自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆コロナ感染、ニュースを巡る

2020年04月10日 | ⇒ニュース走査

  新型コロナウイルスに関するニュースが世界を交錯している。日本では詐欺が横行している。新型コロナウイルスの感染拡大に便乗したオレオレ詐欺(特殊詐欺)が横行している。ある金融機関がホームページで発生事例を公開している。息子に成りすました犯人から現金を要求され、被害者は銀行の窓口で犯人から指示された通りに「新型コロナウイルスの流行で外出できないので、まとまったお金を手元に置いておきたい」と説明して、多額の現金を引き出す。その後、受け子が息子の代理人を名乗って取りに行く、という手口だ。   

  巧妙なのは、今回の緊急事態宣言では東京都の対応案でも、銀行など金融機関や病院、薬局、コンビニ、スーパーマーケットなど「生活インフラ」に関しては営業休止の要請の対象ではない。すると、金融機関の窓口も社会的な使命感を持っているので、「新型コロナウイルスで外出できないので・・・」と言われるとその言葉に納得してしまうかも知れない。このご時世を読んだ騙しの手口ではある。

           イギリスではすでに7978人が死亡している。ボリス・ジョンソン首相が新型コロナウイルスの感染で集中治療室に入った(現地時間・今月6日)とのニュースからその後の様子が伝わってこなかった。55歳のジョンソン首相は酸素供給は受けているが、人工呼吸器を使っているわけではないという(現地7日付・BBCニュースWeb版)。

   集中治療室に入った日のツイッター=写真=ではこう述べていた。「Last night, on the advice of my doctor, I went into hospital for some routine tests as I’m still experiencing coronavirus symptoms. I’m in good spirits and keeping in touch with my team, as we work together to fight this virus and keep everyone safe.」(意訳:新型ウイルスの症状が続いているため、医師の助言のもと、定期検査のために昨夜入院した。私は元気で、このウイルスと戦い、皆さんが安全でいられるよう、引き続きチームと連絡を取り合っている)

   現地9日付のBBCは最新ニュースとして、「Boris Johnson out of intensive care」の見出しで、集中治療からは外れたと伝えている。はやくツイッターを更新してほしい。そのツイッターを読んでイギリス国民はひと安心するだろう。

   イタリアから痛ましいニュースが流れてきた。新型コロナウイルスで死亡した医師が105人に上った。イタリアの医師会連盟は声明で、「命を落とした医師の多くは開業医で、防護のための装備も十分ないまま新型コロナウイルスとの戦いに送られた」と述べ、哀悼の意を表した(10日付・NHKニュースWeb版)。治療の最前線に立つ医師がこれほど多くの命を落とすとは。

⇒10日(金)午前・金沢の天気    くもり

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★In the pocket of China

2020年04月09日 | ⇒ニュース走査

   新型コロナウイルスによる世界全体の感染者数が150万人を超え、死者は8万7000人以上となったと報じられている。そこで、WHOのホームページをチェックすると。8日のテドロス事務局長の記者会見の発言内容が掲載されていた。

「Tomorrow marks 100 days since WHO was notified of the first cases of “pneumonia with unknown cause” in China.It’s incredible to reflect on how dramatically the world has changed, in such a short period of time.」(意訳:中国で「原因不明の肺炎」の最初の症例がWHOに通知されてから、あすで100日目となります。 このように短期間で、世界がどれほど劇的に変化したかを振り返ると驚くべきことです)

   記者会見の冒頭のコメントだ。率直に違和感を感じた。1月下旬は中国の春節の大移動で、フランスやオーストラリアでも初めての感染者が確認されるなど世界的に感染拡大の兆しが見え始めていた。にもかかわらず、1月23日のWHO会合では、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言を時期尚早として見送った。WHOが緊急事態宣言を出したのは1週間遅れの30日だった。中国以外での感染が18ヵ国で確認され、日本をはじめアメリカ、フランスなど各国政府が武漢から自国民をチャーター機で帰国させていた。なぜWHOは23日に宣言を見送ったのか、中国に配慮して「武漢ウイルス」を国際的に宣言するのをためらったのはないか、との疑念が残っていた。

