50~60年ほど昔山林は貴重な財産だった。
山には成長が早く安定需要が見込めた落葉松を競って植林した。
植林山は40年で宝の山に変わる。
学校林に生徒が総出で植林したことを覚えている。
しかし目論見は外れた、その落葉松が伐採適齢期になったころ、世の中の木材需要は大きく変わっていた。
電柱はコンクリート製に主役を明け渡し、さらに鉄パイプ製に世代交代した。
建築用足場は軽量で組み立てやすいパイプ製に瞬く間の席巻された。
頼みの建築用材も樹脂が多く狂いやすい上に、安価な外材に押され、需要は途絶した。
それでも落葉松は年ごとに背丈を伸ばし胸囲を膨らませる。
そして麓の集落から貴重な冬の太陽を奪った。
落葉松の大木を切り倒し、山に恵みをもたらす落葉樹を植えようという動きもあるけれど、地域住民の手の追える作業ではない。
秋の山を覆う金色の黄葉はほとんど落葉松である。
蔦
紅葉