遅いことは猫でもやる

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作家の力量

2015-05-16 11:22:38 | 


宮部みゆき「荒神」朝日新聞出版 2914年刊

1999年直木賞受賞作家作品。東北(福島県あたりか)の小藩同士の小競り合いが続く元禄の時代、数奇な運命を持つ双子の兄妹を中に、
描かれる双方の藩の内情。歴史上は同じ藩だった両藩が、関ヶ原の戦いを境に藩の存続を巡って考えの相違が露呈し、徳川幕府の時代になり本藩、支藩の関係となる。

小競り合いの中、突如山の怪物が現れる。なんともつかみ所のない、動物とも恐竜ともつかぬ怪物だが、この共通の敵をめぐり両藩は交々の動きを見せる。単純に二藩が一致協力して怪物にあたる、という図式にしないところや、荒唐無稽と思える怪物の様相、行為、出自の由来など、それらしく描写しているのは、著者の力量だろう。主人公は怪物、二人の兄妹、だがこの騒動の解決も、いろいろな人間模様が絡まり、それほど簡単ではなかった。

何の関係もないが、ふと中国(怪物)日本、韓国(兄妹)を巡るアジア情勢を思い出した。こんな解決はゴメンだが、我々も複雑な関係にあることだけは間違いない。