「お気に入り」マンガ作品の1巻いろいろです。
他にも、まだまだ購読してますが、どれだけ紹介できるか未定です(^^;
『いぬやしき』については、単独で感想記事を書きたかったのですが、時間が取れず・・・
『いぬやしき』1巻 (奥浩哉 先生)
【1話・試し読み可】 希望のない58歳サラリーマンの人生哀歌・・・と思いきや?
犬屋敷壱郎さんは、58歳で2児の父親。
家族からは冷遇され、冴えない日々を送っていたところ、
胃がんの宣告を受けてしまい、失意のどん底へ・・・・・・
しかし、大きな“事故”に巻き込まれてから、彼の生活は一変することに。
ようやく購入した一軒家に住むことになった犬屋敷さん。
それでも、奥さんも娘も息子も、彼のことを軽んじていて、何とも切ない。
善良な人間であるものの、外で無法な若者を見かけても、何かできるわけでもなく、
息子からは「期待してないよ、強い親父とか」なんて言われる始末。
そんな日々をすごしていた彼に訪れる胃がん宣告は、絶望そのもので、
飼い犬「はな子」くらいしか、心のよりどころがないのは、あまりにも可哀想。
といったように、まずは冴えない男性の生活風景が描かれ、
哀しいな~といった感想を抱いてしまうわけですけども、これが突如一変!
ある“事故”に遭遇した犬屋敷さんは、“別のもの”に生まれ変わってしまいます。
生まれ変わった彼は、「自分でなくなった」ことにショックを受けるのですが、
新たに得た力を使って、人を救うことに生きがいを求め始めることに・・・
このあたりが哀しくも痛快で、今後を期待させる内容になっていますね。
奥先生の前作『GANTZ -ガンツ- 』のように、SF要素や綿密な描写は健在。
「ガンツ」に対して作中で語られている「人殺しばっかのクソマンガ」という評価は、
(間違ってはいないけれど)的確とは言い難いものではありますが、
今作にはおそらく、「人殺しばっかのクソマンガ」へのアンチテーゼが、
組み込まれているような気がしてなりません。
そして、じつは生まれ変わったのは、犬屋敷さんだけでなく、もう1人、
若者がいるのですが、彼の動向がどうなるのかにも、注目せざるをない終盤。
このあたりが今後の展開に、どう影響してくるのか・・・
きわめて楽しみな作品、期待大であります!
『STEAL AND DEAD』1巻 (三部けい 先生)
囚人たちの“神”殺しアクション!
民間企業が経営するカトマンズ刑務所。
そこにいる囚人たちは、「任務」をこなすことで減刑が可能。
その「任務」とは、“神”を殺し、「魂鍵」を奪うこと。
日々くりひろげられる、囚人たちの“神”殺し、そして囚人同士のいざこざ。
そうしたものが、「ロキ」と呼ばれる東洋人の囚人を中心に描かれる物語です。
囚人はカラー(赤や青)ごとのチームに分けられ、「鍵」の力を用いて、“神”と戦うことに。
その様子が、壮絶なバトルとして楽しめます。
もちろん、戦いで命を落とすこともあり、そのあたりで緊張感が生まれていますね。
また、囚人同士でも、様々な事情でいがみ合いがあったり、
外部から囚人の暗殺を目的に侵入する者があったりと、
“神”との戦い以外の話も、面白味になっています。
「懲役1000年越えの囚人が、世界を滅ぼす」。
そこにロキが絡んでいるのかどうなのか・・・ という点も、気になる所。
三部先生は、注目作『僕だけがいない街』(現在4巻まで)の作者先生でもあるので、
本作に興味を持った感じですが、内容としては、かなり異なる雰囲気になっていますね。
「鍵」を用いた異能バトル、“神”とは何なのか? 世界を滅ぼす者は?
などなど、今後が楽しみです!
『死役所』1巻 (あずみきし 先生)
あの世とこの世のはざまに存在する「死役所」を舞台に、様々な人生が描かれる物語。
「死役所」には、自殺・事故死・他殺・病死などによって
亡くなった人たちが訪れ、死後の行き先について事務処理がなされます。
その際、人生と死を振り返り、時にしみじみ、時にやるせなく、時に因果応報と、
各々の物語が描かれる作品です。
いじめ自殺の少年、事故で亡くなった女性、母親に虐待を受けた少女など、死因は様々。
そんな人々を、「死役所」の案内係・シ村さんが、死後の行き先について説明。
営業スマイルを張り付けて、事務的に進行する様子が、一見冷たくも映りますけど、
むしろ、その姿勢が救いであるのかもしれませんね。
「聞かれなかったから」答えないというのも、そうした“救い”の1つの形。
シ村さんの仕事は、お役所的。
しかし、確実にそこにある死者への慈しみ。
1人1人の人生に、そうしたものが感じられる内容が、心に響く物語です。
『小林さんちのメイドラゴン』1巻 (クール教信者 先生)
OLさんとドラゴン娘の同居コメディ!
