北海道の美術界の特徴として、全道(全県)的な団体公募展が複数あることのほか、北海道があまりに広すぎるので、各地域にもそれぞれ団体公募展が存在することが挙げられる。
ただし、札幌にはない。
函館など道南には、赤光しゃっこう社と道南美術協会。
旭川など道北には、純正展と新ロマン派。
釧路には釧美せんび展。
帯広など十勝には平原社。
そして、北見などオホーツク地方には、オホーツク美術協会 . . . 本文を読む
移動展、というのは、札幌の人には意外となじみがないかもしれない。
全国規模の団体公募展は、京都や九州には毎年移動展が巡回しているが、道内では、数年前に終わった行動美術の函館展をのぞいては、数年に一度、独立美術や自由美術が回ってくる程度だからである。
道展は、毎年釧路、帯広、北見で移動展が開かれている。
また、第86回については、昨年11月に芦別で、12月に日高管内新冠町で開催されている。 . . . 本文を読む
オホーツク美術展は、北見や網走、紋別などオホーツク管内在住、ゆかりの人が出品する団体公募展である。北海道は広いので、全道を対象にした団体公募展とは別に、各地方にもこうした集まりが存在するのだ。
秋の展覧会のほか、春にも春季展を開催している。一般、会友、会員の3段階であることや、協会賞などの賞は一般に与えられることは、全道展や道展などと同じである。
他の団体公募展とちょっと異なるのは、絵画、 . . . 本文を読む
年に1度の展覧会とは別に、やや規模を縮小した展覧会を毎年開いている団体公募展やグループがある。
「春の院展」とか「北海道抽象派作家協会秋季展」などがそれにあたる。この、オホーツク美術協会の春季展も、そういった種類の展覧会であろう。会員、会友と、一般出品者から選抜された推薦数人が出品している。
全体的にみると、絵画が多いが、抽象画や、インスタレーション的な作品もある。ただし、今回は、日本画( . . . 本文を読む
註:以下の文章は、昨年の道展の際に書いたものである。
このあとで、個々の作品に言及したテキストを続けてアップする予定だったが、なされないまま1年が経過してしまった。
ちょうど、第84回道展が開催されている(11月8日まで)ことでもあり、このままにしておくにはしのびなく、アップしておきます。
関係者のみなさまには申し訳ありませんでした。
2008年10月28日の北海道新聞夕刊文化面に載った道 . . . 本文を読む
ことしの新道展の紹介で、書きおとしていたことがあった。
会員・佐藤萬壽夫さんの絵である。
ことし4月、札幌時計台ギャラリーでひらいた個展は、脳梗塞でとつぜん倒れた後、リハビリの過程で制作したドローイングを並べたものだった。
はじめはたどたどしい筆の運びが、左手をも使うことにより、だんだん完成度を高めていくプロセスは、感動的であった。
今回の作品を見ていると、事情を知らない人には、一時人 . . . 本文を読む
道展、全道展とならんで、道内の美術史の柱をかたちづくってきた団体公募展である「新道展」がひらかれている。
ことしの図録で、元「北海タイムス」の美術記者であった五十嵐恒さんが述べておられるように、新道展もすこしずつではあるが変わってきている。やんちゃさや迫力のかわりに、洗練された作品が会場を支配するようになったという印象がある。
これを、活気が失われたとみるか、落ち着きが出てきたとみるかは、お . . . 本文を読む
(承前)
会友から選ばれることの多い協会賞(最高賞)だが、ことしは初出品から3年という関口幸子「遙かな日」(函館)が選出された(同時に会友推挙)。
戸が開け放たれた室内にたたずむ3人の少女、画面を横断して飛ぶ5羽の透明な鳩、重厚な色彩の家具調度など、どちらかというと道展に多い、写実的な筆つかいで複数の要素を組み立てて画面を構成した作品と言える。
相当な筆力の持ち主であることはまちがいないが . . . 本文を読む
(承前)
版画。
この分野から協会賞(最高賞)が出たのは、あの早逝した佐藤克教以来、18年ぶりとなる。
仄聞(そくぶん)では、山口星子の受賞作は、版画展(日本版画協会)の受賞作と同一らしい。
全国の団体公募展とおなじ作品を出す人は、全道展にはけっこう多いのだ。
受賞作「Waiting For Your Night」は150×180センチと、この一角でも群を抜いて大きく、幻想的な抽象空 . . . 本文を読む
今回の全道展の陳列でいちばん目に付くのは、通称第2室といわれる、入場券売り場を通ってすぐの大きな部屋の変化である。
この部屋は、いわば展覧会の「顔」であるという理由もあるのであろう。道展と全道展は、ここに彫刻をびっしり並べるとともに、絵画は2段がけにして、会員の優品や協会賞(最高賞)受賞作など多彩な画風の作品を並べるのが通例だった。
そして、協会賞の作品は、絵画であれば、入り口から見える突き . . . 本文を読む
ことしの全道展関係の最後のエントリとする。
道内で最も栄光ある歴史を持つ美術団体といえば、全道展ということになるんだろうと思う。
美術評論家の先生がたは遠慮して書かないのだろうが、たとえば、これまでに公立美術館で個展を開いた作家の数でくらべると、全道展の会員のほうが、ライバルである道展よりもずっと多いはずだ。
しかし、そうそうたる会員を擁する半面、将来の会を担う若手の発掘という面では、道 . . . 本文を読む
全道展について書く前に、全道展ってなんだろう? という、超基本的なことから書きだすことにした。
かんがえてみれば、団体公募展というのは、美術・書道界に独特の制度である。
写真や小説のコンクールだと、その分野の権威的な人が数人で審査を行い、募集した作品から賞を選ぶ。
応募した人は、受賞したからといって、賞に関してその後の「立場」が変わるわけではない。
美術の団体公募展は、どれも毎年応 . . . 本文を読む
(承前)
さて、部門別の出品数をみてみると、ことしは染色が15人、20点とダントツ。
やはり道都大中島ゼミ勢の躍進が大きい。
昨年、染色と同数でトップだった陶芸が11点(以下とくに記さない限り、人数と点数は同数)。
一時トップだった押花をはじめ、織、金工、組紐、人形の5部門がいずれも7点でならんでいる(金工は6人)。
これ以外に、ガラス、組紐、刺繍、漆芸、七宝、籐、皮革、ペーパークラ . . . 本文を読む
(日本語は英文のあとにあります。長文です。文中敬称略)
53rd Shindoten-that means New Hokkaido Art Association-exhibition was hold at Sapporo citizen gallery from Aug27 to Sep 9 2008.
On Installation and three-dimentional wor . . . 本文を読む
(承前)
松本道博「緑立つ」。
もともと風景の処理にたけている人だという印象があったが、ことしはさらに、腕に磨きがかかった感がある。雲と空を反射する湖水と、対岸の緑は、非常に整理されていながらも、とてもリアル。しかも、夕暮れ時に一瞬現れそうな黄色やオレンジの色彩をきっちりとらえて雲などに描きいれている。光に対する感受性の鋭さが際立っている。
佐井秀子「奏」。
クリーム色や茶色をメーンに . . . 本文を読む