遅いことは猫でもやる

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洒落たエッセイ

2013-07-05 08:00:57 | 雑感


先日畏友が貸してくれた本の中に杉浦日向子のものが数点あった。どんなものだろうと何気なく手にとって見たら、これが予想以上に面白い。
杉浦日向子著「隠居の日向ぼっこ」新潮文庫刊 2005年刊

江戸風俗の研究家であろうか、昔のことについて詳しい。池波正太郎の藤枝梅安の中で相棒が「ふさようじ」作りとあったが、一体どんなものだろうと興味があった。それがちゃんと解説してある。江戸時代は清潔な身なりが身上だったとの解説付きだ。

江戸っ子は気が早いと決まったものだが、昔の時刻はのんびりしたものだった。いっときは2時間前後だから「暮六つ」に待ち合わせたら2時間前後は約束の時間内となる。しかも昼と夜は季節によって違うので太陽と月に従い伸び縮みしていたという。時の鐘は街の中心で撞く音を聞いて順次遠方へ撞き送っていたのでずれがあった。それでも何の不便もなかった。と言う。江戸っ子の木の早さはそそっかしいとほぼ同義語だとわかる。

こんなことが書き綴ってあるエッセイで、ものや時代に事寄せながら、今の慌ただしさ、目先の事への執着をチクリと反省させる。なかなかの知識人だと思う。
この人は漫画家でもあった。文藝春秋漫画賞を88年に受賞している。2005年46歳で喉頭がんでなくなっている。惜しい人だ。

さすがに畏友である。こんな人にまで目配りをしていたのか。