風月庵だより

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本のご案内 1

2009-02-24 16:30:06 | Weblog
2月25日(水)雨【本のご案内 1】

度々に自著の案内にて恐れ入ります。なにしろ本屋さんに置いて頂ける期間というのが一ヶ月くらいなのだそうです。それで売れませんと、本屋さんからは戻されてしまうのだそうです。一日にかなりの数の新刊書が次々に出版されているのですからやむを得ないことでしょう。まして世間には無名の私の本ですから、なおさらにやむを得ません。しかし、私にとっては、唯一の本です。

度々のご案内お許しを。

先ずこのカバーのチベットの写真ですが、ゼミでも研究所でも先輩の平子泰弘師が、高山病にかかりながらも撮ってくださった一枚です。これ以外にも何枚かの候補があり、装丁の竹内宏江先生が幾通りかのパターンを作ってくださり、最終的にこの写真に落ち着いたのです。

本のカバーをチベットの空にしたいと思ったのは「フリー・チベット」の願いからです。本のなかにも載せました「チベットのジャンヌ・ダルク、ガワン・サンドル尼」や、独立を願って政治犯として捕らえられている多くのチベットの人びとが、この空の下で自由に生きられる日を願っての、チベットの空と雲と山と湖と土地の写真なのです。

さて、本の目次から、第一章だけ、今日はご案内させてください。

まえがき

第一章供養記
一、ご葬儀
  ご葬儀の導師
   葬式無用そして白洲次郎
    戒名について
     院号は必要か
      お葬式の費用
       葬式仏教

二、中陰供養のこと
  繰り上げ初七日反対
   再び繰り上げ初七日反対
    中有にあり
     四十九日の死者の声
      星空の四十九日
        若くして逝きし人
         韓国の四十九日法要

三、納骨とお墓について
  納骨- 人、死して残すもの
   生前に建てるお墓

四、少年少女との法事
  お焼香のまこと
   三つ児の魂百までも
    幼子の純真に学ぶ
     可愛い少女たちとしつけ
      坊やの『舎利礼文』
       子どもに合掌をとりもどそう
        待っていてくれた少年

五、子は宝、しつけは子の宝
  お小遣い頂戴できますでしょうか
   親の拳に愛の塊
    親は子を悪から遠ざけよ一『六方礼経』に学ぶ
     がばい口うるさいおばあちゃんのお蔭

六、霊はいるのか
  霊の訪れか?
   彼岸花と咳払い
    追悼の茶事
     霊との交信

七、供養に役立つ教え
  輪廻転生について
   千の風になれるだろうか
    死んで終わりではないのだ
     台湾の法師と信仰
      徳を積むということ
       なぜ徳を積むのだろうか
        享年
         南無釈迦牟尼仏の勧め

このような内容です。ご供養について、中陰のご供養(四十九日の間のご供養のこと)のことや、どのような心でお勤めしたらよろしいか、共に考えてみたいと思いました。また特に少年や少女のためにも法事などのご供養を一緒に勤めることが、大事だということを実感してのお話なども書きました。また多くの方に興味があろうかと思いますが、輪廻転生についてのことなどを書かせて頂きました。

もし、ご興味のある方は、どうぞ宜しくお願い致します。

題:『雲と風と月とー尼僧の供養記』
出版社:中央公論事業出版
定価:(税込み)2000円
池袋の旭屋書店、紀伊國屋書店、丸善、文教堂書店、他ネット販売でも扱っています。お近くの本屋さんでもお取り寄せ頂けます。

宜しくお願い致します。


『おくりびとDepartures』アカデミー賞受賞

2009-02-24 12:49:59 | Weblog
2月24日(火)曇り【『おくりびとDepartures』アカデミー賞外国語映画賞受賞】(丁度納棺される人の、いくつもの姿のようなある日の朝の雲)


素晴らしいです。多くの人の予想通りに受賞することができました。私もこの映画は東京で見逃しましたので、先月、埼玉県の深谷市まで高崎線に乗って、わざわざ観に行ってきました 。この滝田洋二郎監督の『壬生義士伝』を観たとき、感動して泣きましたが(新撰組の用心棒が主人公ですから、血しぶきがあがるような映画であったにも関わらず泣きました)、この『おくりびと』では、嗚咽さえしてしまうほど感動させられました。

これぞ映画、と思いましたが、やはり、アカデミー賞ですか。

私も映画青年の端くれで、5年間脚本家の内弟子でしたので、この賞の重みは殊更に感じます。

青木新門著『納棺夫日記』を読んだときも、感動しましたが、小説とはずいぶん内容は違いますので、これを原作とはどこにもうたってないようですね。

今は亡き峰岸徹さんが、劇中で主人公小林大悟(本木雅弘)の父親として、死んでいる姿として登場します。拳を結んでいる父親の手を、合掌させようとして指を開いていったとき、大悟はその手の中に一個の石を見いだします。それは父親が、母と幼い大悟を捨てて、出奔する前、河原で教えてくれた石文の石でした。父は息子のことを忘れてはいない、いつも思っていたのだ、という象徴的な石です。大悟も思いがけないことに胸がいっぱいになります。

観客の私もそこで一層に泣きました。だんだん嗚咽にさえなりました。私は、自分の父親のお骨を一人で取り返しに行ったときのことを思い出して、映画のストーリーを越えて涙が倍加したのですが。

この映画はユーモアもあり、随所で笑いもしました。そして泣きました。人間の「切なさ」が描かれている映画として素晴らしいと思いました。やはりアカデミー賞を受賞したのですね。もし見逃している人がいましたら、是非ご覧ください。僧侶の方がたにも是非ご覧頂きたい映画です。