(承前)
札幌市資料館では四つの展示が開かれているとサイトにあったが、そのうち一つは予定の午前10時になっても会場が開く気配がなかった。
冒頭から3枚の画像はいずれも「絵に描いた餅」展の会場風景。
数人のグループ展。
もちろん「絵に描いた餅」とは、慣用句なのだが、その通りの場面を出品者が描いている。
こういうばかばかしいことを大真面目に取り組む姿勢は、筆者はけっこう好きである。
もう一つ、髙田稔個展(「髙」は「高」の異体字)。
髙田さんについては、2年前の個展の際に記事を書きました。
40年ほど、全く変わらないペースで個展を開き続けています。
・会期は2週間
・題はついていない
・ご本人はほとんど在廊しない
・旧作も展示することがある
・個展の副題はない
・団体公募展やグループ展には出ない(唯一の例外は札幌芸術の森美術館の企画展)。ギャラリーたぴお(途中から札幌市資料館)以外の会場では個展を開かない
昔は少年野球チームの絵もあったように記憶していますが、ここ10年以上は、少年と犬を遠景でとらえた絵画ばかりです(犬のスケッチを出品した年もありましたが)。
少年は海岸で遠くを見つめている絵が多いです。
2011年以降、海岸は瓦礫や廃材で埋め尽くされるようになりました。
今年あたりからようやくそれらが消えました。
しかし、1枚の絵では、少年と犬を乗せた小船は、テトラポットの列の内側に浮かんでいます。どこにも行けないように見えます。
また、別の絵では、さびついた戦闘機のような機体の操縦席に少年が乗り込んでいます。
どうしたって空には飛び立てそうにない小型のプロペラ機です。だいたい、どうしてこんな機体が砂浜にあるのでしょう。
2部屋のうち、北側の部屋には海岸の絵が並んでいましたが、南側の部屋に陳列されている風景は都市や住宅街です。
高架か陸橋の下にパンダの遊具が並んでいる絵。
あるいは、道ばたに咲くルピナスをしゃがんで見ている少年と犬の絵。少年がこちら側を向いている絵は珍しいと思います。
テレビ北海道がある北1東8の交叉点附近の絵を見て、ハッとしました。
交通量の多い一帯なのに、歩行者はもちろん、自動車の1台も走っていません。
そういえば、少年と犬以外に、人間は描かれていないのです。熊や猫、カモメが出てくる絵はありますが。
これはひょっとしたら、人類が滅亡した後の光景ではないのか。
そんなことを妄想してしまいます。
写実的な筆致は、年を追うごとに精緻になっているように思います。
過去の関連記事へのリンク
■髙田稔 個展 (2022)
(2018)
(2017年)
(2016)
(2014)
■2004年(3月26日の項)
札幌市資料館では四つの展示が開かれているとサイトにあったが、そのうち一つは予定の午前10時になっても会場が開く気配がなかった。
冒頭から3枚の画像はいずれも「絵に描いた餅」展の会場風景。
数人のグループ展。
もちろん「絵に描いた餅」とは、慣用句なのだが、その通りの場面を出品者が描いている。
こういうばかばかしいことを大真面目に取り組む姿勢は、筆者はけっこう好きである。
もう一つ、髙田稔個展(「髙」は「高」の異体字)。
髙田さんについては、2年前の個展の際に記事を書きました。
40年ほど、全く変わらないペースで個展を開き続けています。
・会期は2週間
・題はついていない
・ご本人はほとんど在廊しない
・旧作も展示することがある
・個展の副題はない
・団体公募展やグループ展には出ない(唯一の例外は札幌芸術の森美術館の企画展)。ギャラリーたぴお(途中から札幌市資料館)以外の会場では個展を開かない
昔は少年野球チームの絵もあったように記憶していますが、ここ10年以上は、少年と犬を遠景でとらえた絵画ばかりです(犬のスケッチを出品した年もありましたが)。
少年は海岸で遠くを見つめている絵が多いです。
2011年以降、海岸は瓦礫や廃材で埋め尽くされるようになりました。
今年あたりからようやくそれらが消えました。
しかし、1枚の絵では、少年と犬を乗せた小船は、テトラポットの列の内側に浮かんでいます。どこにも行けないように見えます。
また、別の絵では、さびついた戦闘機のような機体の操縦席に少年が乗り込んでいます。
どうしたって空には飛び立てそうにない小型のプロペラ機です。だいたい、どうしてこんな機体が砂浜にあるのでしょう。
2部屋のうち、北側の部屋には海岸の絵が並んでいましたが、南側の部屋に陳列されている風景は都市や住宅街です。
高架か陸橋の下にパンダの遊具が並んでいる絵。
あるいは、道ばたに咲くルピナスをしゃがんで見ている少年と犬の絵。少年がこちら側を向いている絵は珍しいと思います。
テレビ北海道がある北1東8の交叉点附近の絵を見て、ハッとしました。
交通量の多い一帯なのに、歩行者はもちろん、自動車の1台も走っていません。
そういえば、少年と犬以外に、人間は描かれていないのです。熊や猫、カモメが出てくる絵はありますが。
これはひょっとしたら、人類が滅亡した後の光景ではないのか。
そんなことを妄想してしまいます。
写実的な筆致は、年を追うごとに精緻になっているように思います。
過去の関連記事へのリンク
■髙田稔 個展 (2022)
(2018)
(2017年)
(2016)
(2014)
■2004年(3月26日の項)
(この項続く)