   この会見の後、記者との質疑の掲載はないが、世界のメディアがその様子を報じている。アメリカのトランプ大統領が新型コロナウイルス感染症へのWHOの対応が「中国に偏っている」と批判していることについて、テドロス氏は「われわれは全ての国に寄り添っている」と述べ、特定の国への配慮などは行っていないと反論した(9日付・共同通信Web版)。

   テドロス氏の反撃もあった、トランプ大統領の名指しはしなかったが「さらなる死者の増加を望まないのであれば、政治問題化するのは、やめてほしい」と主張し「(WHOの)われわれも人間なので間違うこともある」としながらも、WHOが「最新のデータや情報、根拠などを世界に提供してきた」と、感染拡大防止に尽力してきたと訴えた(同)。言い訳がましさを感じないだろうか。

   テドロス氏の冒頭の会見の模様は、ユーチューブ動画で公開されている=写真=。批判のコメントが続々と。「WHO cannot be trusted in they’re in the pocket of China. Pathetic gentlemen, very sad state indeed.」(WHOは中国のポケットにいるため、信頼できない。哀れな紳士、確かに悲しい状態)

⇒9日(木)朝・金沢の天気     はれ

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☆緊急事態宣言 今ここにある難局

2020年04月08日 | ⇒ニュース走査

      7都府県とは言え、新型コロナウイルスの感染対策として緊急事態宣言が発令された。金沢大学でもこの3月に医学系の大学院を修了した30代男性の陽性が確認された。卒業後に研究室を訪問していたので、本人からの聞き取りで、接触した10人は現在自宅待機となっている(金沢大学公式ホームページ)。石川県内の感染者は51人ではあるものの、大学キャンパスに感染者が出たとなると、コロナウイルスがごく身近に迫ってきたと実感する。

           金沢市内の精神科の病院でも医師3人と患者1人の4人の感染が伝えられている。このうち30代の男性医師1人は3月26日にクラスターが発生した岐阜市内のナイトクラブを岐阜大学医学部附属病院の医師らと訪れていた。27日に金沢市に戻り、今月3日まで勤務していた。この間に他に医師2人と患者1人が感染したとみられる(8日付・北陸放送Web版)。これは心の隙間を突かれた感染事例だろうか。

   今月5日付のブログでテレビ番組がコロナウイルスの感染拡大に番組の制作を中断していると述べた。日本テレビも6日付のホームページで「新型コロナウイルス対策と番組編成指針について」と題して発表している。それによると、「現時点で安全確保が難しいと判断される番組の制作について本日(6日)から2週間の休止期間を設けることといたしました」と。

 制作を休止するのは、1)バラエティ番組のスタジオ収録、2)報道・スポーツ・情報番組以外(情報・制作局バラエティ部門)の番組のロケ、3)ドラマのスタジオ収録・ロケ、の制作活動。「出演者や社員・スタッフ、番組制作の全ての関係者の感染予防を最優先に考え、安全を確保したうえで通常通りの番組制作スケジュールを消化することは難しいという判断からです」と述べている。

 「未知」であり「見えない」ウイルスの脅威に対して、メディア事業者として対応する「番組編成指針」を以下記している。 ①「真実を伝え、生活者から信頼される報道・情報番組」の編成(公平・公正さを保ち、迅速・正確な情報を発信します)、②「豊かな時を提供し、生活者に希望と活力を届ける健全な娯楽番組」の編成(心に通う番組制作を心掛け、創造的で良質な娯楽を発信します)、③「学びの場を提供し、生活者の知見を広められる教育・教養番組」の編成(社会的良識に基づき、文化創造と社会貢献に繋がる教養を発信します)

  最後に「日本テレビは上記の番組編成指針、番組制作の基本姿勢のもと、社員・スタッフ一丸となり、社会的責任を果たし、日本の未来に貢献する番組制作に引き続き、邁進してまいります」と。この最後の一文を読んで、これは「対コロナ、メディア宣言」ではないかと思えた。5日付ブログで紹介した他のキー局とは違い、日本テレビはテレビ局として一丸となって今ここにある難局を乗り切る姿勢を打ち出している。

