![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/46/283513d508778b38e33373eb2a384724.jpg)
札幌の金侑龍さん、初の個展。
個展のタイトル「bright future」は、明るい未来、という意味だ。
彼は在日朝鮮人である。
ご本人も言っていたが、「在日」が現代アートの展覧会を開くのは、おそらく道内では初めてではないか。
金さんは小学から高校まで朝鮮学校に通い、その後、東京の朝鮮大学校に進学した。
いまの勤め先も、出自に関係が深い。
もちろん、ふだんは日本語を話しているのだが、育った家庭は、朝鮮の言葉や風習をないがしろにしない環境だったという。
わたしたちはふだん、美術作品を制作したり見たりするときに、それほどナショナリティを意識しないと思う。
しかし、金さんは、そこから出発することが、アートの根底にあるのだろう。
冒頭の画像は、インスタレーション「どうかこの血が絶えないように」。
こんなキャプションが付されている。
赤く塗った針金がグシャグシャになって床の上と壁に配置され、その上に、クリスマスツリーに使うような白と青の電球がいくつもちりばめられて、点滅をくりかえしている。
正面の壁の、赤い針金には、裏焼きになったモノクロームの自画像(裏焼きといっても、デジタルなので、そういうふうに処理したということだけど)。胸にはキューバのバッジ。
床にも、ふだん撮っている写真をモノクロにして、透明なOHPシートにプリントしたものが何枚か置かれている。
「血」をテーマにしているわりには、赤が弱いのが気になるが、「光」にいのちの輝きを託したという作者の思いは感じられる。
血とか、民族の話になって、筆者が
「そっかー、ボルタンスキーがすきなの?」
と言ったら、金さんは
「いや、好きなのはハンス・ハーケです」。
いいなあ。日本にもひとりぐらい、ああいう「過激分子」?がいてもいいなあと思う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3e/9b/6c82e5e2c33e5c0003027a85c953c762.jpg)
「BRIHGT FUTURE」
と書かれたオレンジの棒。
工事現場で誘導に用いられている道具だ。
シンプルな作品。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/8e/2285afea532b0e0fb763a85e2efe5606.jpg)
「relative mind」
やはり透明OHPシートに写真をプリントした作品。
作者の友人や、周囲の人々に、ことば(日本語、英語、朝鮮語)を書いた紙を持ってもらって、正面から撮った、肖像写真7点だ。
「人・愛」とキャプションのある作品では、手にしている紙には「サラン」とあり、「戦争の終わり」では「WAR IS OVER」とあるなど、微妙に異なるのが面白い。単純に、好きなことばをえらんでもらったのではなく、作者とディスカッションの上で決めたとのこと。
道内では、アイヌ民族のアートというのは、ときおり話題になるが、在日朝鮮・韓国人のアートというのは、見た記憶がない。
金さんは今後も制作・発表を続けていくという。まだ23歳。これからに期待したい。
作家は金曜夜と土曜在廊の予定。
2009年2月2日(月)-7日(土)11:00-19:00
ギャラリーたぴお(中央区北2西2 道特会館 地図A)
個展のタイトル「bright future」は、明るい未来、という意味だ。
彼は在日朝鮮人である。
ご本人も言っていたが、「在日」が現代アートの展覧会を開くのは、おそらく道内では初めてではないか。
金さんは小学から高校まで朝鮮学校に通い、その後、東京の朝鮮大学校に進学した。
いまの勤め先も、出自に関係が深い。
もちろん、ふだんは日本語を話しているのだが、育った家庭は、朝鮮の言葉や風習をないがしろにしない環境だったという。
わたしたちはふだん、美術作品を制作したり見たりするときに、それほどナショナリティを意識しないと思う。
しかし、金さんは、そこから出発することが、アートの根底にあるのだろう。
冒頭の画像は、インスタレーション「どうかこの血が絶えないように」。
こんなキャプションが付されている。
血は全てを記憶している。
このルーツを、国の歴史を、
日々の暮しの中での小さな思い出や記憶。
僕らにとっては、それは大事な歴史
僕らに流れる血は、そんな小さなものまで
記憶しているのだろうか?
そうであるならば、僕はみんなに伝えたい
どうかこの血が絶えないように。
赤く塗った針金がグシャグシャになって床の上と壁に配置され、その上に、クリスマスツリーに使うような白と青の電球がいくつもちりばめられて、点滅をくりかえしている。
正面の壁の、赤い針金には、裏焼きになったモノクロームの自画像(裏焼きといっても、デジタルなので、そういうふうに処理したということだけど)。胸にはキューバのバッジ。
床にも、ふだん撮っている写真をモノクロにして、透明なOHPシートにプリントしたものが何枚か置かれている。
「血」をテーマにしているわりには、赤が弱いのが気になるが、「光」にいのちの輝きを託したという作者の思いは感じられる。
血とか、民族の話になって、筆者が
「そっかー、ボルタンスキーがすきなの?」
と言ったら、金さんは
「いや、好きなのはハンス・ハーケです」。
いいなあ。日本にもひとりぐらい、ああいう「過激分子」?がいてもいいなあと思う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3e/9b/6c82e5e2c33e5c0003027a85c953c762.jpg)
「BRIHGT FUTURE」
と書かれたオレンジの棒。
工事現場で誘導に用いられている道具だ。
シンプルな作品。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/8e/2285afea532b0e0fb763a85e2efe5606.jpg)
「relative mind」
やはり透明OHPシートに写真をプリントした作品。
作者の友人や、周囲の人々に、ことば(日本語、英語、朝鮮語)を書いた紙を持ってもらって、正面から撮った、肖像写真7点だ。
「人・愛」とキャプションのある作品では、手にしている紙には「サラン」とあり、「戦争の終わり」では「WAR IS OVER」とあるなど、微妙に異なるのが面白い。単純に、好きなことばをえらんでもらったのではなく、作者とディスカッションの上で決めたとのこと。
道内では、アイヌ民族のアートというのは、ときおり話題になるが、在日朝鮮・韓国人のアートというのは、見た記憶がない。
金さんは今後も制作・発表を続けていくという。まだ23歳。これからに期待したい。
作家は金曜夜と土曜在廊の予定。
2009年2月2日(月)-7日(土)11:00-19:00
ギャラリーたぴお(中央区北2西2 道特会館 地図A)