風月庵だより

猫関連の記事、老老介護の記事、仏教の学び等の記事

末寺をとろうとする本寺の問題

2009-06-26 00:02:45 | Weblog

6月26日(金)晴れ暑し【末寺をとろうとする本寺の問題】

住職である尼僧さんが年老いて、病気で入院しました。すると、本寺の和尚さんが、そのお寺を自分の隠居所としたいと言ってきて、信徒総代さんが困っているというのです。同じように住職である尼僧さんが入院しましたら、そのお寺を壊してしまって駐車場にしてしまった本寺があるのだそうです。

こういう問題はどうしたらよいのでしょうか。私も自分が住職をしていたお寺の境内を、本寺が勝手に近所のホテルの駐車場にしてしまいました。そんなことやらで、私の場合は見切りをつけて寺を出ました。

そもそも尼僧の寺が男僧の寺の下に組み込まれて、本寺末寺の関係にされてしまったのは江戸時代からです。それが現在までも本末の仕組みとして残っているのです。封建制度の名残りが、今でも仏教寺院の仕組みの中に厳然として残っていること自体おかしなことですが、さらに、中には横暴な本寺もあって、それが許されているという制度自体不思議です。

このような理不尽が平気で許されてよいものではありません。しかし、このような横暴な本寺は少ないとは思います。自分の県では尼僧は大切にされている、と、山口県の方々がおっしゃっていました。私も器之為璠禅師の研究のために、山口県には時々訪問して大事にしてもらっていますので、そう言われると我がことのように嬉しく思います。しかし、日本のどこかには問題のある本寺があるのも事実です。末寺は本寺の勝手にはできないことを、今の内にきちんと制度化しておきませんと、今に尼僧が住職のできるお寺が、無くなってしまうのではないかと、私は危惧しています。

いかに人間として立派な本寺さんであっても、尼僧の住職が亡くなれば、その寺の管理をしなくてはなりませんので兼務ということになります。これをやめにして、尼僧が心血を注いで守り通したお寺は尼僧団が管理し、しかるべき尼僧の跡取りができたときはその尼僧にまかせるというような制度化が必要 ではないでしょうか。尼寺を低く見て、男僧寺になったら、格が上がったというようなことを他から耳にしてショックを受けた尼僧さんもいますが、そのようなことに負けないようにしたいものです。

男女差別の考えは、仏教界においては制度上は無くなったとはいえ、まだまだ意識の上では無くなってはいないでしょう。それは日本の社会が生み出している空気です。女性自身でさえ、女性を男性より劣っているようにみる傾向が日本人の中にあります。世界を見てみますと、アジアは特に女性を低くみる傾向があるようですが、女性自身意識改革しなくてはならないでしょう。広い目さえ持てれば、男女差別の愚かしさは当然のようにわかるでしょう。

本当に道を行じている僧侶の方々には、男僧尼僧にかかわらず、男女差別の考えはお持ちではないと思うのです。勿論、男女の区別はあります。道元禅師には男女差別のお考えはなかったといわれています。当時の男性としては珍しいお考えだと賞讃されます、道元禅師の弟子であった尼僧の研究に取り組んでいますので、それは実感しています。

ちょっと問題がずれますが、男女の区別はありますから、私は尼僧には尼という呼称をつけてよいと考えています。今は男女の区別なく、和尚、大和尚とつけますが、尼僧は、尼和尚、尼大和尚でよいのではないかと考えています。私が死んだら、小さな卵塔に「風月劫外尼和尚之墓」と刻んでほしいと思っています。

さて、さて、末寺本寺の話から、男女差別の話になり、私の墓の話にまでなり失礼致しました。

苦労した尼僧さんが、本寺に苦しめられないように、心ある御寺院の皆様、お力添えくださいますよう。



曹洞宗尼僧団全国大会

2009-06-23 15:43:06 | Weblog
6月23日(火)晴れ【曹洞宗尼僧団全国大会】

先週の18,19,20日の3日間、箱根で曹洞宗尼僧団全国総会が開かれました。今年は尼僧団創立65周年にあたり、さらに全国総会第50回という記念すべき大会でした。北は秋田県、南は山口県に在住の尼師僧の方々、80名くらいの参加がありました。

