「お気に入り」単巻作品3つです。
完結作品は、さすがに書けなさそうですね(^^;
2巻以降も出ている作品については、書きたいのですがどうなることか・・・
『零の帰還』 (滝沢聖峰 先生)
「航空戦記物の名手が描く珠玉の短編集」 (オビ文より)
表題作『零の帰還』をはじめとする、大戦時の様々な人々の生き様を描いた作品の数々。
『新太平洋戦記』の新装版でありつつ、短編版『東京物語』と、
新作『死の約束』を加えた構成になっています。
B-29爆撃機のそなえ配備された「雷電」について描かれる『迎撃機』。
日本本土空襲を前にして、消極的に空戦に挑む青年の物語『月光、夜明ヲ見ズ』。
南の島で苦肉の策・夜間空襲をおこなうパイロットを描く『暁に還らず』。
終戦を迎えた特攻隊の教官に起こる出来事の話『戦争は終わった』。
などなど、主に劣勢となった日本における兵士たちの生き様が、
一抹の寂寥感と、やるせなさを伴って描かれており、
決して勇ましいだけではない節度ある内容となっているのが、好感を持てますね。
だからと言って、ただ文句を言っているわけではなく、作中の登場人物たちは
やるべきことをやりきっているからこそ、その行動や言葉に説得力があるわけで、
この点は決して見逃してはいけない点であるとも感じます。
他にも、アメリカの航空母艦エンタープライズの話や、
真珠湾の戦いにおける裏話的物語など、視点の異なる短編もあって楽しめました。
『東京物語』は、上下巻で刊行されている長編で、こちらもおススメの作品ですね。
私は大戦時の戦闘機やパイロットには、まるで詳しくないため、
そのあたりの解説もありがたかったりしました。
生と死が隣り合わせの戦争という状況に、思いをはせてしまう作品であります。
『岸辺露伴は動かない』 (荒木飛呂彦 先生)
『ジョジョの奇妙な冒険』のスピンオフ短編集!
杜王町に住む人気漫画家・岸辺露伴を主人公に、
彼の取材先で起こる様々な恐怖体験を描いた物語の数々。
『ジョジョの奇妙な冒険』第4部に登場する、露伴先生が主役というのが面白い。
ちょっと変わった漫画家先生で、特殊能力“スタンド”を使って人を本にすることができます。
そんな力を持つ露伴先生ですが、作中では不可思議な怪奇体験を前に、
ピンチに追い込まれること、しばしば。
そこを能力だけでなく、知恵と勇気によってしのいでゆく所が良い感じですね。
『懺悔室』は、他の短編集にも収録されていた作品で、
ヴェネツィアにある教会の懺悔室へ入り込んだ露伴先生が、
そこに訪れた男の懺悔を聴く羽目になり、その内容の奇怪さと驚きの結末を楽しめます。
他4つのエピソードが収められていますけど、私が好きなのは『富豪村』。
女性編集が買おうとしている山中の別荘を、彼女と共に訪れる露伴先生が、
マナーの問題を突きつけられた挙句、危機の陥るという不可解なお話で、
そのピンチからの脱出に、とても爽快なものを感じましたね。
また、「ジョジョ」をご存じであれば、見知った顔も出てくるのが面白い所。
これで終わりなのは残念なので、ぜひとも続編を読んでみたいですね!
『機動戦士ガンダムUC 虹にのれなかった男』
(シナリオ:福井晴敏 先生/コミカライズ:葛木ヒヨン 先生
/原案:矢立肇 先生・富野由悠季 先生)
機動戦士ガンダムの登場人物、ブライト・ノアが振り返るガンダムシリーズ。
連邦宇宙軍ロンド・ベル隊司令であるブライト・ノア。
彼が、コロニー駐在武官の招待により訪れた屋敷で、
査問まがいの尋問にかけられる場面から始まる本作品は、
ガンダム・シリーズをブライトの回想により、たどってゆく内容となっています。
全ての始まりとなった1年戦争を描いた『機動戦士ガンダム』。
そこで出会ったアムロ・レイをはじめとする人間たち。
さらに、「Zガンダム」「ZZガンダム」「逆襲のシャア」と、
シリーズを通じて起きた出来事が、ダイジェスト的に語られてゆきます。
これら初期のガンダム・シリーズをご存じであれば、
その内容に懐かしさを覚えることもありますし、知らないのであれば、
シリーズに興味を持つきっかけに、なるのかもしれませんね。
「逆襲のシャア」での“奇跡”が、ニュータイプという存在の大きさを匂わせ、
そのあたりがキーとなる尋問に、1つの答えを出すブライトは、
このシリーズにおける見届け人のような立場なのだと、強く感じさせられます。
正直ダイジェストで描かれてしまうため、さほどの感慨はないのですけども、
私としてはちょっとした懐かしさと、ブライトの出した答えに、感じ入るものがありました。
やはり、ガンダムは面白い!
私はこのあたりのシリーズしか、詳しくは知らないのですけども、
現在放映してますアニメ『ガンダム ビルドファイターズ』は、かなり楽しませてもらってます。
こうした広がりはもちろん、初代シリーズも、さらに楽しんでゆきたいものですね。
などなど、単巻作品の紹介でしたが、他にも
『NieA_7』(安倍吉俊 先生)、『ニッポンのリア先生』(新居美智子 先生)、
『ガールズ&パンツァー コミックアンソロジー』なども買っています。
これらの作品についても書きたかったのですが・・・ 力及ばず。