風月庵だより

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梅田さん逝く

2007-07-04 22:00:43 | Weblog
梅田事件の梅田義光さんが6月20日にお亡くなりになりました。82歳でした。

営林局職員を殺害したとして、無実の罪を着せられて、ご苦労なさったご生涯でした。冤罪が晴れたのは事件が起きてから36年も後のことです。

新婚も間もなく、子供もそのうちに生まれるという幸せの絶頂から、殺人犯にしたてられて牢獄に投げ込まれた人生は、あまりにお気の毒な人生でした。

それでも冤罪が晴れたことは、なによりのことでした。自分がしたことでもないことの濡れ衣を着せられることほど、口惜しく、苦しく、無念なことは無いでしょう。降って湧いたような災難で、人生を全く狂わされてしまった梅田さんのように冤罪に苦しんだ人々に、私は深い同情の念を抱きます。

冤罪がどのようにして成立してしまうのか、という背景を見るとき、そこには実は正義の味方をしているように一見見える者たちの謀略がある、ということを見抜かなくてはならないだろう。落とし入れた真犯人のみならず、それを真に受けた警官や検事やいくつかの要素があるだろう。その中にも自身は正義を実行していると、真実信じていた人もいたであろう。

また世の中で立派な人と評価されている人でも、潜在意識によって他を落とし入れる方に加担することもあるだろう、ということを見抜かなくてはならない。人間社会で繰り広げられる様々な悲劇は、多様な要素を孕んでいることを改めて考えさせられました。このようなことに於いても、安直に善悪と分別することは、仏教的な見地からのみならず、注意を要することであると思います。


このところ寝込んでいて梅田さんの訃報は知りませんでした。またお便りを出したいと思っていたのですが、間に合いませんでした。遅ればせながらご冥福を祈ります。本当にお疲れさまでした。