(承前)
前項から間があいてしまい、申し訳ありません。
会場後半は、絵画11人、工芸13人の作品。
絵画といっても、林弘堯さんはインスタレーションの大作である。
また、鷲見憲治さんは、すでに道展は退会しておられるが、北見画壇の最長老であり、道展北見支部の顧問格である。
林さんによると、この展覧会のために、新作に取りかかったとのことだが、間に合わなかったらしい。
下記の作品リストを見るとわかるように、絵画と工芸の出品点数がほぼおなじというのが特徴だろう。
しかも、工芸は、染織の菅原栄子さん以外は、全員が陶芸である。
こうしてみると、一般的にはほとんど認知されていないけれど、オホーツクは陶芸の盛んな土地といえるのだな~と思う。
一方で、版画、彫刻は1点もない。
えーと、たしか毛利萬里子さんの作。
林さんによれば、北見の陶芸界は、「しばれ紋」で知られる安藤瑛一さんの門下生が多いという。
安藤さんのお弟子さんたちは、象嵌などで表面を丁寧に仕上げた壺が多いような印象を受ける。
こちら、手前は苅田賢さんの作。
苅田さんは安藤さんを師匠とするのではなく、北見の隣の訓子府町で黙々と制作に励んできた方だ。
左側は炎と土の色を生かしたダイナミックな作。右側は、鉋飛び文を思わせる文様を象嵌でつくっているという労作で、力強さと北の風土とが見事に両立している。
徳本郁子、柳原光代、上田文子、古山容子といった人たちも、どこかしら北方のたたずまいを漂わせている。
背後に見えるうち、右の絵は菅さん。
諷刺画のような、戯画のような画風は一貫している。
そのとなりの2点は伊藤貴美子さん。
筆者は近作のほうが画面が整理されているようで好きなのだが。
林さんの壁掛け型インスタレーション。
ビニールなどふつうはあまり用いられない材料を使って、空間を演出している。
角さんや芳賀さんはオーソドックスな風景画であり、オホーツク圏の絵画の特徴はこれこれですと、安易にまとめることはできなさそうだ。
出品リストは次の通り。
絵画
・鷲見憲治
山麓の春(1996、油彩・キャンバス、P80) 収穫(1993、油彩・キャンバス、S4) 風に立つ(2000、油彩・キャンバス、P20)
・林弘堯
Puzzle2011A(2011、ミクストメディア、200×1000) Puzzle2011B(2011、ミクストメディア、200×1000)
・安田完
失楽園(2007、油彩・キャンバス、F130) 失楽園(2008、油彩・キャンバス、F120) 失楽園(2009、油彩・キャンバス、F130) 漂(2011、油彩・キャンバス、F100)
・管恵子
ライフ(1997、油彩・キャンバス、S100) Life(1996、油彩・キャンバス、S100) 花(2009、油彩・キャンバス、S100) HANA(2010、油彩・キャンバス、F100)
・川畑摩沙子
遙か'08(2008、アクリル・キャンバス、F120) 遙か'09(2009、アクリル・キャンバス、F100)
・伊藤貴美子
色彩の迷宮I(2008、アクリル・キャンバス、F150) 北の色彩IV(2009、アクリル・キャンバス、F130)
・進藤英俊
聖なる知性A(2009、アクリル・steel、120変) 聖なる知性B(2009、アクリル・steel、120変) ちょうちんあんこう(2011、アクリル・塩ビ板、50変) りゅうぐうのつかい(2011、アクリル・塩ビ板、50変) おおかみうお(2011、アクリル・acrylic、60変)
・角茂子
秋の日ざし(1997、油彩・キャンバス、F120) 初冬(2007、油彩・キャンバス、F120)
・芳賀文明
初冬(2006、油彩・キャンバス、F120) 初春(2007、油彩・キャンバス、F120)
・横山恭子
日溜りの時間(2010、油彩・キャンバス、F80) 父の好きな時間(2010、油彩・キャンバス、F50) 大地に立つ(2011、油彩・キャンバス、F20)
・吉川英一郎
予感 I(1996、油彩・キャンバス、F100) 予感II(1997、油彩・キャンバス、F100) 薄荷の街、秋色の頃(2011、油彩・キャンバス、F100)
工芸
・安藤瑛一
室内へ(2008、52×52×4) get on up(2006、52×52×4) 屈折面鉢(2001、48×48×37) しばれ紋様深鉢(2003、37×37×37)
・毛利萬里子
