小さな谷間の紅葉
主業で農業をやっていた父の時代、我が家の水田から真正面にこの谷間が見えた。
普段は気は止めることもなかったが、秋が来て真っ先に紅葉するのがこの谷の木々であった。
田園は秋の農繁期、早い紅葉を眺めながらいつかは行ってみたいと思っていた。
今 それらの林はすっかり褐色になって、カラマツやクヌギの黄葉と一線を画している。
美しい死骸
自転車で走っていると、小さな出来事が見えてくる。
農道で黒光りするモグラを見つけた、すでに死んでいたけれど、その毛並みの美しさに魅せられた。
泥の中に生きる動物とはとても思えない。
多分作り話と思うのだが、モグラは日の光に触れると死ぬという。
初冬の朝の陽だまりの中で、悠々と昇天した美しい動物を見ると、あながち作り話でもない気がしてきた。