常念が見える部屋から

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季節の移ろいに写真を添えて発信します。

怪談

2010年09月01日 | 来し方



 



90年史編纂資料を手繰っている中に興味深い書簡を見つけた。

昭和35年頃から会社は、H製作所の放射線機器特約店となり、私は技術サービス担当者として新規据付や、取扱い説明、保守修理に飛び回っていた。

H製作所の東京三鷹寮に泊まって、技術革新が進む放射線機器の技術研修に何度も参加し、少しずつ実力が付いてきたように思っていた。

ところが昭和47年突然会社の方針として、放射線機器の取り扱いをH製作所からS製作所に変更するという発表があって現場は大混乱した事を覚えている。

その事について会社から詳しい説明は何もなかった。

その書簡は自筆で「過日も参上してご意向を伺った件ですが、H製作所の特約店を破棄して、S製作所の代理店を引き受けるお考えは如何ですか?」と始まった。

「もし、そのようなお考えがあるなら、悦んでS製作所との交渉の労を取らせていただきます」と続く

更に「恐らく条件としては、HよりSの方が良いと思います、HとSでは契約内容がまるで違いますので」

そして「私の6年をかけた営業活動で、Sの有力な引き合いが数多く育っています。いよいよ本年度から契約や納入が始まります、しかし 残念ながら私は資金難から、矢尽き刀折れてしまいました、もし貴社がS製作所の特約店をお受けいただけるのであれば、私の今日まで培った商権の全てを無償でお譲りいたします」

まさか こんな筋書きで大事が運んだとは思いたくない、しかし3年を待たずして手痛いしっぺ返しを受けることになる。

コメント
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