地の再生(2002、51×51×53) 殻衣(2007、58×46×53) 抱(2008、45×80×45)
・古山容子
壺「波の綾」(2006、45.5×45.5×53) 壺「波奏譜」(2008、35×35×51)
・高田由美子
秋路(2007、68×38×40) つちのはな(2008、58×38×47)
・天池齢二
六角つぼ(積重量)(2008、43×43×51) 六角つぼ(多重積量) (2009、40×40×63)
・上田文子
北緯43度より (2008、34×26×57) 象嵌焼締菱紋壺(2009、36×36×59)
・遠藤ヒデ子
鉢(華)(2009、35×30×48) いにしえ(2009、35×35×49)
・苅田賢
狂炎の雫(2007、42×42×58) 灼熱の呻き(No.1)(2007、46×46×57) 雪舞文象嵌大壺(2008、48×48×54)
・菅原栄子 HIDEKO
極光の彩り(オーロラ)(1993、125×155) 南海の楽園(遊泳)(1995、F100)
・田村記代
黒燿(2009、38×36×50) 京唐紙文様大皿(2010、45×45×5)
・徳本郁子
山景(2002、43×43×47) 華香る(2006、42×42×48)
・安村とよ子
静かな朝(2006、40×30×70) 東方に仰ぐ(2007、40×30×70) 親愛なるきみへ(2010、40×36×70)
・柳原光代
月よりの使者I(2005、35×35×50) 月よりの使者II(2005、47×46×48)
遺作展
・青木敏夫
天使の旋律(1977、油彩・キャンバス、F100)
DISTORITION(1978、油彩・キャンバス、F100)
納豆のある静物(1979、油彩・キャンバス、F100)
少女の家路(1980、油彩・キャンバス、F100)
花園神社(1982、油彩・キャンバス、F100)
花園ラグビーII(1984、油彩・キャンバス、F100)
冷蔵(1989、油彩・キャンバス、F100)
No.#2(1990、油彩・キャンバス、F100)
湊の風景(1991、油彩・キャンバス、F100)
Ta-152H-1(1992、油彩・キャンバス、F100)
スイミングプールの門(1994、油彩・キャンバス、F100)
溶解(1995、油彩・キャンバス、F100)
奏楽の天使(制作年不詳、油彩・キャンバス、F100)
Fallen Angel(制作年不詳、油彩・キャンバス、F100)
A嬢の肖像(制作年不詳、油彩・キャンバス、F100)
港の子供達(制作年不詳、油彩・キャンバス、F120)
冷蔵(II)(制作年不詳、油彩・キャンバス、F120)
自由の女神(志学会)(制作年不詳、油彩・キャンバス、F60)
瀕死の木(I)(制作年不詳、油彩・キャンバス、F150)
瀕死の木(II)(制作年不詳、アクリル・キャンバス、F130)
・舟山美智子
時の残像(1985、油彩・キャンバス、F100)
漂失の刻(II)(1987、油彩・キャンバス、F100)
タイムリミット(1988、油彩・キャンバス、F100)
タイムリミット'89(1989、油彩・キャンバス、F100)
Tonorrow(I)(1992、油彩・キャンバス、F120)
安眠の刻(1)(1992、油彩・キャンバス、F100)
安眠の刻(2)(1992、油彩・キャンバス、F100)
固執する部分の未来のために(I)(1992、油彩・キャンバス、F150)
犬-A-(1993、油彩・キャンバス、F50)
犬-B-(1993、油彩・キャンバス、F25)
明後日(I)(1995、油彩・キャンバス、F120)
明後日(II)(1995、油彩・キャンバス、S130)
近未来II(1997、油彩・キャンバス、F120)
惑星Mからの返信(1999、油彩・キャンバス、S100)
固執する部分の未来のために(II)(2001、油彩・キャンバス、F100)
固執する部分の未来のために(III)(2001、油彩・キャンバス、S130)
近未来III(2001、油彩・キャンバス、S130)
石の刻(制作年不詳、油彩・キャンバス、F25)
箱の刻(制作年不詳、油彩・キャンバス、F30)
2011年5月17日(火)~22日(日)
北網圏北見文化センター美術館(北見市公園町)
■第34回春季オホーツク美術展(2001年4月)
前項から間があいてしまい、申し訳ありません。
会場後半は、絵画11人、工芸13人の作品。
