北海道美術作家協会(道美展。道美とも略す)の第39回展。筆者は4年ぶりに見ました。道展、全道展、新道展の3つの公募展は道内では有名ですが、道美展については、美術家のあいだでもあまり言及されることがなく、このblogの読者で見に行った方も少ないのではないかと思います。
道美展は絵画、工芸、写真の3部門があります。写真があるのはめずらしいですが、この分野では「写真道展」という、道内では権威ある公募展があるためか、たとえば個展をひらいている写真家が略歴で道美展会員であることをうたっているのを、ほとんど見たことがありません。
会員、会友、一般という3段階は、他の公募展とおなじです。ただし、目録によると、ことしの会友推挙はなんと、3部門あわせて22人です。このうち絵画部門だけで10人。ちなみに一般入選は29人ですから、3人に1人は会友に昇格したことになります。すごい高率です。会員推挙は18人。なお、昨年は、会員推挙が15人、会友推挙が26人でした。2001年には会友推挙31人という記録もあります。
賞を受けていきなり会友、次の年には会員-という、他の公募展にはみられない「スピード出世」もあるようです。
こんなに大量の会員、会友が毎年誕生しているのなら、さぞかし大組織になっているのだろうと思われるかもしれませんが、目録の名簿によると、会員は、絵画部43人、工芸部39人、写真部53人。会友は順に14人、19人、25人となっています。目録には載っていませんが、かなりの退会者があることが推察されます。
また、ひとりで2、3点の出品もめずらしくありません。ただ、絵画や工芸では、おなじ作家の作品が離れて展示されていることが多く、これは見づらかったです。
4年前に、「会長」という、これまた他の3公募展にはない役職にあった原賢司さん(ライラックの絵画で知られています)は、目録によると「顧問」になっており、今回は出品していませんでした。顧問には、工芸の畠山司さん、写真の掛川源一郎さんも名を連ねています。
掛川さんは道内を代表する写真家として知られています。もう90歳を越していらっしゃるはずですが、ことしも、なまめかしい「ヒトデ」などを出品し、元気なところを見せています。
ちなみに写真はすべて全紙サイズで、モノクロは3点のみでした。題材はネイチャー、人物、祭りなど多岐にわたっています。
会員では兼田けんじさん(室蘭)「冬のトッカリショ海村」や中山茂さん(札幌)「染まる湖面」、会友では植田俊光さん(札幌)「佳き日」、一般では、イーストウエスト賞を受けた赤井博行さん(江別)「夕焼け小焼け」などが印象にのこりました。
3部門のなかでは写真部が、作品数も最も多く、活気が感じられました。
工芸は、陶芸が大半を占めています。
道展や全道展で彫刻を展示してある場所に壺や皿がならんでいます。ほかの部屋にも陳列してあります。
ただ、台の面積にくらべて点数が多すぎ、アマチュアサークルが郵便局のロビーでやってる陶芸展みたいで、いかにも狭苦しい。にもかかわらず、1人で3点出品している人がたくさんいるのは理解に苦しみます。
会員では、魚住慈子さん(札幌)、陣野原有利子さん(同)、香西毅さん(胆振管内白老町)らの陶器にひかれました。
一般では、宗谷管内利尻富士町の七戸道代さんが傾向の異なる3作品を入選させて新人賞を得ています。荘司博俊さん(北広島市)「秋景」は、口のあたりの景色がおもしろいと思うのですが、賞には漏れています。ほかに、山本しげ子さん(札幌)、渡邊一恵さん(同)、村尾賢二さん(同)の発色もおもしろいと思います。 陶芸以外では、日高管内新ひだか町の加藤一義さんの木工が、すごい。1本の木をくりぬいて作る技に感服しました。
このほか、木彫の仏像が何点もありました。
絵画は、どうしてこの人が会員なのか、この人は上手なのになんの賞も与えられていないのか-など、首をひねりたくなるような場面が多くありました。
9月12日(火)-17日(日)10:00-17:00
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6 地図G)
■2002年の感想
道美展は絵画、工芸、写真の3部門があります。写真があるのはめずらしいですが、この分野では「写真道展」という、道内では権威ある公募展があるためか、たとえば個展をひらいている写真家が略歴で道美展会員であることをうたっているのを、ほとんど見たことがありません。