⇒8日(水)午後・金沢の天気    はれ

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★緊急事態宣言で問われる非日常性のこと

2020年04月07日 | ⇒ニュース走査

   金沢大学角間キャンパスは市内より少々高台にあり、兼六園より少し遅れて、今ちょうどソメイヨシノの満開を迎えている。桜並木の通りから満開の桜を見上げると青空に映えて、絶妙な風景が描かれる=写真・上=。それにしても、自然界は春を迎えることができたが、人間界は新型コロナウイルスの感染拡大で戦々恐々としていてそれどころではない。きょう7日、わが国では緊急事態宣言が発令される=写真・下=。人の世の無常というものを感じる。

   昨夜、町内会の班長から電話があった。今月11日に予定していた町会の定期総会を急きょ中止することにした、と。これまでも毎年楽しみにしているゴールデンウイークの音楽祭や、参加を予定していた学術シンポジウム、菩提寺の春の団子まき(涅槃会)などイベントや伝統行事が中止となっている。町内会の寄り合いまでもか、と。

   安倍総理はきのう緊急事態宣言に先立って緊急経済対策会議を開き、午後5時50分から記者団に説明した。事業規模については「コロナウイルス感染の経済に与える甚大な影響を踏まえ、過去にない、強大な規模となるGDPの2割にあたる事業規模108兆円の経済対策を実施する」と述べた(6日付・NHKニュースWeb版)。緊急事態宣言は全国ではなく、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に出される。期間もゴールデンウイーク最終日の5月6日までをめどするようだ。海外のようなロックダウン(都市封鎖)は行わない。PCR検査態勢を1日2万件に倍増し、病床数も現在の2万8千床から5万床を確保する。

   この総理の発表を受けて、小池都知事は午後9時30分から記者会見を行った。都の対応案として、外出の自粛を都民に要請するとともに、映画館や図書館、デパ-トやショッピングモールなどの商業施設、カラオケ店や居酒屋、そして学習塾や理髪店、質屋にまで休止を要請する方針だ。ただし、病院や薬局、コンビニ、スーパーマーケット、銀行、飲食店などの「生活インフラ」に関してはその対象ではない(7日付・朝日新聞)。

   人々にひたすら「自宅に籠(こも)っておれ」との都知事の強いメッセージではある。しかし、別の意味で穏やかならぬ不安もよぎる。独り身がマンションに籠るのであれば落ち着いたものだろう。ただ、家族が籠るとなると、必ずしも穏やかとは限らない。今月1日付のBloombergニュースの記事だ。中国の事例として、離婚率が急激に増え、陝西省西安市や四川省達州市では3月前半に離婚届件数が過去最高になった、と。

   日常ではない非日常での生活では、団結する家族もあれば、逆に夫婦喧嘩や親子喧嘩、DVなどが顕在化することもあるだろう。限られた空間で長い時間を共に過ごすことで、予想もしなかった人間の関係性が露呈するものだ。それは中国に限らず人間界の常ではないだろうか。

⇒7日(火)午前・金沢の天気    はれ

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☆蟄居生活、グランドカバーの攻防

2020年04月06日 | ⇒ドキュメント回廊

  新型コロナウイルスの感染を警戒して自宅にこもるような生活を「巣ごもり」とメディアでは紹介され、自らは「蟄居(ちっきょ)」と言っている。江戸時代の武士に科せられた刑罰で、閉門の上、自宅の一室に謹慎する。TBS番組『水戸黄門』で黄門様が蟄居の武士と障子戸ごしに対話するシーンがあったのを覚えている。現代では都会を退いての田舎暮らしを謙遜してそう言ったり、外出をなるべく避けて家で暮らすことを指す。

   一昨日の土曜日、そして昨日の日曜日はまさに蟄居生活だった。不要不急な外出を避け、買いだめした食材を自宅で食べ、パソコンとテレビで国内外のニュースをチェックしブログを書き、読書、掃除と洗濯をする。ただ、そのような中で戦いに挑んだのが「グランドカバーの攻防」だった。分かりやすく言えば、「草むしり」だ。

   ソメイヨシノの開花ごろから雑草の勢いが増す。庭にはグランドカバープランツ(地べたに生やす植物)があり、芝生とスギゴケの2つのゾーンで、手入れをしている。ところが、油断すると雑草に覆われる。スギナ、ヨモギ、ヤブカラシ、ドクダミ、チドメグサなどは通年で生えてくる。最近はチドメグサの勢いが強い。チドメグサは茎全体が横にはって、節から根を出し、どこまでも広がる=写真=。これが芝生ゾ-ン、スギゴケ・ゾーンに侵入し、急速に増殖する。