小林さんの部屋に住むことになった、ドラゴン娘のトールさん。
メイドとして、小林さんのお世話をしながら、すごす日々を描いたお話です。
人間を見下しながらも、小林さんのことは大好きなトールさん。
そのあたり、百合っぽい雰囲気を醸し出しつつも、
やはり人間とドラゴンという違いが、2人のズレを感じさせ、面白味となっています。
また、小林さんの同期(男性)や、他のドラゴンなども出てきて、
小林さんとトールとの関係に、刺激を与える存在となっているのも、楽しいですね~。
ドラゴンは、当然ですが、めちゃめちゃ強い。
人間に比べれば、はるかに強いわけですけども、
それでも、人間に危害を加えることなく、ゆるく愉快に同居しちゃってるのが、
妙な安心感と可笑しさにつながっていると感じます。
何だかんだで、楽しく日常をすごす人々とドラゴン。
そんな様子が、心地よい作品です。
『Spotted Flower』1巻 (木尾士目 先生)
「そんな未来」 (オビ文より)
妊婦な奥さんと、オタクな旦那さん。
そんな2人の新婚生活を描くお話。
「ヘタレなオタク旦那」と「気が強い一般女性」という組み合わせ、
木尾先生の作品『げんしけん』を読んでいれば、ピンと来てしまいますが、
そちらの2人と同一人物かどうかは不明・・・
ではあるのですが、「コスプレ好きの友人」までいて、
性格その他、色々とそっくりだったりするのが、面白いです。
物語は、旦那と奥さん2人による、掛け合いのようなやりとりで進行するのですが、
妊婦である奥さんが、あの手この手で、とにかく性交渉を求めようとするものの、
旦那さんはのらりくらりとかわす様子が、愉快な内容となっています。
また、旦那さんのオタク・ネタをからめながら、性生活に関わるあれこれが
描かれるのも、興味深い・・・かも?
などなど、妊婦さんのいる夫婦生活という観点にも、見所ありです!
『冴えない彼女の育て方 恋するメトロノーム』1巻
(原作:丸戸史明 先生/漫画:武者サブ 先生/キャラクター原案:深崎暮人 先生)
『冴えない彼女の育て方』スピンオフ、第2弾!
霞ヶ丘詩羽は、学年1位の秀才。
と同時に、女子高生人気ラノベ作家「霞詩子」でもある少女。
そんな彼女のファンだった後輩・安芸倫也は、とつぜん担当編集を任されてしまい・・・
『冴えないヒロインの育て方』は、安芸倫也を主人公に、
“冴えない”少女・加藤恵をメインヒロインとしたゲームを作成すべく、
澤村・スペンサー・英梨々(イラスト担当)と、霞ヶ丘詩羽(シナリオ担当)の協力を得ながら、
コミケでのゲーム頒布を目標に、奮闘する姿を描いた物語です。
そのヒロインの1人、詩羽先輩をメインにすえたのが、本作品となっています。
見た目美人で成績優秀・・・ ではあるものの、口を開けば、毒舌連発。
創作の際は、まるで別人のように荒ぶる姿を見せるのだから、ちと怖い。
そんな詩羽先輩の担当となった倫也くん。
もちろん振り回されまくりなのですが、同時に、彼女が彼を必要としている様子が、
とてもいじらしく描かれていて、好感触です。
原作では、あまり見られない詩羽先輩の表情に、魅せられちゃいますね。
スピンオフ・コミックスは、他にも英梨々をメインとした「egoistic-lily」もありますが、
本作「恋するメトロノーム」は、原作者・丸戸先生による書き下ろしストーリーになってます。
また、『冴えない彼女の育て方』は、アニメ化も決定していて、そのあたりでも注目作。
単なるラブコメ的ラノベ作品というだけでなく、コミケを目標にした少年少女の
創作に対する真摯な想い、辛苦な日々が、コミカルかつシリアスに描かれる骨太な作品。
「恋するメトロノーム」は、詩羽先輩の想いを中心に、
彼女の担当となった倫也くんとのラブコメ調な物語ではありますが、
作家と担当という関係での、創作への取り組みも、大きな見所。
何より、詩羽先輩の可愛らしさが、原作より増し増しになってる印象で、目が離せません!