放馬のハプニング

GIレースのヴィクトリアマイルが終了し、私達カメラマンが厩舎撮影に向かう地下馬道での出来事である。

馬が走る蹄の音が響きわたり、続いて「放馬、放馬！」という叫び声が聞こえた。
最終レースに出走する馬が検量室前で放馬したのかと思ったら、
長い地下馬道をまっしぐらに走ってきたのは、誘導馬くん。

私達数人のカメラマンの前で一瞬スピードを落としたが、そのまま走り去るも、
20ｍほど先でUターン。
再び私達の前まで走ってきたが、そこでストップした。
見れば、馬はトウラクをつけておらず、
近くにいた乗馬姿の係員の女性が彼の胸元の飾りをやさしくつかんで、ことなきを得た。

誘導馬のあとをトウラクをもっておいかけてきた人たち、
診療所からかけつけてきた獣医さんたち、
馬が無事に保護されたことに皆、胸をなでおろした。

馬一頭のハプニングに、大勢の人たちが必死になる。
当たり前のように開催されている競馬だが、
多くの人たちが関わり、仕事をして、はじめて成り立っている。