函館西部の船見町にある「称名寺(しょうみょうじ)」という浄土宗のお寺。
1644年、伊勢国(三重県)の僧、円龍上人が阿弥陀如来像を奉持して北海道に渡り、阿弥陀庵を建立したことに端を発する由緒あるお寺で、高田屋嘉兵衛一族の墓や、土方歳三をはじめとする新選組隊士4人の墓があることでも知られています。
このようなお寺ですが、日米和親条約により箱館が開港された当初は、イギリス領事館として利用されていたことがありました。
当時のイギリス領事がフランス領事も兼ねていたことから、正門前にはイギリス・フランス両国の国旗が掲揚されていたとのことです。
称名寺のお隣にある「実行寺(じつぎょうじ)」という日蓮宗のお寺。
1690年に、松前町にある日蓮宗「法華寺」の末寺となったこちらも由緒あるお寺で、1854年には、来航したペリー一行の写真班が宿舎として利用したり、翌1855年にフランスの軍艦シビル号が入港した際は、疾病を患う水兵の養生所になったりもしていましたが、歴史上特筆すべきこととしては、1858年にロシア領事館として利用されたということがあります。
最後に紹介するのは、「東本願寺函館別院」。
日本最古のコンクリート寺院として知られ、先に紹介した二つのお寺とは離れていますが、開港当時は、「浄玄寺」という寺号で、先の二つと隣り合っていたことがあり(「称名寺」と「実行寺」も、その頃は現在地ではなかった)、アメリカの貿易事務官が止宿したことがあって、領事館のような機能を有していたという歴史があります。
ここまで触れてきた3つのお寺ですが、箱館では開港当時、これらのお寺が、領事館という行政機関として機能していたという歴史がありました。
このことについて、偶然なのか必然なのかは定かではありませんが、面白い事実を発見しました。
漢和辞典で「寺」という字を引くと、「宮中の役人のいる所、役所」という意味があるのだそうで、これは、「寺」という文字の意味が「手を動かして仕事をする」というものであることから、やがて「仕事をする場所=役所」という意味を持つようになったのだそうです。
日本国内に、開港当時の箱館と同じような例がどれくらいあるのか分かりませんが、興味深い関連だなと思い、記事にしてみました。
へーボタン連打‼️
(ご存知かな?)
なるほど、寺にはそんな意味もあったのですね。
またまたお勉強させていただきました。
ありがとうございます😊
>江戸の秋... への返信
ええわかりますとも。
高橋克実さんと八嶋智人さんのあの番組ですよね。
「相棒」の裏番組だったので、「相棒」が放送されていない時期限定で見てました。
あの番組並に反応していただいてありがとうございます。
今回のネタは、函館の歴史関連書籍を読んで知りました。
マニアックになり過ぎない程度に、面白いネタを発掘できればと思っています。