二の橋の袂
五鉄跡
池波正太郎は私の好きな作家の一人であるが、鬼平犯科帳に度々出てくる「五鉄」という軍鶏鍋屋がある。鬼平の手の内の密偵が色々な相談や待ち合わせをする場所でもある。新鮮な軍鶏の内臓をささがきにした牛蒡と炊いた鍋を突付くさまは、食通の池波正太郎の面目躍如たるところである。
散歩の途中見つけた小林一茶の居宅跡の向かいが、小説の舞台だと案内板が立ててある。こうしたことも江戸ではまま目にすることである。「君の名は」で有楽町や数寄屋橋と言う地名や橋の名前を知ったのと同じで、鬼平犯科帳で二の橋を知ることになった。
今現在の橋は高速道路が上を走り風情も何もあったものではないが、木造のお菓子屋さんがわずかにその風情を伝えているかのようである。