会員、会友、一般という3段階は、他の公募展とおなじです。ただし、目録によると、ことしの会友推挙はなんと、3部門あわせて22人です。このうち絵画部門だけで10人。ちなみに一般入選は29人ですから、3人に1人は会友に昇格したことになります。すごい高率です。会員推挙は18人。なお、昨年は、会員推挙が15人、会友推挙が26人でした。2001年には会友推挙31人という記録もあります。
賞を受けていきなり会友、次の年には会員-という、他の公募展にはみられない「スピード出世」もあるようです。
こんなに大量の会員、会友が毎年誕生しているのなら、さぞかし大組織になっているのだろうと思われるかもしれませんが、目録の名簿によると、会員は、絵画部43人、工芸部39人、写真部53人。会友は順に14人、19人、25人となっています。目録には載っていませんが、かなりの退会者があることが推察されます。
また、ひとりで2、3点の出品もめずらしくありません。ただ、絵画や工芸では、おなじ作家の作品が離れて展示されていることが多く、これは見づらかったです。
4年前に、「会長」という、これまた他の3公募展にはない役職にあった原賢司さん(ライラックの絵画で知られています)は、目録によると「顧問」になっており、今回は出品していませんでした。顧問には、工芸の畠山司さん、写真の掛川源一郎さんも名を連ねています。
掛川さんは道内を代表する写真家として知られています。もう90歳を越していらっしゃるはずですが、ことしも、なまめかしい「ヒトデ」などを出品し、元気なところを見せています。
ちなみに写真はすべて全紙サイズで、モノクロは3点のみでした。題材はネイチャー、人物、祭りなど多岐にわたっています。
会員では兼田けんじさん(室蘭)「冬のトッカリショ海村」や中山茂さん(札幌)「染まる湖面」、会友では植田俊光さん(札幌)「佳き日」、一般では、イーストウエスト賞を受けた赤井博行さん(江別)「夕焼け小焼け」などが印象にのこりました。
3部門のなかでは写真部が、作品数も最も多く、活気が感じられました。
工芸は、陶芸が大半を占めています。
道展や全道展で彫刻を展示してある場所に壺や皿がならんでいます。ほかの部屋にも陳列してあります。
ただ、台の面積にくらべて点数が多すぎ、アマチュアサークルが郵便局のロビーでやってる陶芸展みたいで、いかにも狭苦しい。にもかかわらず、1人で3点出品している人がたくさんいるのは理解に苦しみます。
会員では、魚住慈子さん(札幌)、陣野原有利子さん(同)、香西毅さん(胆振管内白老町)らの陶器にひかれました。
一般では、宗谷管内利尻富士町の七戸道代さんが傾向の異なる3作品を入選させて新人賞を得ています。荘司博俊さん(北広島市)「秋景」は、口のあたりの景色がおもしろいと思うのですが、賞には漏れています。ほかに、山本しげ子さん(札幌)、渡邊一恵さん(同)、村尾賢二さん(同)の発色もおもしろいと思います。 陶芸以外では、日高管内新ひだか町の加藤一義さんの木工が、すごい。1本の木をくりぬいて作る技に感服しました。
このほか、木彫の仏像が何点もありました。
絵画は、どうしてこの人が会員なのか、この人は上手なのになんの賞も与えられていないのか-など、首をひねりたくなるような場面が多くありました。
9月12日(火)-17日(日)10:00-17:00
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6 地図G)
■2002年の感想
何点か目に付く絵画作品もありましたが、観覧500円ですからね…
私も写真が一番面白かったです。後は、陶芸の皿にいくつか良いものがありました(花器にはどうしても興味がもてない)。
ほんとに上手な会員が出品していないのも一因でしょうが。
今年からインターネットデビュウー
今このコーナーを見つけ、陶芸の批評を見て、自分が思ってたことと同じ視点の方がいらして、胸のつかえがおりました。なんだかまた頑張ろうと云う気持ちになりました
有難うございます。
今後ともよろしくおねがいします。
反対の視点のときも書き込んでくだすってかまいません。またあそびにいらしてください。毎日更新していますから。