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北海道美術ネット別館

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京都へ(7) PARASOPHIA グシュタヴォ・シュペリジョン(Gustavo Sparidião)

2015年05月23日 21時46分00秒 | 道外の国際芸術祭
(承前)

 蔡国強も笑えたのだが、このグシュタヴォ・シュペリジョン(Gustavo Sparidião 「ã」は「a」の上にティルデ)という未知の作家の「素晴らしき美術史」もおかしくて、会場でニヤニヤしっぱなしだった。筆者を目撃した人は、さぞかし、変なヤツがいると思ったに違いない。

 シュペリジョンは1978年、ブラジル・リオデジャネイロ生まれで、同地を拠点に活動。

 出品作「素晴らしき美術史」は、20世紀の写真に一時代を劃した米国のグラフ雑誌「LIFE」の写真をまとめた大著「The Great LIFE Photographers」のページをばらばらにし、そこに文言を付け加えている(ポルトガル語版、フランス語版もあるらしいが、展示してあったのは英語版で、図録に記されているような日本語版ではなかった)。

 これ、要するに、落書きなんだよな。

 人がたくさん集まってこっちを向いてる写真には
「SGT.Peppers' Lonely Hearts Club Band」
って書いてあるし。
(「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」はビートルズが1967年に発表し、その後のポップスとロックの歴史を変えたといわれるアルバム。ジャケットが有名)

 男たちが真剣なまなざしで何かを見ている(おおかたサッカーのテレビ中継かなんかだろう)写真には
「WAITING FOR GODOH」
だし。
(「ゴドーを待ちながら」は、20世紀を代表する戯曲の題)

 右の写真には
「MARX」
って書いてあるけど、違うでしょ(笑)。
 マルクスに似てるのは、ひげだけでしょ。


 そんなわけで、いちいち「アホなこと書いとるの~」とツッコミをいれたくなってくるのだ。

 左の画像には、フランス語で
「世界の起源 ギュスターブ・クールベ」
と書いている。
 どうみても、ドックから船が進水するところだと思うのだが。

 こちらは、水中に赤ん坊がいる写真なので、案の定というべきか、「ニルヴァーナ」と書かれている。
 ロックのネタ、多いね。
 ビートルズの4人の写真には、レオナルド、ミケランジェロ、ラファエロ…と記入されていた(あとひとり、だれだったっけ…?)。

 この元になっている写真集には、どこかで見たイメージも数多い。
 いわば「公式の20世紀史」を、いったんチャラにしているわけで、やってることは、むかし学校の教科書にいたずら書きをしたのとあまり変わらないとはいえ、いや、変わらないからこそ、その公式性と落書きっぽさの「落差」がおもしろいのだ。



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