絵画といっても、林弘堯さんはインスタレーションの大作である。
また、鷲見憲治さんは、すでに道展は退会しておられるが、北見画壇の最長老であり、道展北見支部の顧問格である。
林さんによると、この展覧会のために、新作に取りかかったとのことだが、間に合わなかったらしい。
下記の作品リストを見るとわかるように、絵画と工芸の出品点数がほぼおなじというのが特徴だろう。
しかも、工芸は、染織の菅原栄子さん以外は、全員が陶芸である。
こうしてみると、一般的にはほとんど認知されていないけれど、オホーツクは陶芸の盛んな土地といえるのだな~と思う。
一方で、版画、彫刻は1点もない。
えーと、たしか毛利萬里子さんの作。
林さんによれば、北見の陶芸界は、「しばれ紋」で知られる安藤瑛一さんの門下生が多いという。
安藤さんのお弟子さんたちは、象嵌などで表面を丁寧に仕上げた壺が多いような印象を受ける。
こちら、手前は苅田賢さんの作。
苅田さんは安藤さんを師匠とするのではなく、北見の隣の訓子府町で黙々と制作に励んできた方だ。
左側は炎と土の色を生かしたダイナミックな作。右側は、鉋飛び文を思わせる文様を象嵌でつくっているという労作で、力強さと北の風土とが見事に両立している。
徳本郁子、柳原光代、上田文子、古山容子といった人たちも、どこかしら北方のたたずまいを漂わせている。
背後に見えるうち、右の絵は菅さん。
諷刺画のような、戯画のような画風は一貫している。
そのとなりの2点は伊藤貴美子さん。
筆者は近作のほうが画面が整理されているようで好きなのだが。
林さんの壁掛け型インスタレーション。
ビニールなどふつうはあまり用いられない材料を使って、空間を演出している。
角さんや芳賀さんはオーソドックスな風景画であり、オホーツク圏の絵画の特徴はこれこれですと、安易にまとめることはできなさそうだ。
出品リストは次の通り。
絵画
・鷲見憲治
山麓の春(1996、油彩・キャンバス、P80) 収穫(1993、油彩・キャンバス、S4) 風に立つ(2000、油彩・キャンバス、P20)
・林弘堯
Puzzle2011A(2011、ミクストメディア、200×1000) Puzzle2011B(2011、ミクストメディア、200×1000)
・安田完
失楽園(2007、油彩・キャンバス、F130) 失楽園(2008、油彩・キャンバス、F120) 失楽園(2009、油彩・キャンバス、F130) 漂(2011、油彩・キャンバス、F100)
・管恵子
ライフ(1997、油彩・キャンバス、S100) Life(1996、油彩・キャンバス、S100) 花(2009、油彩・キャンバス、S100) HANA(2010、油彩・キャンバス、F100)
・川畑摩沙子
遙か'08(2008、アクリル・キャンバス、F120) 遙か'09(2009、アクリル・キャンバス、F100)
・伊藤貴美子
色彩の迷宮I(2008、アクリル・キャンバス、F150) 北の色彩IV(2009、アクリル・キャンバス、F130)
・進藤英俊
聖なる知性A(2009、アクリル・steel、120変) 聖なる知性B(2009、アクリル・steel、120変) ちょうちんあんこう(2011、アクリル・塩ビ板、50変) りゅうぐうのつかい(2011、アクリル・塩ビ板、50変) おおかみうお(2011、アクリル・acrylic、60変)
・角茂子
秋の日ざし(1997、油彩・キャンバス、F120) 初冬(2007、油彩・キャンバス、F120)
・芳賀文明
初冬(2006、油彩・キャンバス、F120) 初春(2007、油彩・キャンバス、F120)
・横山恭子
日溜りの時間(2010、油彩・キャンバス、F80) 父の好きな時間(2010、油彩・キャンバス、F50) 大地に立つ(2011、油彩・キャンバス、F20)
・吉川英一郎
予感 I(1996、油彩・キャンバス、F100) 予感II(1997、油彩・キャンバス、F100) 薄荷の街、秋色の頃(2011、油彩・キャンバス、F100)
工芸
・安藤瑛一
室内へ(2008、52×52×4) get on up(2006、52×52×4) 屈折面鉢(2001、48×48×37) しばれ紋様深鉢(2003、37×37×37)
・毛利萬里子
地の再生(2002、51×51×53) 殻衣(2007、58×46×53) 抱(2008、45×80×45)
・古山容子