創立65周年記念として、特別功労者管長表彰者ということで、山口の大坪仙定老師、松野實應老師、富山の舘全鏡老師、東京の笹川亮宣老師、大阪の高畑秀英老師、新潟の大谷文英老師、大谷文祐老師、愛知の天野祥巖老師、井田恵明老師の9名の老師方が表彰されました。

また80歳の長寿の方々として、東京の野村清明老師や新潟の中村良円老師など他12名が表彰されました。

そういうことで、まことにおめでたい会となりました。しかし、30年前には3000人いました尼僧が、今では800名くらいに減ってしまったそうです。そのことは残念なことです。

私は、19日だけの参加でしたが、久しぶりに尼僧堂時代の先生や知人に会いました。私は今まで、自分自身尼僧でありながら、なんとなく尼僧さんを恐ろしく思っていましたので、近づかないような傾向がありました。 それは尼僧堂時代の不幸な経験によるものですが、この頃ようやくその嫌な事件を水に流せるようになりました。そのことについては、たまたま私が安居していた頃、丁度私を排除したい人と、癖のある人が揃っていたという真相が、この頃わかりました。しかし、全ての尼僧さんが、そうなのではありませんから、私の中にあった塊はいつの間にか融解したのです。またその御陰でかえって開けた道もあります。私自身のために、その塊が融けたことは幸いなことです。

そして私は今、全ての尼僧を我が姉妹と思える気持ちになりました。これからは何があっても我が姉妹と思うでしょう。多くの先輩尼師僧が連綿と法を伝持してきてくれた御陰で、今自分が尼僧として生きていられるとさえ思っています。

このしみじみと楽しい生き方をもっと多くの女性に伝えたいと思っています、が、それはちょっと力不足です。でももし尼僧になりたいと思う人がいましたら、どうぞご一報ください。多くの素晴らしい尼師僧方がいらっしゃいますから、ご紹介致します。仏教を学ぶ楽しいチャンスを、一人でも多くの女性にお伝えしたいのです。目先のことに振り回される生き方をしている人がいましたら、是非、悠々たる生き方に導いてくれる仏門という門を敲いてください。また人生の真実に興味のある方は、是非こちらの門にお入りください。あなたの究極の姿がここにはあるかもしれません。

菅家さん、故郷に帰る

2009-06-17 22:40:22 | Weblog
6月17日(水)曇り【菅家さん、故郷に帰る】

平成2年、女児(真実ちゃん)が殺害され、渡良瀬川でその遺体が発見された足利事件で、冤罪により無期懲役の判決を受け、17年間と半年刑務所に入れられていた菅家利和さん(62)が、釈放後の今日初めて故郷足利市に帰りました。本当によかったです。まだ裁判やら、これからの生活のこともあるでしょうが、とにかくこれからです。すでにご両親はお亡くなりになられたそうですが、それこそ草葉の蔭からお喜びになられていることでしょう。

菅家さんは私と同じ年です。自分が過ごした17年半をあらためて振り返り、この年月が無いことは考えられません。一層、菅家さんが刑務所で空しく過ごさねばならなかった17年間と半年の無念さが身に沁みます。

人生はこれからです。菅家さん、刑務所での17年間と半年、お疲れさまでした。

『南ポルトガルの笑う犬』その2

2009-06-15 21:51:39 | Weblog
6月15日(月)曇り【『南ポルトガルの笑う犬』その2】(帯:外国で暮らすことの孤独と清新さと/劇団・天井桟敷出身の著者が、ポルトガルでさまざまな人と犬に出会い、その味わい深い日々を綴った珠玉のエッセイ


