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熊澤桂子「廃墟からの脱出~秘密の通路~」 ハルカヤマ藝術要塞

2012年02月10日 05時50分13秒 | 展覧会の紹介-現代美術
承前)

 Keiko Kumazawa “Emerge from Ruin ~Secret Passage~”

 熊澤桂子さんは1970年生まれ。帯広在住。

 ガラス作家だが、非常に精力的にインスタレーションの発表をこなしている。
 数年前、拠点を本州から上川管内南富良野町に、そしてさらに十勝に移した。距離をものともせず札幌での展覧会も多く、2012年2月3~5日には、札幌・モエレ沼公園でのSNOW SCAPE MOEREでも展示していた。



 2011年夏までは、形が悪いため出荷されずに廃棄されるにんじんをテーマにした作品がメーンだったが、同年夏の苫小牧でのグループ展「記憶の循環」で、屋外に、ガラスの草のような作品を設置。
 屋外の作品というと、どうしても周囲の環境に負けないよう存在感のある作品にしようとするのが普通の発想だと思うが、その正反対の作戦をとったのが、熊澤さんのさすがなところだと思う。

 自然界に生えている草は細くても、懸命に生きている。

 そういう生命に対する作者の思いのようなものが、作品が細くてささやかなものだからこそかえって、こちらにつたわってくる。そんな作品だと思う。 


 ところで、会場を道なりに歩いているうちにすべての作品を発見することができた今回の「ハルカヤマ藝術要塞」であるが、1点だけ例外があって、他人から指摘されるまで、存在に気づくことができなかった。
 それが、熊澤さんの作品のうち、廃墟になっている元ホテルの屋上に、まるで避雷針のように設置された1点である。

 1点だけ見ないで帰るのもシャクなので、わざわざ引き返して、写真を撮った。

 地に立つものと、空を指すもの。
 二つの小さな塔は、見えない呼応関係を、廃墟をめぐる空間の中に、つくりだしているようだった。 


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