goo blog サービス終了のお知らせ 

北海道美術ネット別館

アート、写真、書など展覧会の情報や紹介、批評、日記etc。毎日更新しています

小川研「萌ゆるかたち」(オホーツク管内美幌町せせらぎ公園) 2021年12月4日その13

2022年01月22日 07時22分14秒 | 街角と道端のアート
(承前)

 「せせらぎ公園」シリーズの最終回です。
 前項に引き続いて、北見市の彫刻家・小川研さんの作品です。

 この作については、2012年9月8日北海道新聞オホーツク面に

「美幌・せせらぎ公園 彫刻の一部が消えた…!?
 倒壊作品、町が廃棄処分
 作者の小川さん「連絡あれば補修できたかも」」

という見出しでたいへん興味深い記事が載っていたので、長くなりますが引用します。

 【美幌】町青山南地区のせせらぎ公園に設置されている石の彫刻作品の一部が昨年5月ごろに倒壊、壊れた作品を公園を管理する町が作者に無断で捨てていたことが27日分かった。町は今月になって担当者が作者に直接会って謝罪したほか、来年度に作品を復元する方針も決めた。(中原洋之輔)

 作品は北見市の彫刻家小川研さん(64)の「ゆるかたち」。2000年に町民らが実行委形式で実施した「子どものための美幌国際芸術祭」で公開制作後、町に寄贈された。素材は札幌軟石で、雪を割って芽生えようとするフキノトウを模した大小7点の作品を円形に配置。倒壊したのは、このうち高さ約1メートルの作品だった。

 町建設水道部によると昨年5月下旬、公園の管理を町から委託されている町内の造園業者が、作品1点が根元から割れて倒れているのを発見した。報告を受けた町が、壊れた作品を回収後、「廃棄処分にした」という。

 この間、小川さんには連絡しておらず、今月26日に初めて、担当者が経緯を説明するとともに、謝罪した。

 小川さんは「(壊れた作品の撤去は)安全面からも当然」としながらも、「廃棄する前に連絡があれば補修ができたかも。少し残念です」と話している。

 また「軟石の彫刻は簡単には壊れない。故意に力を加えて倒されたようにも思う。公園の他の彫刻にも作者や作品名の看板が設置されておらず、町民に芸術作品と認識されていないことも原因では」と指摘している。(以下略)


 
 野外彫刻が決して永遠不滅のものではないという事例をいくつも書いてきたこのブログですが、これまたいささかショッキングな話です。
 ものを知らない人がうっかりーというのではなくて、文化を守るべき立場のはずの役場が作品を捨ててしまうのですから。

 なお、この翌年の2013年7月、無事に作品の再設置が行われました。
 同時に、小川さんの指摘を受けて町が、彫刻の所在や題などを記した看板を取り付けました。

 この作品は、同公園の軟石の彫刻では、最も下流側に位置しています。
 また占有面積では、他の作品よりもはるかに広い範囲にわたって設置されています。

 「水の流れ 風の流れ」と同様、北海道デジタル彫刻美術館には全く記載がないのが不思議です。


過去の関連記事へのリンク
小川研「開拓」「潑剌」(訓子府町) 
小川研「夜明け」「飛躍」 (訓子府)
小川研監修「叶」(訓子府)
小川研「拓く」(訓子府)
小川研「豊かな実りのために」(北見市富里ダム) 
小川研「北の端野に起つ」(北見)
小川研「屯田兵上陸の地」碑=網走 オホーツク小さな旅(107)
小川研「移動方形」 (網走)
小川研「地下水系 A-N’93」 北見東部緑道の彫刻(5)

小川研・毛利萬里子・渡辺良一 立体・陶芸・平面の3作家によるコラボレーション(2019年7月3~8日、北見)
FAR EAST 2016 コンテンポラリーアート





最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。