作者は、宮原るり先生 (サイト:ヘッポコロジー)
麦田美苑(通称・麦みそ)のライターとしての成長を通じて描かれる、お仕事4コマ作品。
小さなデザイン会社を舞台に、先輩・同僚・仕事先の人々との交流、
そして仕事内容が、面白おかしく、時に世知辛く、くりひろげられる物語です。
【若手3人組の成長、そのひと段落】
●麦・米・粟=穀物トリオ
麦田美苑=麦、米原梨絵=米、粟屋真琴=粟で、穀物トリオ!
【第一部完】となるこの第6巻。
この若手3人組の成長に、1つの区切りがついたことが大きのかな、と感じます。
この巻では、おもに米子こと梨絵さんの成長が描かれています。
麦みそさんについては、今までじっくり丁寧に追いかけてきたわけですし、
その成長はよくわかっているのですから、ここでは「梨絵さんから見た麦みそさん」
という描かれ方で、その成長を感じられる構図になっていますね。
また、真琴さんに関しては、イメチェン回が重要だったのかと。
人物紹介でも、大島さんに「外見は飾れ」なんて言われているのは、
それが彼女にとっての課題であることを示しているのに他なりませんから。
●米原梨絵が踏み出した一歩
この巻で一番成長を感じられたのは、梨絵さん。 (右画像は2巻58ページより)
イベント実行委員の会議に参加して、人見知り全開。
麦みそさんの大らかな対応をみて、いろいろと感じながら考えながら、
人の輪の中へと踏み込んでいく彼女の姿はひたむきで、共鳴してしまう部分もありました。
連載時の感想でも書きましたが、
麦みそさんに比べて自分のことをもどかしいと感じつつも、
そこで嫉妬などにせず、自分のステップアップにつなげようとする姿勢が、私は好きです。
足取り重く、ゆっくりと、だけど確実に前進しようとする彼女に、
ちょっとした感動を覚えたりもしましたよ。
「米子」と呼ばれ、親しまれることに肯定的となった梨絵さんの心は、むしろ晴れやか。
2巻58ページで、梨絵さんが前の職場でムチばかりもらっていて、
それで自信を失っていたという事が、チーフの口から語られていましたが、
ようやくここにきて、彼女は自信をある程度、取り戻せたような気がします。
だからこそ、ひとしおの喜びを感じられるんですね・・・ 素晴らしい!
【社内恋愛というテーマ】
●カジみその熟成具合
第一部の区切りとしてもう1つ大切なのは、カジさんと麦みそさんの関係ですね~。
いつもはイヤミ井ばかりのカジさんと、それに応じる麦みそさんという2人。
これまでも、じわじわ接近中? といった雰囲気でありましたが、
それがここにきて、1つの段階を経ているような、そうでもないような感じに・・・
このあたりのことは連載時に感想書いてますので、ご参照いただければと思いますが、
問題なのは追加シーンですよ!
連載時では見えなかった、美苑さんの心情。
終盤103ページ~108ページは、まるまる追加シーンとなっています。
米子さんの成長を感じられる場面。
それを眺めて社長&チーフが語り合う場面。
そして、美苑さんがカジさんの努力と気づかいを知る場面。
これらが加えられることで、この巻のシメがさらに引き締まったものとなっていました。
さらに言えば、連載時には見えなかった美苑さんの心情が感じられたのもよかった!
連載時は、カジさんの方がやや自覚的になったようではありましたが、
美苑さんの方にはとくにそうした「進展」がなかったんですよね。
それが追加シーンによって、彼女の内面にも大きな変化が起きたのだとわかることに。
つまり、これによって2人の距離は、お互いに近づきつつあることが示されたわけですよ。
まだまだ、ほんのわずかな変化を感じている段階ではありますが、
これからを期待させるような2人の進展は、穀物トリオの成長ひと段落とともに、
【第一部完】にふさわしいものと言えるでしょう。
現在、連載はお休み中。
ですが、新たな段階へ進むであろう穀物トリオの面々や、
カジみその関係に注目すべく、再開を待ち望みたいと思います!
【まんがタイム 連載時感想】
2012年 7月号 イベント会議 アイデア出しのための“数式”
2012年12月号 イベント終了! そして、カジみそ接近中・・・? 【第一部完】