ことしの紅葉はみごとな色づきで、興奮ぎみにシャッターを押す日々だ。あたたかい晴れの日がつづいたおかげだろう。
南区の或る斜面と空き地に、タンポポがたくさん咲いていた。
枯れ葉のなかにタンポポが開花しているのはおもしろい。
しかし、よく考えてみれば、キク科の植物は秋も半ば過ぎに花を咲かせるものが多い。
さて、昼から出かけて、まずスピカで読売書法展を見る。
先日立ち寄った書展の会場に、招待券が置いてあったのだ。
次いで、札幌宮の森美術館で、先日始まったSCAN DO SCAN展ギャラリートーク。
これについては別項で。
東西線で西11丁目へ。
ADPギャラリー
→札幌市資料館
→ギャラリー創
ADPギャラリーは、旧北海タイムスのビルの裏通りにある「アラゼンビル」の3階にあるギャラリーで、以前は小樽商大写真部の展覧会などをひらいていたところである。けっして新設ではない。
「G.A.A.L&北野原葉子展」がきょうまでひらかれていた。
G.A.A.Lというのは、造形作家の伊賀信さんのユニット。展示作品は、7月にギャラリー創でひらいた展覧会のときとまったくおなじだった。
北野原さんという方は後志の羊蹄山麓にお住まいの方らしい。精緻なタッチで、ススキ原などの自然を描写していた。
札幌市資料館では、水彩のグループ展ふたつを見た。
「サークル防風林展」は、森木偉雄さんから佐藤信明さんに講師が引き継がれていた。
久野省司さん「運河のある街」など、じょうずだと思った。
以前、札幌時計台ギャラリーで、川端康成の緻密な鉛筆デッサンを展示していた田中芳明さんもここのサークルの一員らしく、こんどは土門拳の写真をもとに、イサム・ノグチの肖像を模写している。相当な腕だ。これを水彩に生かしたら、どんなふうになるのだろう。
「一期一絵」展は、透明感あふれる肖像や風景の水彩で知られる函館の国井しゅうめいさんに習った人たちのグループ展だが、めずらしく、国井さんの作品はない。
佐藤孝さん「水あそび」、今井広志さん「親子で水遊び」など、濁りのない明るい画調は、国井さんゆずりだろう。
村松鞠子さんは「『秋』が来て」など3点を出品。水彩ならではのにじみをいかし、さまざまな色を散らしながらも破綻なく画面をまとめている。聞けば、使っている色は数色だという。配置がうまいのか、もっとたくさんの色を使っているように見える。
山本實さん「冬の暗い日」も気に入った。暗いといっても、国井さんの門下生だから明度は低くない。海辺に建つ単調なコンクリートの建物を根気よく丹念に、曇天の光の調子を考えた上で描き分けているのには感服してしまう。
ギャラリー創では、吉田一雄展(29日まで)。
旭川の画家で、今回は大小約40点の抽象画を展示。オールオーヴァーに模様がひろがる、明るいかろやかな作品だ。
筆者は吉田さんの作品をずっと、モノクロームだと思っていた。
それは、吉田さんの個展案内はがきがモノクロで印刷されていたがためのカンチガイであった。
お聞きすると、ことしで78歳になるとのことで、驚嘆。
とてもお若い。(ご本人も、画風も)
29歳で道展会員になったが、その後は公募展をいっさいやめて、個展中心に活動しているとのこと。札幌ではまいとし「パークギャラリー」を会場にしていたが、閉鎖されてしまったので、パークにいちばん近いこのギャラリーに移ってきたようだ。いろいろ興味深いお話をうかがった。