らんかみち

童話から老話まで

婚活で共倒れになる覚悟のNPO

2012年01月28日 | 男と女
 我々が婚活を主導する噂をどこで聞きつけたか、「うちも登録してもらえるんじゃろね?」と、まだオープンもしていないNPO事務所にご婦人が来られた。
「あ、そうだったね、お宅の息子さんも独身よね」
「違うがね、息子のことぢゃのうて、あたし、あたしも独身ぢゃろがね」
 冗談だろうとは思うけど、たとえお歳がいくつであろうとも、後家さんなら婚活に登録する条件は満たしているのだろう。ぼくはそれもありだと思うけど、なにしろ万事にコンサバな土地柄なもので、もし実践したら彼女は後ろ指を指されるに違いない。

 婚活ってどういう風にするのか知らない。昔そんな意図のテレビ番組が人気を博し、タイプじゃない男に手を合わせながら「ごめんなさい」と女性が断っていたのを思い出す。
 婚活というのが、例えば男が入札し女が品定めをして落札者を決定するみたいなシステムだったとして、断られた男性側のダメージはいかばかりか。煩悩満タンの20台ならダメ元でトライできようが、分別っちゅうのがブレーキをかける年代に、それは酷ってもんだろう。

 適齢期で未開封の男女が集まるならそれに超したことは無い。問題は「開封済み」のケースだろう。お互いに意気投合して付き合ってみて初めて「バツ1」が発覚すると、「聞かれなかったから言わなかったまで」となる。
 グウの音も出ない相手は「なぜ事前に公表しなかったのか」と主催者側に怒鳴り込んでくるのは無理からぬこと。
「そ、それがですね、個人情報保護法という壁がございまして……」と答え、返って火に油を注ぐ、そんなクレーム対処、オレ嫌だぞぅ!

 しかし賽は投げられた。「地域の活性化のために行政との協働」を標榜する我々に、自治体からの「婚活要請」を断るもっともらしい理由は無いし、むしろ積極的に関わるべきなのだろう。
 ルビコン川を無事に渡れる保証は無い、かといって留まれば「役立たずのNPO」という敵が迫っている。賽の目が丁と出ようが半と出ようが、倒れるまで進む道しか我々には残されていないのである。

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