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「SAPPORO UNDERGROUND NECCO」とオルタナティブスペースの系譜

2021年06月06日 13時25分46秒 | 情報・おしらせ
 これから、札幌のギャラリーおよびそれに準じる会場がさらに減っていく件について、3本続けて記事を書きます。

 パフォーマンスグループ「近未来美術研究所」の代表で、デザインの指導など幅広い活動を行っている荒木由聖さんが個人で運営してきたスペースである SAPPORO UNDERGROUND 「NECCO」が近く閉鎖されることを、1日に荒木さんがツイッターとフェイスブックで発表しました。
 最後のプログラムは6月17~23日、荒木由聖よしきよさんのご自身の個展だそうです。



 NECCO(ネッコ)は、市電の走る南1条通りに沿った高層住宅(いわゆる賃貸マンション)の一室で、たしか1LDKか2DK相当の広さなのでギャラリーとしてはいささか狭いですが、2011年のオープン以来、写真や人形などさまざまな展示が行われていました。
 文字をテーマにした「字展」、黒い作品なら分野を問わない「黒展」、「森で出くわしたくないもの展(通称「モリデク」)」など、ユニークなグループ展の会場にもなりました。
 オープンしているのは平日は夜、土日は午後のみ。「アングラ」を名乗っているだけに、上品な絵画展などではない、いっぷう変わった展示が多かったようです。

 さらに、デッサン教室やビブリオバトル、ビデオ観賞会などの会場にもなっており、さまざまなジャンルの愛好者たちの「たまり場」として機能していました。
 筆者は、足を運んでいたなかでは、最年長の部類だったのではないでしょうか。

 荒木さんはクローズの理由を明らかにしていません。
 北海道のアートの歴史に大文字で残るようなスペースではなかったかもしれませんが、個性的な小文字を書きまくっていた場所だったと思います。



 さて、表題のオルタナティブスペースというのは、しっかりした定義がないし、そもそも「NECCO」がオルタナティブスペースかどうかも怪しいのですが、この記事ではとりあえず
「ギャラリー専門ではなく、ジャンルを超えていろいろな表現が発表される場所」
ぐらいにとらえておきます。

 札幌では、1980年代、音楽やアートなどジャンルを問わない発表が行われ、いまや伝説となっている「駅裏8号倉庫」が有名です。

 近年では、山鼻地区にあった「FREE SPACE PRAHA(フリースペース・プラハ)」がまず挙げられるでしょう。
 プラハについてまとめられるほどの資料が手元にないのですが、後半は建築家の大橋さんが主体となり、齋藤周さんが壁に直接絵を描いたり、蔡 國強さんやロジャー・アックリングさんが講演したり、インディーズ映画の上映会が行われたり、武田浩志さんが卒展を開いたり、実にいろいろなことが繰り広げられていました(雑な紹介ですみません)。個人的には学生の大プレゼン大会「腕に覚えあり」が懐かしいな。
 その後、取り壊しになり、プラハも移転し「PRAHA 2 + deep sapporo」として再出発しましたが、大橋さんの若すぎる死により、活動は中断しています。

 このほか、資生館小学校の北側に「フリースペース attic」が、南1西6に「OYOYOまち×アートセンター さっぽろ」がありました。
 後者は、「北の病展」や「下品で最低」展の会場として使われたほか、札幌国際芸術祭2017の際、オフィシャルバー「OYOYO」になったほか、大友良英さんのライブが開かれるなど、めいっぱい活用されていました。



 このたび「NECCO」が閉まるというのは、それ自体もちろん残念なのですが、駅裏8号倉庫以来めんめんと続いてきた
「よくわからんけど、なんかおもしろそうなことをしょっちゅうやってる場所」
の歴史が札幌で途切れる
っていうことなんですよ。

 マズいんじゃないのかなあ。


http://www.su-necco.net/
□twitter @necccccco


過去の関連記事へのリンク(NECCO で開かれた主な展示)
黒展 vol.4 (2018)
モノクローム寫眞展 弐 (2018)

黒展 vol.3 black exhibition(2017)

黒展 2 (2016)
ABE ARISA photography exhibition 極相 (2016)

SapporoSteampunk 雪花蒸気機関展 (2015)
創作人形5人展~伽~五つの不思議な物語 (2015)
NECCO大球体関節人形展3 (2015)

森で出くわしたくないもの展 (2014)

NECCO大球体関節人形展 (2013)





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