皆さんにお薦めの本です。内容は、お読みになる人の楽しみを奪うといけませんので、目次のみご紹介いたしましょう。

1 プロローグ
2 バスコ・ダ・ガマ通り四十四番地
3 九十六歳のニューヨーク魂
4 この国の幸せの音
5 笑う犬のいる町へ
6 カベッサ伝説
7 フランス女の絹の下着
8 ウィーン男の贅沢な憂鬱
9 森の妖精
10 イボンヌの秘密の仕事
11 忍者のフェジョアーダ
12 カフェ・シャミネ
13 ロンドンに帰った女
14 遊び上手、遊ばせ上手
15 スイスからの絵葉書
16 ポルトガルの幸福のかけら
あとがき

世界各国で暮らしてきた著者が、行き着いたポルトガルでのちょっと楽しくそしてせつなく、ちょっと青目さんならではの贅沢な時の過ごし方、でもそこにいたるまでの孤独を充分に味わったからこそわかる哀愁の流れる、なんだかとてもいろんなことの一杯つまったエッセイ集です。ワインでも飲みながら読むのがあっているかもしれませんが、私は無粋に薬茶を片手に笑ったり、感心したり、涙ぐんだりしてこの一冊を読み終えました。

私は特に13と15のお話が印象に残りました。
青目海さんという著者と三十年以上も前の若い頃、一緒に遊んだことがあったような気がします。それぞれの人生のほんの一時の出会いでしたが、私にはセピア色の懐かしい一こまです。そんな思いのある人の書かれたエッセイを通して、その人の人生を垣間見させてもらいました。どうぞ皆さんも異国ポルトガルの情緒を味わってみてください。青目さんの感性を通して、世界が広がる感じがすること請け合いです。

書肆侃侃房(しょしかんかんぼう)、定価1300円。
ご自分では、もう本を買うのは止めようと思っている方は、近所の図書館に希望図書として申し込んではいかがでしょうか。とにかくお読みになるチャンスを逃しませんように。


青目海さんの『南ポルトガルの笑う犬』

2009-06-13 08:31:51 | Weblog
6月13日(土)曇り【青目海さんの『南ポルトガルの笑う犬』】

『南ポルトガルの笑う犬』は副題「アルファローバの木の下で」という本です。著者は青目海さん。(書肆侃侃房発行しょしかんかんぼう、定価1300円)

これを読んでいる途中も読み終わった後も、誰かに勧めたい気持ちになりました。ポルトガル在住の青目さんのエッセイ集です。とても素敵であり、楽しく可笑しくそしてジーンと胸に迫るお話の数々です。もしかしたら、読み終わったあなたもポルトガルに行きたくなるかもしれません。

今日は時間がありませんので詳しく書けませんが、取り急ぎ取り急ぎご案内までしておきます。

なお19日まで代々木八幡にある「cafe shima」(北口下車徒歩5分)という喫茶店で青目さんのポルトガルの野の花を描いた個展「ビオレットの秘密の花園」展が開かれています。青目さんがポルトガルから帰ってきていますので、お店にいらっしゃる可能性もありますし、本も即売していますので、是非ご来店ください。

詳しくは「ポルトガル便りーヨーロッパ偏見(ひんがら)日記」をご覧ください。お店への地図も載っています。

取り急ぎご紹介まで。また時間のあるときに本の内容の紹介をさせていただきましょう。



クルリ猫のルナ

2009-06-02 22:20:18 | Weblog
6月2日(火)晴れ【クルリ猫のルナ】

こんなにクルリと寝られるのですね。熟睡しているようです。この頃キヨちゃんは怪我が治らないので遊びに来ません。でもキヨちゃんと遊ばせようかどうしようか思案中のルナのもう一人の遊び友だちの私です。

キヨちゃんは怪我が治れば、また外に出すそうです。ノミやダニの問題だけでなく、猫エイズや白血病などをうつされるリスクはキヨちゃんだけでなく、ルナにもリスクがあることになると、猫学の先生に言われました。(人間のエイズや白血病とは、全く違いますのでご注意ください)

キヨちゃんも可愛いし、辛いところですね。私の心配をよそに、ぐっすり寝ているルナです。

いつも猫ブログですみません。


もっとクルリです。ルナの大好きな本棚の上の寝室です。
「ここだと誰にも覗かれないはずなんですけれど」と、これを見るとルナは言うことでしょう。