工事中も環境美を考える。
日本に帰ると「只今工事中です。ご迷惑をおかけして申し訳ありま
せん」と工事用帽子を被った男の子が伏目がちに頭を下げている立
て札があちこちに見られ、「どういたしまして」と迂回する。
「注意しろ」と命令している点滅灯よりは、この看板はフレンドリーで
可愛らしい。
ある日、シシリーのパレルモで車も通過できないほど狭い石の
ブロック路の突き当たりに幻かと思われる美しいグレイの建物が浮き
上がっている。近ずくとまったくオリジナルと同じに修復される建物の
実物大白黒写真がメッシュに印刷され、工事現場の囲いになっていた。
勿論由緒ある歴史的建造物らしい。イタリアの建造物が美しいのは
工事する人ばかりでなく出来上がるまでの環境を維持し、歴史に感
謝し、修復を楽しみにしている人たちの心いきさえも分かり、さすが
イタリアだと感心したものだった。
あれからもう10年もたつ。その間ニューヨークのビルの巨大なビル
側面広告は看板屋の手描き看板から、巨大ビニール印刷のシートが
ぶら下がる時代になった。
しかし最近、ニューヨークにも出来上がりビルのイメージを美しいメ
ッシュ印刷で囲む業者が出てきて道行く人々を楽しませてくれる。
141 22丁目の5番街。遠くから見ても、なんだろうとそばにいって
みたくなる嬉しさがある。サイトで完成後のアメニティを、ニューヨーク
らしいジャズをバックに建物の上部4軒しかないアパートをすでに売
出している。一見に価す素敵なサイトである。141fifthavenue.com
自然博物館の工事中の覆い
自然博物館で今修復中の建物の覆い。ストリートに面する塀には教
育的なクイズやインフォメーションが書いてあり、建造物維持の誇りに
満ちている。
この工事中のイメージ印刷は、ステキなアイディアですね。そして、141fifthavenue.comは、本当にウットリ。いつか住みたい、こんな部屋。
The NY Timesの不動産広告の(お部屋紹介の)動画も大好きな私です…。
これからもブログを楽しみに読ませていただきます。
マンハッタンの摩天楼を眺められるアパートに住める人たちは本当に幸せです。1930年代に建てられたグランドセントラル駅の前に立つチャニンビル、チャニンさんはトップフロアに孫悟空のように住んでいたんですよ。当時で水洗は勿論、ひねれば熱湯が出、窓の外には雲が走る。人間の夢は果てしなくて楽しいですね。