GRASSの日々折々

馬好きフォトグラファーが綴る日々の1ショット。

馬車の婦人

2019年10月11日 | 馬徒然
前回の年配の方の話の続きです。
その方が千葉県成田市三里塚のご出身だというので、成田空港ができる以前の、御料牧場があった時代のことを伺ってみました。

いつも馬車に乗って出かける美しい婦人がいらっしゃったそうです。
それはある大牧場の奥さまでした。
その牧場にもよく遊びに行ってお菓子などをごちそうになっていたといいます。

御料牧場の跡地に空港ができ、成田に拠点を持っていた牧場のほとんどが北海道へ拠点を移し、馬車の婦人がいらした牧場も例外ではありませんでした。
「もうその牧場も北海道へ行かれてしまって、ないですねえ。なんという牧場だったか・・・上、だったか・・・」とその方が思い出そうとされます。
「たしか、三里塚には三菱関係の牧場さんもあったはずですよ」とおっしゃるので、それはおそらく私がとてもお世話になった牧場さんだとわかりました。

同席されていたほかの方が別の話題をされて、三里塚の牧場の話はいったん途切れましたが、最後にその方が思い出されました。
「そう、下河辺さんです。あの美しい馬車とご婦人は下河辺牧場さんでした」
今でも多くの名馬を送り出している老舗の牧場です。
大きな馬が引く馬車と、馬車に乗った美しいご婦人・・・。
その方にとって、少年のころの鮮やかな思い出が馬に通じるものだと伺い、うれしくなりました。
ルービンシュタインのショパンピアノコンチェルトのお話と共に、とても貴重な話を伺うことができた日でした。

写真は、一昨年の夏、東京競馬場で試乗会の馬車に乗ったときのものです。







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