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季節の移ろいに写真を添えて発信します。

吾亦紅と戦争

2009年08月23日 | 季節の便り
ワレモコウ

土手に沢山咲いていた吾亦紅が姿を消し、河原撫子が風にそよぐ景色も見られなくなった。
写真の庭に咲いた吾亦紅は、土手で咲いた物とは少し違うようだ。
みんなみんなどこへいったのだろう。
野に咲く花の名前で吾亦紅を覚えたのは早かった。
この植物の根に含まれるタンニンが毛皮をなめす薬剤として使われたらしい。
皮革をなめすといっても知らない向きが多いかもしれない、毛皮は豪華で柔らかいものと思われがちだが、剥ぎ取って乾燥された毛皮は木の板のように固い。
この板を布状に柔らかくする工程がなめしである。
戦争末期日本はあらゆる資源が欠乏した。
内地で調達できる代替資源を探し徹底調査された
その一つがなめし薬の代替品ワレモコウの根っこであった.
極寒の地で任務を遂行する兵隊さんにとって、毛皮は命をまもる必需品である。
その毛皮をなめす薬品すら底をついたのだ。
実物をかざした校長先生の訓話を聞いた生徒たちは、初めて聞く野の花の有用性に開眼し、戦地の兵隊さんの苦労を思い必死で吾亦紅を探し掘った。
しかしその根が乾燥しないうちに戦争は終わった。



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