   雑草には専用の除草剤はあるのだが、使いたくないので手作業での草取りだ。手作業は地味だ。芝生ゾーンでは、芝生の根に絡まるようにして生えているので、しかたなく芝生の根ごと除草することもある。スギゴケの場合、スギゴケをかき分けて、チドメグサの茎を捜し出して抜く。1日に2時間ほどの戦いを終えると爽快感がある。ただ、敵もさるもの、こちらの気の緩みうかがってまた攻防が始まる。持久戦ではある。

   ひと昔前なら、「年寄くさい」と一笑に付された話ではある。が、金沢の街も雑草が生い茂っている公園や住宅、道路をよく見かけるようになった。雑草をあまり気にしない人が多くなったのか。あるいは、行政は公共施設の美化に予算をさけなくなったのか。このままでは街全体のグランドカバーの攻防はじわじわと雑草にやられてしまうのではないか。

   新型コロナウイルス感染で不要不急な外出は自粛するが、この際、自宅や周囲の公園の美化清掃を行政が市民に呼びかけてはどうだろう。          

          と、書いたところで、ニュースが飛び込んできた。安倍総理はようやく緊急事態宣言の発令の意向を固めた、とメディア各社が報じている。緊急事態宣言はロックダウン(都市封鎖)かと以前から騒がれているが、法的強制力と罰則を伴う外出禁止令などが発令される海外の緊急事態宣言とは違い、日本の場合はあくまでも「自粛要請」であり、法的拘束力も罰則もない。緩い。

⇒6日(月)朝・金沢の天気      はれ

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★テレビ番組 悩ましい「3密」

2020年04月05日 | ⇒ニュース走査

         新型コロナウイルスの感染拡大はマスメディアも例外ではない。きょうの朝日新聞朝刊の第2社会面のベタ記事(1段見出しの記事)が掲載されていた。東京本社に勤務する編集局の30代の女性記者が匂いを感じないなどの症状があり、先月31日に倦怠感があったため保健所と相談、今月1日にPCR検査を受け、4日に陽性と判明した。NHKでも感染者が出ている。3日付の報道資料によると、国際放送局に所属する40代の男性は先月23日に発熱があり、医療機関で「風邪」と診断された。以降自宅で療養し、30日に出勤したが、帰宅後に再び発熱。別の医療機関で受診し、今月1日にPCR検査を受け、3日に陽性と判明した。

   テレビ局の場合、番組制作という仕事はまさに「3つの密」である。スタジオという密閉空間と密集場所、一堂に会した番組打ち合わせは密接場面である。TBSは今月2日に「新型コロナウイルス対策についてのお知らせ」と題した報道資料(ニュースリリース)を出した=写真=。報道・情報番組は従来通りに取り組むものの、ドラマやバラエティなどの番組については、「不特定多数の方々と接触したり、大人数が集まったりするケースが多いことから、一般の方々や出演者の方々、番組スタッフへの感染予防を最優先に、当面、ロケやスタジオ収録などを見合わせる」(報道資料)。見合わせる期間を4日から今月19日までの2週間で、それ以降はその都度で判断するとしている。

        TBSは前日の1日、今月スタートのドラマ3本(『半沢直樹』『私の家政夫ナギサさん』『MIU404』)と、4日に生放送する予定だった特別番組『オールスター感謝祭2020春』の放送を延期すると発表していた。放送直前での苦渋の決断だったろう。TBSでは、さらにその前日の31日に派遣契約の60代の男性スタッフが陽性と確認されたと発表していた。

   ここからは憶測だ。クライアントであるスポンサーの意向もあったのではないだろうか。放送予定だった生番組『オールスター感謝祭2020春』は多数が出演してのクイズやスポーツに挑戦する内容で、まさに「3つの密」だ。これが放送された場合、SNSで相当な批判が沸き起こることは想像に難くない。事前に有力なスポンサーから番組の提供を降りたい旨の話があったとしても不思議ではない。

