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ムジナの悪戯ではなかった話

2013年08月22日 | 季節の便り

風もないのに倒れた中木

道を塞いでいたので、町会長と切断して片つけた。

貉(むじな)とアナグマは同じ動物さす言葉である。

当地では古くからムジナと呼ばれ、人を驚かす悪戯が大好きで、祖父の昔話には必ず登場した。

昔ここに住んだムジナの得意技は擬音であった。

それも大がかりなもので、大木の伐採は得意技であったようだ。

まず斧でカーンカーンと根元に切れ込みを入れる音がして、ズイコズイコと大鋸を引く音に代わる。

やがて大木がきしみ始めて、周囲の小枝をなぎ倒して地響きを立てて倒れる。

その間 住人は天狗の仕業と思い、布団を被って震えていた。

昔は屋敷内に欅や杉の屋敷林を育てていたから、それが切り倒されたと思った。

しかし 朝起きてみると、屋敷林は昨日と同じように静かに立っていた。

 

一昨日 夕食を食べていると突然裏山で木の倒れる音がした。

ひらめいたのはムジナの擬音である。

翌朝窓から見るとかなりの大木が倒れていた。

 

 

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