「お気に入り」マンガの完結(単巻)作品いろいろです。
ちょっと前のものから最近のものまで・・・
なお、ここに書ききれなかった作品も多いです(^^;
『GUNSRINGER GIRL』15巻 (相田裕 先生)
「少女と銃の物語 完結」 (オビ文より) ※ 特装版は買えなかった!
イタリア首相府が極秘で設立した「社会福祉公社」なる諜報機関。
そこに配属された〈義体〉と呼ばれるサイボーグ少女たちと、
彼女らのパートナーとなる担当官を通じて描かれる、凄惨なる対テロの戦いも、完結!
多くの犠牲を出しながらも、最後の戦いに決着がついた・・・
と思ったのも束の間、次は政治的な策動による不穏な動きが、公社に迫る展開。
そりゃまあ、哀しき〈義体〉少女たちの物語が軟着陸するとは思っていませんでしたが、
こうした“渦”に巻き込まれるカタチで、終結を迎えてゆく様子には、
ちょいと物寂しいものがありましたね。 報われないというか、泣きっ面にハチというか・・・
この最終巻では、最後の戦いから生き残った人々がその渦中で、
それぞれ決着をつけるべきことに決着をつけたり、取り戻すものを取り戻したりと、
残った者たちの足跡が描かれることになったわけで、どれもこれもが感慨深く、
そして、愛おしいものでありました。
とくに、ヒルシャーとトリエラの“残したもの”がつないだ「未来」。
これに私は、深い感動を覚えずにはいられませんでしたよ・・・
あまりに哀しい宿命を背負い、戦い続けてきた少女たちの物語。
その結末は、それぞれにそれぞれの“さいご”を迎えたものとなりました。
願わくば、その眠りが余計なものに邪魔されず、安らかでありますよう・・・
『FRONT MISSION DOG LIFE & DOG STYLE』10巻
(原作:太田垣康男 先生/ART:C.H.LINE)
架空の島を舞台に描かれる「戦争」という名のエンターテインメントと惨劇と・・・
原案はゲーム「フロントミッション」の世界。
ヴァンツァーと呼ばれる巨大人型兵器が投入される戦場で、くりひろげられる戦い。
ハフマン紛争における様々な人々の、数々の物語が描かれてきたオムニバスも、完結!
ラスト・エピソードとなったのは、「羊飼いの帰還」。
「羊飼い」とあだ名される常木楷の、弟との再会、そして戦いも、いよいよ佳境。
シリーズ最長でつむがれてきた物語は、最新鋭のヴァンツァーも登場しての大決戦。
悲惨、悲壮、悲哀。 とにかくすべてが悲しみに包まれた戦いの行方やいかに・・・?
といった内容に、ぐいぐい引き込まれましたね。
人間模様の終着点。
その決着は、希望を前にしながらも、戦争の凄惨さを知るものでありましたが、
これはほとんど今までのシリーズで貫かれてきたテーマでもあったように思います。
ヴァンツァーという巨大人型兵器が活躍する戦場は、
いわば「戦争」をエンターテインメントとして捉えたものではあるのですが、
本作品では、そこをエンタメのまま描きつつも、単純に爽快な勝利につなげることはせず、
まさに「戦争」という悲劇を見事に描ききったものであったと感じます。
その一方で、エピローグでは、シリーズを通して傍観者でありながらもレギュラーであった
カメラマン犬塚研一の「その後」を描き、エンタメがエンタメとして存在できるのは、
それを愉しむ人々がいるからなのだと、そして、それは読者もまた同じなのだということを
きちんと表現していたのには、もはや感服するほかありませんでしたね。
戦争ある所に「犬塚」あり。
私はそれでも、「フロントミッション」としての続編を望まずにはいられない・・・
そうしたラストでありました! (関連記事:◆ この人を見よ! アレックス・フォン)
『麗島夢譚』4巻 (安彦良和 先生)
島原の乱から国姓爺合戦の時代を舞台に描かれる、伴天連・海賊・チャンバラ絵巻!
若き水軍頭目・伊織が出会った、謎の日本人と西洋人。
そこから始まった天草四郎をめぐる陰謀は、宮本武蔵やら三浦按針ゆかりの者、
そして鄭芝龍までも加えての、縦横無尽に駆け回るドタバタ活劇。 その完結巻です。
あとがきにもあるように、まさにチャンバラなんですよね。
その軽快な躍動感が、ややシリアスな内容すらも、どこか軽やかに感じさせて、
エンタテインメントとして充実した作品となっていたように思います。
天草四郎から鄭成功まで、様々な歴史上の有名人が登場しますが、
そのあたりは創作による「嘘」が織り交ぜられ、なかなか楽しいお話になっていました。
最後は、ラスボス的立場として、知恵伊豆さんまで登場。(悪役顔だった)
ですが、あとがきに書かれたような評価も加えられていて、
歴史上の人物を、単純な正義や悪にしていない描き方はさすが。
終盤の戦闘と、その決着など燃えましたし、オチ的ではありましたが爽快でしたし、
チャンバラとしての面白さも、かなりのものでありました。
主人公であるはずの伊織には、ちょっとしまらないシメとなってしまいましたけど、
楽しませていただきましたー!
