風月庵だより

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『尾畠春夫のことば』を読んで その3

2021-10-10 20:56:14 | Weblog

10月10日(日)曇り【『尾畠春夫のことば』を読んで その3】

今週も、土、日の法事のおつとめをつとめることができました。普通は日、月、火、水と日曜日からスタートでしょうが、お寺は、土、日と檀務がほとんどありますので、日曜日が終わって、一週間がおわったという感じが強いです。

終ったあと、日曜日にはいつも猫ちゃんたちの食事を買いに出かけます。内3匹、外3匹合計6匹の食事ですから、かなり量があります。重いので、このお寺に入ってから間もなく、猫のためのボランティアで荷物持ちに来てくれる人がいますので助かっています。

それで、日曜日はきりが付きます。

今、パソコンの前にようやく坐りまして、『尾畠春夫のことば』をまた読み返しまして、本当に苦労して生き抜いてきた人の珠玉の言葉を紹介しようと、ページをめくりました。しかし、言葉だけを取り出すのは、どうも十分ではありません。その言葉が出てくる背景があります、ドラマがあります。これは、3年もかけて尾畠さんの言葉を、一冊の本にまとめてくれた著者白石さんに敬意を払って、もしよろしかったら、この本を手に取ってお読みいただきたいたいと思います。

「命より重いものはない」と思っている尾畠さんは、皆さんご存知の2才の坊やヨシ君を探し出してくれた時の話をしながら、思い出して涙ぐむような方ですよ。この本の中にその時の詳しい顛末が書かれています。

九州男児というと、男尊女卑の傾向があるのでは、とすぐに思ってしまいそうですが、尾畠さんは、九州男児という言葉は好きではないそうです。みんなお母さんの股の間から生まれたんよ、命がけでお母さんが産んでくれたから、ワシも姉さん(コノ著者ノ事)も、この世にいるのだから女性は男よりも偉いんよ、と、一貫して、尾畠さんは女性を尊んでいます。

尾畠さんにとっては、お天道さまは、お母さんだとさえ言っています。

子どもの教育についても、本当に悪いことをしたときは、子どもとはいえ絶対に引いちゃいかん、とお考えなので、息子さんが小学3年生のころ、ろくに返事もしない、いうことも聞かないときがあったので、土間に正座をさせて、頭から冷たい水をかけたそうです。また小学4,5年生の頃、いうことを聞かないし、態度も悪いので、このまま放置すればいい加減な大人になってしまう、と思って、玄関のコンクリートの上に正座を一時間させたのだそうです。少しでも動いたら「動くんじゃない」と厳しくしたそうです。息子さんに厳しくしたのは、この2回だけだそうです。

大人になってから、ある日の事、息子さんが「ちょっと話がある」とちょっと殺気立った感じでやってきたそうです。これは子供の頃の、この時の2回のしつけの仕返しかと、覚悟したそうです。しかし、息子さんは、「俺はオヤジのせがれに生まれて幸せやった」と言ったのだそうです。それだけ言って、スッと帰っていったそうです。

これが、尾畠さんにとって、人生で一番嬉しかった言葉だそうです。

自分の人生を他人にゆだねない、と決めたのは15歳のときだそうです。自分の人生は自分で考えないと、会社任せ、社会任せはしない、また会社のせいにも、社会のせいにもしない。

ワシはね、金はなくても十分、幸せよ、という尾畠さんは、月5万5千円の年金で、充分であり、やりくり節約をして、ボランティアに出かける時のためのガソリン代を取っておくのだそうです。

どうぞ、皆さんの中で、興味を持たれた方は、この本をご一読くださいませ。本当に笑ったり、感動したり、豊かな気持ちになれる本です。

(そろそろ10時ですから、今夜はこのへんで、もう、眠くなりました。おやすみなさいませ。)



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