厳しい日だったので,4時間で乾きました。つづきは次回に。