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松本にいた頃、北アルプスでひときわ秀麗な山が真ん中に聳える。蝶ヶ岳などと並んで初心者向けの山だという先入観があって、あまり気に求めなかった。今年の春安曇野から見上げてその姿に改めて登ってみたくなった。体力の無くなる前にやっておこうと言うわけである。
海の日(7/16,17,18)3連休に行くつもりだったが、天候が悪くこの土日に決行することとした。長男が金曜日の夜、合流し家人と3人での山行である。早朝出発し登山口に着いたのは未だ8時前、それでも駐車場は満車。そこはジムニーの強み、路傍の小さな空き地に駐車して出発。パラパラと雨が降っているが天気予報は晴れに向かうということで気にせず出発。ここに来る途中、人家の近くの道路上や脇に猿が沢山いた。小型のであるが30匹位の群れに出会った。山から里に降りてきている。車にもそんなに驚いた様子はない。
登山口には大勢の人が出発前の賑わいを見せていた。今年から義務化した登山届を管理事務所に提出した。一の沢から常念、前常念を経て三股へ降りる予定である。ここの案内板は、現在地の高度、登山口までと常念小屋までの距離・高度、を表示してある。時間に余裕があるのでゆっくりとしたペースで出発。小屋まで4時間半の行程である。30分ほどで木製の鳥居が現れる。文字通り「山の神」だそうだ。道端には綺麗な紫の花が咲いている。雨はだんだん少なくなってくる。40分ほどで小さな池に出くわす。「古池」とある。蛙が飛び込むにはちと浅いが水は綺麗だ。小さな沢を幾つか超えるし、道には水が溢れて流れている。少しずつ斜度がきつくなってくる。
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1時間30分以上歩いて、王滝ベンチ到着。ここも私達を追い抜いていったが大勢の人休憩していた。この道は沢が多く、それぞれ丸木橋がかけられよく整備されている。技術的にも体力的にも初心者向きコースというのはうなずける。距離的には半分だという烏帽子沢出合いまで3時間ほどかかったがまずは順調である。更に進み皆が休憩している沢の脇を通り暫く行くと笠原沢出合い到着。
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やがて、沢を渡って右岸に道を取り、胸突き八丁の下につく。ここら見ると左岸は絶壁でそこをジグザグに高巻きして、階段下に着く。そこまでの斜面は黄色やピンク、紫、白の花が咲き乱れるお花畑がきれいだ。胸突き八丁のスタート場所にはヘリが運んだと思われる貨物が置いてあり、そこから階段が始まり、ロープが張ってある崖の上の細い道が続く。最後の水場を過ぎいよいよ傾斜はきつくなる。ところどころにベンチが設けてあり、800m、500m、300mと表示してある乗越までの距離が、疲れた身体を励ましてくれる。やがて樹林帯を抜けると視界がひらけ間もなく乗越しに到着。霧は全部は晴れてはいないが多くの人が標識やテント場の周りに憩っていた。風の強い乗越しより一段低く常念小屋があり大勢の人がチェックインを行っていた。到着は2時半。出発から6時間、標準コースタイムの5割増しである。ここまでは時間はかかるが、我ながらまずは健闘している部類だと納得。
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小屋にチェックインのおり、明日のコースについて尋ねると、「今日のコースタイムから考えると明日は10時間以上かかります」と答えが帰ってきた。現在の自分の体力、長男の帰京の時間もあるので無理をせず往路を帰ることにする。部屋6畳位で一つの布団に2名つめ込まれた。富士山以来の混雑である。あまりの混雑なので、屋外で一杯ややることにした。なんと山小屋にもかかわらずここではジョッキで生ビールが頼めるのだ。小屋の前のベンチはいっぱいなのでその近くの階段で楽しむことにした。ツマミは焼き鳥、枝豆、ピリ辛のメンマと豊富だ。霧が出てきて景色が隠れるが、酒盛りが盛り上がり、お酒の追加や持参のカナディアン・バーボンを持ちだしてこれも水割りで楽しんだ。高所の酒はよく回る。久しぶりの親子水入らずで宴会をした。夕食はハンバーグなど山小屋にしてはまずまず。疲れたの早々にして眠ることにしたが隣の人とどうしても触れ合う。加えてその隣の人のいびきや無呼吸症がひどくなかなか寝付けない。それでも9時ころには眠りに入った。
翌朝は物音に目が覚める。まだ暗い時計を見ると3時半。廊下で数人が出発の準備をしている。我々は4時半頃朝食を済ませ、5時少し前に出発。空は晴れていて風もそんなに強くない。いよいよかねて登ってみたかった常念岳への挑戦だ。
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