遅いことは猫でもやる

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人気、信念、現実

2014-01-24 11:35:39 | 


真山仁「コラプティオ」文藝春秋社刊 2011年7月

表題の「コラプティオ」はラテン語で汚職、腐敗の意。
真山仁は「ハゲタカ」などの経済小説で企業合併、買収の内幕などを描くのが得意な作家。

今回は政治小説。総理大臣とそのスタッフ、新聞記者、権力争いをする政治家などが、震災後の日本復興の中で蠢(うごめ)く。アフリカの小国への援助、資源(ウラン)獲得の国際的な争いのなかで現実の姿を見て苦悩する。
ドロドロした政局の内幕ではなく、標榜する正義と現実、政策実行とマスコミ対策、などの局面が取り上げられている。

小説としてはもちろん面白いが、いかにもこうだろうということでは、先の現役官僚が書いたフィクション「原発ホワイトアウト」のほうが小説の出来とは別に迫力がある。本書の刊行にあたっては、震災発生に遭遇し、著者は大幅に加筆訂正したそうだが、現政権の人気ぶりを示唆していて面白い。マスコミは功罪半ばするが、民主主義国家では権力をチェック、セーブする役割は非常に大きい。特定秘密保護法はこうした役割を「目の上のたんこぶ」と感じる、官僚、政治家にとっては是非ともほしい武器なのだろう。この法律は、政策の効率的運用を進めはするだろうが、民主主義にとっては大いに危険な性格を持っている。現在進行形の政治状況と照らし合わせると納得行くなと、この小説を読んで感じた。

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