風もないのに倒れた中木
道を塞いでいたので、町会長と切断して片つけた。
貉(むじな)とアナグマは同じ動物さす言葉である。
当地では古くからムジナと呼ばれ、人を驚かす悪戯が大好きで、祖父の昔話には必ず登場した。
昔ここに住んだムジナの得意技は擬音であった。
それも大がかりなもので、大木の伐採は得意技であったようだ。
まず斧でカーンカーンと根元に切れ込みを入れる音がして、ズイコズイコと大鋸を引く音に代わる。
やがて大木がきしみ始めて、周囲の小枝をなぎ倒して地響きを立てて倒れる。
その間 住人は天狗の仕業と思い、布団を被って震えていた。
昔は屋敷内に欅や杉の屋敷林を育てていたから、それが切り倒されたと思った。
しかし 朝起きてみると、屋敷林は昨日と同じように静かに立っていた。
一昨日 夕食を食べていると突然裏山で木の倒れる音がした。
ひらめいたのはムジナの擬音である。
翌朝窓から見るとかなりの大木が倒れていた。
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