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さっぽろ駅の「アイヌ文化を発信する空間」(愛称ミナパ)に行ってきました

2019年04月01日 23時59分59秒 | 街角と道端のアート
 3月21日、地下鉄南北線さっぽろ駅構内で4年前から工事していた、アイヌ民族の歴史や文化に親しむ広場「アイヌ文化を発信する空間」(愛称ミナパ)がオープンしました。
 筆者は24日に見ました。

 木の柱が、北海道の森林をイメージさせます。


 なんといっても目を引くのが、貝沢徹さん作の木彫「イウォルン パセ カムイ」。

 シマフクロウが翼を大きく広げた像で、高さは2.5メートルもあるそうです。
 駅構内のいちばん南側(大通寄り)に立ち、広場全体を見渡しているようです。


 この引き締まった表情。
 カムイという名にふさわしい威厳をたたえていると思います。

 それと同時に、木という素材にふさわしいあたたかみも感じます。

 ところで、台座の部分は、アイヌ文様の服を着ているように、ファスナーがついているのがユニークです。



 大型9面マルチモニター(高さ約2メートル、幅約3.8メートル)を使ったメインシアターです。

 アイヌ語による道内各地の天気予報や、フランス人作家のボリス・ラベ氏が制作したアイヌ文様アニメーションなどを上映するそうです。






 ところで、さっぽろ駅のすぐ南側、札幌駅前通地下歩行空間(チ・カ・ホ)の入り口附近にも、アイヌ文様などを紹介するコーナーがあります(次の画像参照)。

 そのコーナーと「ミナパ」が著しい対照をなしているのは、前者が、無名の作り手による伝統的な工芸品であるのに対して、ミナパのほうは現代の作り手による作品であることだと思います。

 この双方が、札幌の玄関口で見られるのは良いことではないでしょうか。
 アイヌ民族は、いま、生きているのです。
 決して滅びゆく民族ではないし、古い文化だけをかかえているわけでもありません。

 いまの日本人が、さかやきをそってぞうりを履いているわけではなく、それでも日本の文化を続けているように、アイヌ民族も伝統を守りつつも、現代の文明とともに生きているわけで、自動車にだって乗るしパソコンだって使うでしょう。当たり前のことですが、ときどき忘れている人がいます。
 そういう偏見を拭い去るのに、ふたつの展示があるのは効果的だと思うのです。


 3月22日付の北海道新聞から引用します。


 (前略)

 ミナパは長さ42メートル、幅7.6メートル。アイヌ文化や工芸品、道内のアイヌ関連施設を紹介するタッチパネル、アイヌ民族の伝統的な暮らしの映像を映し出すテーブルなどを備える。柱には木材を貼り付け、森林の雰囲気を再現した。

 愛称のミナパはアイヌ語で「大勢が笑う」の意味。札幌アイヌ協会の阿部一司会長は「市民や海外の人にアイヌのことを分かってもらいたい」と述べた。

 象徴となる木彫作品「イウォルン パセ カムイ」(その場所を見守る尊い神様)は、大木から飛び立とうと翼を広げるシマフクロウを表現。地中に埋まっていた樹齢400~500年のニレを使い、日高管内平取町の工芸作家貝沢徹さん(60)が約1年かけて完成させた。貝沢さんは「作品に手を触れ、記念写真を撮ってほしい」と話した。

 ミナパは2015年度から整備を進めてきた。総事業費は約3億2千万円。


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