『ウォースパイト マルスの目』2巻 (竿尾悟 先生)
「戦争は結局、人間の欲望の発露だ」 (本編60ページより)
東郷有希は高校生であるものの、
人々の欲望が歴史上の「戦争」をかたどって見えてしまうという目の持ち主。
クラスメイト・西野茜と普通の生活を送りつつも、その力は災いを呼び寄せ・・・
アワーズ連載の表題作のほか、描き下ろし未発表作品も加えた最終巻となっています。
人の欲望が、歴史上の「戦争」となって見えてしまうという設定は、
私にとってはかなり惹かれるモノでありました。
この巻でも、イラク戦後のファルージャ鎮圧戦や、マタパン沖海戦といった戦争が描かれ、
その中で登場人物たちがしのぎを削り合う姿には、心躍ってしまうものを感じてしまう、
私はそんな人間です。
だからこそ、このウォースパイト(戦争を軽蔑する)というタイトルの意味は、とても重い。
エンターテインメントでありつつも、戦争の凄惨さを忘れることはない、という描き方は、
かなり重要なものだったと思っています。 描き下ろし未発表作品も、楽しめました!
『ネクログ』4巻 (熊倉隆敏 先生)
「入魂の仙術ファンタジー ここに完結!」 (オビ文より)
薛姐(シュエねえちゃん)を生き返らせる目的で、
道士・胡才良(フー・ツァイリャン)に弟子入りしたフリーライター・宋玉生(ソン・ユーシェン)。
宋は胡の仕事を手伝うことで、薛姐を蘇らせる術を授かろうとしますが・・・
様々な道士・怪・神様まで加えてのオリエンタルファンタジー、その完結巻です。
姚兄妹との戦いは、思わぬ苦戦を強いられての盛り上がりを見せます。
その決着後、舞台は冥府へうつり、一連の事件の真相や、胡の正体が判明し、
物語は終着点へと向かうことに・・・
これが、なかなかに仙術大戦といった様相で、かなり面白かった!
けれど重要なのは、やはり宋の薛姐を蘇らせる反魂の儀式でしょうね。
宋の目的が彼女を生き返らせるものである以上、
あの展開は何の不思議もないものでしたが、その過程はもどかしいものでもありました。
読者視点で見ていると、最後に選んだ道へ早く進むべきだった、とも感じてしまいますが、
そこまでの経過は、宋にとって必要なものだったんですよね。
「同じ結果であっても過程で得たものが大切」という描き方が、見事でありました。
本作品における、仙術ファンタジーという題材は、かなり私好みのものでして、
そのあたりをもっとじっくり堪能してみたかったのですが、これにて完結。
熊倉先生の前作『もっけ』も大好きでしたし、またどこかで会えることを望んでいます!
『魔法少女まどか☆マギカ ~The different story~』下
(漫画:ハノカゲ 先生/原案:Magica Quartet)
大人気アニメ『魔法少女まどか☆マギカ』、アナザースピンオフ!
もし、巴マミが生き残っていたら?
・・・といった仮定で描かれる時間軸の物語も、完結となりました。
最後は、袂を分かった杏子との戦い。
そして“魔女”との決着を経て、ワルプルギスの夜に至る内容となっていましたが、
物語全体(アニメ版の決着まで)を見越しての構成となるためか、
終盤はやや強引に展開していたようにも思えます。 これは仕方ないことですけども。
ただ、それでもマミ&杏子の師弟関係から、
「友達」「家族」といった、それぞれが大切にしたがっている関係性を見出している点には、
なかなか感じ入るものがありました。 マミと杏子のキャラクターをよく把握していますね。
だからこそ、この2人に重点が置かれた物語は秀逸なものでした。
アニメ版ではあまり関わらない(けれど知り合いらしいという)2人ですからね、興味津々。
結末は、当然ハッピーエンドとはなりませんでしたけど、
マミが抱いた想いはしっかり感じられるものであり、ゆえに感動的でもありました。
彼女の願いは「生き続ける事」だったのだから、その死は、絶望そのものなんですよね・・・
この後に(アニメ版での)救いがあることを知っていればこそ、
受け止められる物語でもあったのかもしれません。
『天才柳沢教授 孫・華子との生活 Special short short』
(山下和美 先生)
『天才柳沢教授の生活』の柳沢教授と、孫・華子を描いたショートショート!
規則正しい生活をおくる柳沢教授と、周囲の人々とのふれあいが
楽しかったり、趣深かったりする作品です。
単行本初収録にオールカラーと、お値段的にはキツイですが、おトク感あり。
柳沢教授と華子ちゃんは、本シリーズでもよくピックアップされるコンビですね。
規律正しくはあるものの、決して堅物というわけでもない柔和な教授は、
疑問を持ったことについて考えずにはいられない人物。
そんな彼の思考と、まだまだ子供である華子ちゃんの良くも悪くも純真無垢さが、
見事なハーモニーとなって楽しませてくれます。
たとえば柳沢教授は、理詰めで考えるタイプなので芸術がよくわからない。
けれど華子ちゃんは(知ったかぶりもあるけど)芸術を楽しんでいる。
そんな孫の様子に、自分は華子ちゃんから学んでいると感じたり、
かと思えば、節分の豆まきで「なぜ鬼が悪者なのか?」とマジメに考えて、
華子ちゃんに問いただしたりと、2人の無垢と思考のコミュニケーションは、
見ていてかなり面白い組み合わせになっています。
ときにユーモラスに、ときにハートフルに、楽しませてくれる作品です。
本シリーズ共々、興味ある方はぜひ、手に取っていただきたいですね~。
この他、『ウワガキ』、『EVER17』、『新撰組刃義抄 アサギ』、『TARITARI』などなど、
多くて書ききれなかった作品もありました。
また、「うみねこ」各エピソード完結巻についても、またいずれの機会ということで・・・