遅いことは猫でもやる

まずは昔メールした内容をひっぱってきて練習...
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グレートジャーニー

2008-06-13 15:05:22 | 講演録


NHKなどで紹介されている、南米ー北米ーユーラシアーアフリカを、徒歩、犬ぞり、馬、駱駝、自転車、カヌーなどで踏破した、探検家・文化人類学者、関野吉晴氏の話を伺った。氏は人類発祥の地アフリカを目指し、南米大陸の最南端から遡って旅をされた(グレートジャーニー)。

朝食勉強会のゲスト講師である。

ざっと数えたらこれまで5000日は旅をしたと言う。その多くは南米。しかも通信手段のないところへ分け入るので、言葉も殆ど通じない。そんな時は真剣に日本語と手振りで、泊めてくれ、喰わしてくれ、何でも手伝います、と話しかけるのだそうだ。

実際は、手伝うといっても、狩などの足手まといになるので、子供と遊ぶ事くらいしか、やる事が無いらしい。
現地の人たちは、生活範囲のことは実に克明に知っている。自分達の河の細かい支流、どこに魚がいるか、どの水場に動物が水を飲みに来るのか、どの木の実が何時ごろつくのか、など詳しいが、生活範囲でない隣の河のことは殆ど知らない。地球が丸い、陸地より海が大きいなんて事も知らない。

「お前はどこから来たのだ」「多摩川の近くだ」「ここからどれくらいかかるのだ」「まあいろんなものを乗り継いでも、3.4日かかる」「それなら隣の河と同じくらいだ。家族を連れてここで一緒に住んだらどうだ」と言われた事もある。現地人に襲われた事はない。
一度だけピストル強盗に出会ったのは、チリの都市だった。

アフリカで生まれた人類が何故世界に広がったのか。人類が、衣服や住居を作って、北限を超えた。また、夢や希望や向上心、好奇心で移動するのではなく、弱い部族が強い部族に追い出されてやむなく移るのだろう。日本でも弥生→縄文→アイヌ・熊襲と強いものが、弱いものを押し出している。しかし弱い部族は、必死に悪い条件でも生き延びようとするので、結果的には弱いほうの文化・文明が発達することが多い

南米にヨーロッパ文明が入ってきたのは、鉄器と感染症の力である。家畜から乳を取る事のなかった、南米の人たちは、動物と距離をおいて生活しており、感染症の免疫ができていなかった。ヨーロッパから列強が進出してきて、死んだのは95%感染症である。

次は、日本人がどこから来たのか、を実証しようと、インドネシアからカヌーで海を渡る予定。砂鉄から鉄を取って道具を作って、丸木舟をこしらえ、竹で補強して、島伝い4~5ヶ月かけて北上する。来年の4月くらいにスタートする予定で、大学にも休学届けが受理された。

動力を使わず出来るだけ現地のもので旅をするといろんなものが見えてくる。シルクロードは比較的平坦だが、南米は起伏が激しい。家族と言うのは子育てのために生まれた組織体である。人類は、ゴリラやオランウータンと違い、父親も直接間接を問わず、子育てに参加するようになってきた。立つ→手が使える→道具を使うことなど出来るようになり、人類のみ、全地球に広がる。

人間は文明無しでも生き延びられるほど、しぶといが、自然(動物、植物)なしでは生きられない。この原則はしっかり認識すべきである。

とまあとつとつと語り、穏やかな、肩に力の入らない方であった。


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