らんかみち

童話から老話まで

コンビーフ赤鬼風

2010年12月18日 | 酒、食
 とある大企業の謝恩忘年会に招かれたとき、マグロの刺身を造る職人さんの包丁さばきが美しく、あれが赤身で、こっちは中トロ、それから大トロか、それにしても包丁の柄があんなにすり減っているなんて、いや大したもんだ。
 そんなこと考えながら立ちんぼしておりますと、「いつまで見てんだよ、あっちけシッシ!」という意味だったのでしょうか、頼みもしないのに大トロを皿に盛りつけてくれました。

 マグロを嫌いなわけじゃないけど、刺身で美味しい魚はほかにいくらでもあるだろうに、というスタンスです。だからあのときのマグロの種類は食べても分からなかったし、脂っこくて完食するのに往生しました。大トロって、やっぱ猫またぎだわ。

 今夜の酒の肴は「コンビーフの赤鬼風」です。今日はほうれん草の茹でたのを敷きましたが、キャベツの千切りなどを敷いた上にコンビーフを並べて赤鬼の顔に見立て、真ん中に目玉となる生卵を割り入れて電子レンジにかけます。卵の白身が変色し始めたら取り出し、七味をふりかけていただきます。醤油をかけてもいいですが、ニュー・コンビーフと呼ばれる紛い物が良く、本物のコンビーフは加熱時の牛臭さが気になるかもしれません。

 赤鬼の目玉をイメージした分かりやすいネーミングですが、本当は見た目の印象とは関係なく、場末の飲み屋で「赤鬼」とあだ名される労働者が毎晩これを食っていたのです。赤鬼の亡き今でも、場末の飲み屋で「コンビーフの赤鬼風」とオーダーしたらこれが出されるはずです。大トロなんてぼくには似合わない。こっちの方がよっぽど酒がすすむのです。

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