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ススキの刃

2012年07月24日 | 季節の便り

ススキ

ススキの葉の両側には鋭い刃物が隠されいる。

子供のころ小高い山の頂付近の緑の緩やかな斜面は萱場だった。

萱場は緑の草原にススキの小群れが点在し、ススキ(萱)は茅葺屋根の材料に、青草は冬の家畜飼料用に干草にされた。

その頃 集落内には大きな茅葺屋根が林立し、どこの家でも自慢の牛や頑丈な農耕馬が飼育されていた。

萱場は集落の貴重な財産で、総じて干草平(しくさでいら)と呼び、その植生は人の手で保護されてきた。

夏休みの午後 子供達は連れだって草原に集まり、日がな鬼ごっこやかくれんぼに興じた。

ススキの刃もなんのその、刃の草むらを走り抜け、刃の突き出た薮蔭に隠れた。

日暮れ頃、小鬼達の露出している肌には、無数の擦り傷が縦横に走っていた。

五右衛門風呂に入ると傷に湯がしみて、痛みが全身を襲う、歯を食いしばり涙をこらえて膝をふるわせた。

 

 

 

 

 

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