食べごろを迎えたタラの芽
タラは不思議な植物である。
大切に育てても数年で地上部は枯れてしまう。
しかし 地下茎が四方に伸びていて、思いがけない場所に突然生えてくる。
庭続きの土手に生えるタラは、もう何十年もその生態を繰り返してきた。
昔々 山林が燃料の供給源であったころ、雑木林は10年周期で伐採され薪炭の原料となった。
再生力の強い雑木は、切り株から発芽した新芽が成長し、10年後には立派な雑木林を形成する。
伐採して1,2年後、山にはタラの木が続々と伸びてきた、長い間眠っていた地下茎が日の光に誘われて目を覚ましたのだ。
鬼の金棒のように鋭いとげに守られた2メートルの棒の先に、冠のように鎮座する芽を収穫することは容易でない。
根元から切り倒す手もあるがそれは邪道である、子ども達は食べる楽しみより、危険を伴う採取の面白さに熱中した。
特殊な芳香を発するタラは子供心に美味しいと思ったことはなかった。
数年して雑木の新芽が成長してくると、日陰を嫌うタラの林はこつ然と消えてしまう。
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