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画狂人北斎

2013-07-09 07:40:26 | 行ってきました


富士山の世界遺産登録を記念して、葛飾北斎の富嶽36景(実際は46景)の特別展示をやっているとのことで、長野市近くの小布施町の北斎館へ行ってきた。

日曜日ではあったが、時折雨が降る蒸し暑い日で、小布施の人出はそれなり、そこそこであった。北斎館に直行。バスの団体客の合間で比較的ゆっくり鑑賞できた。
小布施へはもう何度目だろう。3回ではきかないと思うが、その度に訪れる北斎館は毎回展示物が異なり興味深い。



由比の広重美術館でも感じたことだが、この浮世絵絵師の構成力は凄い。「凱風快晴(赤富士)」の重なる雲、「神奈川沖浪裏」の崩れる波涛、「尾州不二見原」の桶の中から覗く富士など、この自由闊達な構成力はまさに天才だ。加えて北斎の色彩感覚(配色のバランス)が素晴らしい。波頭のディテールと様式化も確かだし、これがヨーロッパに渡ってゴッホ、ルノアールなどに影響を与えたことにはうなずける。富嶽36景は北斎71歳ころの作品だといわれるが、その旺盛な生命力には驚かされる。今際の際に後10年、せめて5年あれば、思うような絵師になれただろうに、とつぶやいたといわれるが、まさに生涯懸けて絵の世界に没頭した北斎を象徴する逸話だ。

富士山は神秘的な山として、房総、静岡、甲府、更に諏訪湖や尾張?など各所から、遠望された。江戸時代は現代よりいろいろな場所から富士山が見えたのだろう。それぞれの場所からの富士山がいろいろな構図で描かれている。今でもあの秀麗な姿にはなにか力をもらえるような気がするので、北斎の頃には、何か特殊な霊威があったと信じられたのではなかったのかと思われる。

別室に展示してあった北斎の肉筆画もゆっくり鑑賞し、十分楽しんで美術館を後にした。

せっかく小布施まで来たので、近くの街並を散策し、小さな路地に足を向けた。オープンガーデンの表示をしている民家もあり、日本庭園を覗けるのは、ほっこりした感じになる。観光バスで乗り付けた今までとは違った小布施の雰囲気を味わった。


小さな路地にも風情を感じる