常念が見える部屋から

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季節の移ろいに写真を添えて発信します。

三九郎の思い出

2008年12月15日 | 季節の便り
山茶花

山から子供たちの手で切り倒し、引き出された、三本の主柱の先端を束ねて、5メートル程の三角錐を押し立てる。
主柱三本の基部は、地面に描かれた正三角形の頂点に掘られた穴に埋められ、離れて注意深く三角錐の傾きを透視し、確認しながら穴の深さで調整する、三九郎を作る上で最大の難事業であり、親方の采配の見せどころである。
親方といっても小学校6年生である、よくより遂げたものだと思う。
がっちりと安定した三角錐が、集落のはずれに聳え立つと、子どもたちは一斉に歓声を上げた。
次の作業は横棒渡しである、1メートル程の高さに丸太をくくりつけて階層を作り、横棒に細い丸太を並べて床として小部屋を作る。
これは建築物の強度を格段に増すとともに、階層の小部屋に助燃物として藁や萱をふんだんに積み上げるためである。
寒風の吹く中、不安定な足場の上に立って、一段ずつ重い横棒を担ぎあげ荒縄で主柱にくくりつける。
丸太同士を荒縄で動かないように固定するのは至難の業である、折角くくり付けてもその横棒によじ登った途端、下にずれて肝を冷やすこともまれではない。
こんな時、下で監視する親方から情け容赦ない怒号が飛んだ。


コメント (1)
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