遅いことは猫でもやる

まずは昔メールした内容をひっぱってきて練習...
更新は猫以下の頻度です。

お知らせ

Twitter で更新情報が観られます。やってる方はこちらからフォローどうぞ。
http://twitter.com/gaiki_jp

銀行員の生き方

2018-04-04 03:39:07 | 

池井戸潤「アキラとあきら」徳間文庫 2017年刊

このところパソコンを変えたばかりで操作が不慣れなので、つい読書に向かってしまう。読書は進むが情報に触れる時間が少なくなってきた。退屈でしょうが、書評にお付き合いください。

「陸王」「半沢直樹」シリーズなどで人気絶頂の池井戸潤の作品。また分野も銀行員の活躍という著者の得意分野だ。生まれも育ちも違う二人の青年が就職先の銀行で出会い、運命が交差する。進む道は違うが助け合う立場になり、やがて企業再建に一緒に取り組む。

二人は過酷な局面に立たされ、打開に苦しむが智慧と努力を振り絞り、挫折しながらもなんとか打開する。絵に描いたようなハッピーエンドではなく、苦労に苦労を重ねた末の問題解決というところが、半沢直樹シリーズのような痛快さには欠けるが、現実味が加わってくる。

お互いの立場、解決策の困難さ、生い立ちや環境からくる思い入れなど、小説として道具立ては揃っている。得意分野だけにリアリティに富む語り口で、かなり興味深い小説である。


若き日の肖像

2018-04-03 04:38:39 | 雑感


家の中を整理していたら、ホコリにまみれてダンボールの箱が出てきた。開けてみるとロータリークラブの綱領や、同級会開催時の寄せ書き色紙に混じって、JC(青年会議所)卒業時の肖像写真が出てきた。

メンバーだった写真館の主がJCロゴをバックに卒業生一人ひとりを記念撮影したシーンが思い出される。36年も前の話だ。懐かしく見てみると、髪はまだ黒くふさふさと生え、眼光は自信に満ちている。未来は自分で切り開いてゆくという決意に溢れ、将来を少しも悲観していない面構えだ。穏やかに周りの人を信じ、「明日は今日より進歩している」ことを疑わない顔つきである。

若いということは素晴らしい。40歳の頃はこんな顔をして毎日暮らしていたのか。今や頭も薄くなり、白くなってきた。時々は認知症の疑いをかけられる、後期高齢者の仲間入りをして、毎日足元を見て過ごす境遇だが、この頃はある意味人生のピークだったかもしれない。仲間との数々の思い出がよぎる。この写真は今後活用することはないだろうが、撮影時の思い出が沸き立ってきて、処分するにはいささか気が重い。

老人の独り言

2018-04-02 02:32:21 | 

若竹千佐子「おらおらでひとりいぐも」河出書房新社 2017年刊

第157回芥川賞受賞作品。著者自身が63歳の新人作家である。難解な東北弁を交え、日常に感じる数々の事象、身の回りのことや母親になった子供との関わり、幼い頃の思い出、なくなったご主人とのやりとりなど、誰にでもあることを自分に問いかけ感じたままを東北弁で書く。

ちなみに標題「おらおらでひとりでいぐも」は、「私は自分で一人行き(生きる、逝く)ますから」くらいの意味です。

これが意外に(と言っては失礼だが)哲学的で奥が深い。老人の繰り言のようにも思えるが、なにか普遍的な側面を持っている。
何よりも、自分以外に責任を持ってゆくような愚痴っぽいところ、攻撃的なところが少ないのが良い。

生きていること、この世とあの世のこと、孫との関わりなど、不思議な暖かさを持つ津軽弁で語られる。ストーリは殆どないのだが、いわば小説というより哲学書と言った趣だ。

なかなか興味深い書である。

亀城公園の桜

2018-04-01 01:28:30 | 雑感

満開の桜

ブルーシートで場所取り

亀城公園の中心の橋 宴会も始まっている

この週末はお花見のピークのようだ。我々も近所の亀城公園にでかけた。木曜日が満開らしく、既に足元には花びらが舞っていた。以前と違って桜の下の草原は立入禁止になって居り、BBQ禁止と共にやや寂しくなっている。

変わってペット連れの人がチラホラ見受けられ、時代の変化を感じさせられた。まだまだ花はたわわに咲き誇り、風が吹くと一面花吹雪となって花びらが舞う。

池には鯉や亀が遊び、花筏が風に寄せられて岸辺に集まる。大きな規模の桜ではないがそれでも到るところの木々は今を盛りと咲き誇り、落花にものの哀れを感じさせる。
満開ではなく散り際に価値を置いた昔の歌人に、日本人の繊細な感性を思わずにはいられない。



頭上の桜

落花始まる

池の水面に浮かぶ花びら