らんかみち

童話から老話まで

そばもん(ビッグコミック)

2009年02月17日 | 酒、食
 ビッグコミックといえば麻生総理も愛読するらしい隔週で発行される漫画誌で、ぼくも「黄金のラフ」(裸婦のことじゃなくゴルフの話)を読んでます。このコミックは一国の宰相が読んで恥ずかしくないほど充実した内容で定評がある、かどうかしらないけど、最近「そばもん」という、脱サラおじさんがそば職人を目指して悪戦苦闘する様子を描いた話が登場して、その店の名が「夢屋」。まさかぼくの通っていたそば屋がモデルだろうか、と読み始めたけど違ったようです。
 
 夢屋さんは(あえてリンクを張りませんけど)ぼくの先輩格に当たる方が脱サラして始めた店です。ぼくがまだそばを打たなかった頃は、美味しい店だなと思ってたんですが、自分で打てるようになった今では……。
 粉の仕入先はぼくが良く知っているそば粉専門の製粉屋さんで老舗。店主のそば打ち技術は最高なんですが、本来なら40秒ゆでる太さにするところを、30秒ゆでて丁度良いくらいの細麺に切っているのは、ゆで時間を短縮して回転を早くするためでしょう。この細さが仇となって、そばの味わいが汁の風味にかき消されてしまいがちなんです(実はぼくが切るのもかなり細い)。
 
 コミックの「そばもん」で、今回の主人公は「ずる玉」と呼ばれる、こねるときに水が多すぎた玉に粉を後から追加して、「それは切るまでもない『切らず玉』でだ、捨てなさい」と親方に一喝されてしまいます。
 そばって不思議な性質を持っていて、後から水を追加しても粉を追加しても、どちらもうまくつながらない。一発勝負というほどではないけど、慎重に水を追加して行って最後の「括り」というまとめる作業を終えた後は修正がききません。
 
 ところがところが、今回はずる玉が悪玉呼ばわりされてますが、きっと回が進んだころ再度ずる玉が登場して、「この粉はずる玉でないと打てない」なんてセリフが聞かれるはず。
 そばって、うどんと違って本当に奥深いものです。間口は広くて、そば打ち体験教室に行けば幼稚園児でもちゃんとしたそばを打つことができます。なのに自分で道具をそろえて自力で打ってみたら、そう簡単にはいかないんです。
 
 スーパーでそば粉を買って打ってみて「なぜだ、なぜつながらない!」と呆然とすることもありました。そういったそば粉の多くは、ずる玉で打って10分ほど放置することでつながるのだと知ったのは、ぼくがそば打ちを習ったずっと後のことでした。
 あの「そばもん」は絵がもうひとつ好きじゃないんですが、ぼくにとっては実用的な漫画です。たとえば、かけそば=温かいそばの麺を歯ぬかりしないようにどんなブレンドで打つか(スパッと切れるカップそばの歯ごたえが目標)を漫画に教わろうかな、と思ってます。

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