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北海道美術ネット別館

アート、写真、書など展覧会の情報や紹介、批評、日記etc。毎日更新しています

■小松美月個展「陽のあたる窓」 (2024年2月6ー11日、札幌)

2024年02月13日 23時05分26秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 道教大岩見沢校の大学院を修了した若手、小松美月さんの、札幌では初となる個展。  これまであちこちで見た記憶があるので、札幌初ということばに意外と感じましたが、北都館での3人展、ニューオータニイン地下での2人展、二紀展の北海道支部展などで見ていて、印象に刻まれているのでした。  小松美月さんの作品はすべて具象で、室内風景や静物をモチーフにした絵が多いです。  風景もありますが、人物メインの作品は . . . 本文を読む

■chance meeting (2024年2月6~12日、札幌)

2024年02月12日 09時09分00秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 韓国人とおぼしき2人(少なくとも1人は女性)による絵画展。  1人はイラストレーション寄りで、韓国の名門・梨花女子大卒の1人は、立体的な試みも取り入れるなどファインアート寄り。      そもそも韓国の作家が突然札幌で2人展を開いていることが謎めいているのですが、もっと不思議なのは、まったく同じ展示が、札幌市資料館ミニギャラリーで昨年12月12日から17日まで開かれて . . . 本文を読む

■PesMas 個展 (2024年2月6~12日、札幌)

2024年02月11日 17時30分43秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 案内のメールは来ましたが、略歴も作家ステイトメントを書いた紙などは会場になく、どこを拠点とするどんな人なのかもわかりませんでしたが、札幌拠点で海外でも活動している抽象画家山本雄基さんのアシスタントを務めていたとのこと。  緻密な計算に基づいた「冷たい抽象」を描く手伝いをしてきたわけですが、今回の(おそらく初の)個展は、絵の具を相当な厚さまで盛り上げた絵が多いです。  冒頭画像は、右が「spik . . . 本文を読む

■中田やよひ展-見えるもの見えないもの-ニューオータニイン札幌企画~北海道の画家を応援するプロジェクト (2023年12月25日~24年1月28日、札幌)

2024年01月24日 22時22分22秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 2007年に個展を見たとき、中田やよひさんが「物のまわりにある空気も描きたいんです」という意味のことを語っていたのが、印象に残っています。  その後、2019年に、琴似のカフェ北都館ギャラリー「名画の小部屋」で小さな個展を開いています(会場内の年譜には記載なし)。さいとうギャラリー恒例の年2回の企画展には少なくとも20年以上は皆勤ですし、全道展と道彩展の会員でもあるので、作品自体は、見る機会の多 . . . 本文を読む

■宮地明人展 それぞれの情景 2023年12月4日~24年1月13日、岩見沢)

2024年01月12日 22時33分44秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 宮地明人さんは1974年生まれ、岩見沢の画家。   今回の特別企画展では、2003年から近作まで大作14点と小品26点を展示していますが、とにかくうまい。  最初に展示してあるのは03年「Black Eye」(キャンバス、アクリル。1940×1620ミリ)。寒冷地用とおぼしき大きな帽子をかぶった女性を画面の下半分に配し、上方には、板などが張り渡されているように描かれています。  薄手のテープで . . . 本文を読む

■異端と正統の装幀画家 追悼・村上芳正展 (2023年11月3日~24年1月14日、小樽) ■ミニシアターの草分け・岩波ホール55年の歴史展 (2023年12月1~28日) 12月3日その3

2023年12月07日 09時00分23秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
(承前)  村上芳正は1922年(大正11年)長崎生まれ、2022年11月8日歿。  筆者は恥ずかしながら名前を知りませんでしたが、会場ですぐにピンときました。彼が装画を描いた原田康子「挽歌」の文庫本を持っており、その原画が展示されていたからです。  いささか生硬な線、肉付け感と陰影に乏しい肉体描写などから、おそらく独学だろうと想像していましたが、果たしてその通りでした。 (筆者はデッサン講師な . . . 本文を読む

■中村善策没後40年・記念ホール開設35年 中村善策と「加賀の北前船主・西谷家」/中村善策の2つの故郷 小樽と信州 (2023年10月21日~12月28日、小樽)=2023年12月3日(2)

2023年12月06日 22時35分15秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
(承前)  中村善策(1901~83)は小樽生まれの洋画家で、戦前は二科に出品、戦後は日展参事、一水会運営委員として活躍しました。明快な色彩と、独特な構図による風景画で知られます。  市立小樽美術館は改修後、展示室が三つになり、2階がメインの展示室で、1階を中村善策記念ホール、3階を一原有徳記念ホールとしています。この会期中は2階も中村善策の絵が飾られており、珍しく2室での大展開となっています。 . . . 本文を読む

■松川修平個展「光の均衡」 (2023年11月12~24日、札幌)