壺「波の綾」(2006、45.5×45.5×53) 壺「波奏譜」(2008、35×35×51)
・高田由美子
秋路(2007、68×38×40) つちのはな(2008、58×38×47)
・天池齢二
六角つぼ(積重量)(2008、43×43×51) 六角つぼ(多重積量) (2009、40×40×63)
・上田文子
北緯43度より (2008、34×26×57) 象嵌焼締菱紋壺(2009、36×36×59)
・遠藤ヒデ子
鉢(華)(2009、35×30×48) いにしえ(2009、35×35×49)
・苅田賢
狂炎の雫(2007、42×42×58) 灼熱の呻き(No.1)(2007、46×46×57) 雪舞文象嵌大壺(2008、48×48×54)
・菅原栄子 HIDEKO
極光の彩り(オーロラ)(1993、125×155) 南海の楽園(遊泳)(1995、F100)
・田村記代
黒燿(2009、38×36×50) 京唐紙文様大皿(2010、45×45×5)
・徳本郁子
山景(2002、43×43×47) 華香る(2006、42×42×48)
・安村とよ子
静かな朝(2006、40×30×70) 東方に仰ぐ(2007、40×30×70) 親愛なるきみへ(2010、40×36×70)
・柳原光代
月よりの使者I(2005、35×35×50) 月よりの使者II(2005、47×46×48)
遺作展
・青木敏夫
天使の旋律(1977、油彩・キャンバス、F100)
DISTORITION(1978、油彩・キャンバス、F100)
納豆のある静物(1979、油彩・キャンバス、F100)
少女の家路(1980、油彩・キャンバス、F100)
花園神社(1982、油彩・キャンバス、F100)
花園ラグビーII(1984、油彩・キャンバス、F100)
冷蔵(1989、油彩・キャンバス、F100)
No.#2(1990、油彩・キャンバス、F100)
湊の風景(1991、油彩・キャンバス、F100)
Ta-152H-1(1992、油彩・キャンバス、F100)
スイミングプールの門(1994、油彩・キャンバス、F100)
溶解(1995、油彩・キャンバス、F100)
奏楽の天使(制作年不詳、油彩・キャンバス、F100)
Fallen Angel(制作年不詳、油彩・キャンバス、F100)
A嬢の肖像(制作年不詳、油彩・キャンバス、F100)
港の子供達(制作年不詳、油彩・キャンバス、F120)
冷蔵(II)(制作年不詳、油彩・キャンバス、F120)
自由の女神(志学会)(制作年不詳、油彩・キャンバス、F60)
瀕死の木(I)(制作年不詳、油彩・キャンバス、F150)
瀕死の木(II)(制作年不詳、アクリル・キャンバス、F130)
・舟山美智子
時の残像(1985、油彩・キャンバス、F100)
漂失の刻(II)(1987、油彩・キャンバス、F100)
タイムリミット(1988、油彩・キャンバス、F100)
タイムリミット'89(1989、油彩・キャンバス、F100)
Tonorrow(I)(1992、油彩・キャンバス、F120)
安眠の刻(1)(1992、油彩・キャンバス、F100)
安眠の刻(2)(1992、油彩・キャンバス、F100)
固執する部分の未来のために(I)(1992、油彩・キャンバス、F150)
犬-A-(1993、油彩・キャンバス、F50)
犬-B-(1993、油彩・キャンバス、F25)
明後日(I)(1995、油彩・キャンバス、F120)
明後日(II)(1995、油彩・キャンバス、S130)
近未来II(1997、油彩・キャンバス、F120)
惑星Mからの返信(1999、油彩・キャンバス、S100)
固執する部分の未来のために(II)(2001、油彩・キャンバス、F100)
固執する部分の未来のために(III)(2001、油彩・キャンバス、S130)
近未来III(2001、油彩・キャンバス、S130)
石の刻(制作年不詳、油彩・キャンバス、F25)
箱の刻(制作年不詳、油彩・キャンバス、F30)
2011年5月17日(火)~22日(日)
北網圏北見文化センター美術館(北見市公園町)
■第34回春季オホーツク美術展(2001年4月)
青木さんのことにコメントなさるのなら、こちらもごらんください。
http://blog.goo.ne.jp/h-art_2005/e/8b90d8c88afec475406833747c24ec12