GRASSの日々折々

馬好きフォトグラファーが綴る日々の1ショット。

次世代の子

2008年04月03日 | 馬徒然
昨年遠野で生まれたこの牝馬は、生産者のNさんが繁殖馬として手元に置くことにしているという。

母馬はセル・フランセ系だが、祖母は半血(軽種馬と重種馬の混血)。遠く遡ればおそらく南部馬の血を引く「遠野の在来馬」なのだろう。
Nさんのところにはこの母馬ともう一頭の繁殖牝馬がいる。外国からやってきた純血のセル・フランセで、先ごろの全日本馬術大会で優勝したジョニークエストのお母さん。セリでは産駒が高値で売れる。けれど昔ながらの遠野馬の血をひくもう一頭の母馬は毎年丈夫な子を産むので、Nさんにとっては頼もしい存在なのだろうと思う。

遠野の生産者の人たちには、昔ながらの血統に愛着を持って大切にしている人が少なくない。そうやって育まれている「遠野馬の母さん」たちは、実に丈夫で毎年確実に子を産む。
世に名をはせるのは、馬術大会などで優秀な成績をおさめる馬だろう。でも、こういう「堅実な」母馬たちこそがが、遠野の馬産の根幹を支え、今日を築き上げているのだと思う。
Nさんが手元に残すと決めたこの1歳牝馬は、ヴァリシモ(トラケーネン種)を父にもつ、遠野産馬の次世代を担う娘なのである。

Nさんは遠野生産者の中では高齢である。にもかかわらず、次世代の繁殖牝馬を残したことを、他の組合員さんは「次の世代を育てようというそのパワーがすごい」と感服していた。
遠野馬産の原動力は、こういうところにあるのだと思った。
コメント
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