2023年11月28日 22時40分18秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 札幌の松川修平さんの個展に行き、久しぶりに彼の絵を見ることができて、うれしかったです。  いまだから正直に言いますが、2008、09年に彼の絵をはじめて見たとき、その後長く描き続けていく人だとはあまり思っていませんでした。  当時から、誰にも似ていない、個性的な絵を描いていたのは確かです。    その頃は、人物の描き方やシチュエーションがいっぷう変わっていたのですが、20年代に入り、画風はさら . . . 本文を読む

■新道展第67回受賞者・会友展 (2023年11月22~26日、札幌)

2023年11月26日 13時27分52秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 ユニット「故郷2nd」の新作「超獣戯画 野生の立場」がおもしろいです。  墨一色で描かれた絵巻物の中味も良いのですが、それを見せるための大きな器械をわざわざ作るところがすばらしい。  右手のハンドルを回すと、絵巻物が右から左へと展開していきます。  絵巻物は一つの大きな輪になってシームレスにつながっている、シンプルな仕組みなので、巻き戻したりする必要はありません。    絵柄はもちろん、あの名高 . . . 本文を読む

■第20回 北区の文化を育てよう 北区のアーティスト展 (2023年11月13~19日、札幌)

2023年11月22日 08時21分13秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 札幌市には10の区がありますが、いわゆる区民芸術祭・舞台発表的なものとは別に、団体公募展の会員などによる絵画展を毎年開いているのは北区だけです。  いつも書いていますが、公募展で主流の100号クラスと、よく見かける小品との中間にあたる10~30号くらいの作品を見ることができるのも特徴だと思います。  冒頭画像、右は西村一夫さん(道展会員)「作品 FRO-213」(30号)。  オイルパステルで . . . 本文を読む

■工藤悦子展 (2023年11月16~21日、札幌)

2023年11月21日 08時15分37秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 江別在住の工藤悦子さんは主体美術と新道展の会員。  大がかりな個展はそろそろ最後では―という声を聞いて会場に駆けつけましたが、誰ですかそんなことを言った人は。  たいへんお元気なので、安心しました。     以前、隔年か3年おきに札幌時計台ギャラリーで個展を開いていた頃と、ほとんど変わっておられないと感じました。      工藤さんの絵の特質は、美しい曲線のフォルムもさることながら、その精妙なマ . . . 本文を読む

■伎の和 11人の版表現 (2023年11月7~12日、札幌)

2023年11月17日 09時18分27秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
歌舞伎で用いられている「伎」という文字。 複数の辞書によると「技/技巧」とともに「技なす人」、またその「技」の中に盛り込まれた「滑稽さ」や「愉しむ/愉しませる」という「あそび」の要素も併せ持っています。「仲間」という意味も。 本展は11人の版画作家による展覧会ですが、版画というジャンルが一般にイメージする版材を刻み紙面へ「移す/写す」などといった「複数化/置換/間接的」という行為から現代では録音や . . . 本文を読む

■赤石操・丸藤真智子展 (2023年11月7~12日、札幌)

2023年11月16日 09時02分31秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 札幌のベテラン抽象画家による2人展。    さいとうギャラリーの手前の部屋(南側)のうち、縦長の部分(冒頭画像で左側)を赤石さんが、左に張り出した部分(冒頭画像で右側)を丸藤さんが、それぞれ使い、十数点ずつの絵画を出品していました。  この2人を含む3人展は過去にありますが、2人展は初めてとのこと。    赤石さんは、すべての作が「A walk」という題です。  支持体はキャンバスではなく、 . . . 本文を読む

■山本恒二 小品展―きらめく季節の中で (2023年11月8~13日、札幌)

2023年11月13日 08時48分49秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 会場の奥に小さなデッサンが掛けてありました。 「彫刻家N氏の像 非売」 とあります。  先ごろ亡くなった二部黎さんです。  二部さんはあちこち転居した人でしたが、空知管内長沼町の前、夕張市清水沢の閉校した学校跡をアトリエにしていた時代があったそうです。その頃に描いたものだとのこと。  二部さんはニット帽のイメージが強いのですが、じつは20年以上も前から禿頭だったのですね。  あらためて故 . . . 本文を読む

■【特別展】揺さぶる絵 変貌する日本画のイメージ(2023年9月16日~11月12日、札幌)

2023年11月11日 11時11分12秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 美術全集や教科書のように、きれいに「日本画の世界」をまとめて見せた右側の展示室に対し、左手の、所蔵品展に用いられることの多いスペースでの「揺さぶる絵」展は、なかなか攻めています。道立近代美術館・釧路芸術館に加えて、豊橋市美術博物館や東京国立近代美術館からも作品を借り、戦後、著しく変化を遂げた日本画の諸相を見せているのです。  キュレーター(道立近代美術館の学芸員)が図録で述べているように 「本 . . . 本文を読む