   NHKには別の悩ましさもある。今月2日の前田会長の記者会見で記者から質問があった。「コロナウイルスに関して、中小企業やホテルなどに対して緩和措置を取るのか」と。これに対し「3月30日に高市総務大臣から、旅館やホテルなどの中小事業者向けの受信料負担の軽減について、減免を含めて、検討の要請がありましたことを踏まえて、前向きに検討したい」と答えている。受信料問題と絡んできている。

⇒5日(日)午後・金沢の天気    くもり

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☆コロナショック 経済が重症化する前に

2020年04月04日 | ⇒ニュース走査

     世界の新型コロナウイルスの感染拡大は続く。死亡者数▽イタリア1万4681人▽スペイン1万935人▽アメリカ7152人▽フランス6507人▽イギリス3605人▽中国3326人、となっている(4日付・NHKニュースWeb版)。

   日本集中治療医学会のホームページによると、イタリアでは3月31日の時点で感染者10万5792人に対して死者約1万2428人と死亡率は11.7%と急増している。一方でドイツは、感染者約7万1808人に対して死者は775人で、死亡率は1.1%となる。この違いは、集中治療の体制の違いと指摘している。ICUのベッド数は、ドイツでは人口10万人あたり29-30床であるのに対し、イタリアは12床程度。ドイツではコロナ感染の死亡者のほとんどがICUで亡くなるのに対し、イタリアでは集中治療を受けることなく多くの人々が亡くなっているのが現状だ、と。結果として、ベッド数が足りている分、高齢者の重症化を抑えることに成功し、死亡者が他の国に比べ少ない。

   日本はどうか。クルーズ船感染を除いた死亡率は2.4%(4日現在)だ。重症患者用の病床数は10万人あたり7.3床となる。ドイツやイタリアに比べ少ない。そこで、政府はまず「検問体制」を設けた。発熱があってもそれだけで病院での受付はせず、事前の電話確認を行う。「37.5度以上の熱が4日間以上続いている」「基礎疾患がある」「海外から帰国した」などの特定条件に充当していれば、病院で診察が受けられる。これは憶測だが、入口を狭くする意味合いは、まず罹(かか)らないように十分気をつけてください。本当に罹患したと思われる人のみ受け付けます。「病床数が少ないので、国民のみなさんご理解ください」との国民へのメッセージなのだろう。それだったら最初からそう言えばいい。

   それにしても、国民に「3つの密」(密閉空間、密集場所、密接場面)を避けることが求められ、日本の主力産業である自動車工場の休業が相次ぐ。これが日本の、そして世界の経済に及ぼす影響はいかほどだろうか。想像もつかない。ただ、懸念されるのは自殺の増加だ。バブル経済の崩壊後の不況で山一證券や北海道拓殖銀行などの金融機関の破綻し、翌年の1998年にどん底となる。この年はそれまで2万人台だった自殺者数が一気に3万人台と増加し、その後10年余り高止まりした。

   個人的にショックだったのは、新聞記者時代に赴任した輪島市で取材のお世話になった輪島塗業界の経営者が相次いで3人も資金繰りに困って自殺するという訃報に接したことだった。自死を選んだ理由は保険金だった。経営者は責任感が人一倍強い。その分、融資を絶たれると覚悟を決めてしまう。新型コロナウイルスによる経済の行き詰まりはこれから表面化してくるだろう。中小零細企業に手厚い支援策を望む。「1世帯2枚のマスク」より緊急度の高い対策課題ではないだろうか。(※写真はWHOの公式ホームページ)

⇒4日(土)夜・金沢の天気      あめ

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★コロナショック 能登の「でか山」中止に

2020年04月03日 | ⇒ニュース走査

   能登を代表する祭りと言えば、七尾市の「青柏(せいはく)祭」だろう。「でか山」と呼ばれる高さ12㍍もある巨大な山車が街を練る光景は実に壮観である=写真=。毎年5月3日から5日にかけて行われる祭礼でゴールデンウイークの目玉のイベントでもある。そのでか山の運行が今年は中止されることが決まった。

   祭礼の神事は執り行われるが、メインイベントの曳山行事が取り止めとなる。新型コロナウイルスの感染拡大を懸念しての措置だ(七尾市役所ホームページ)。和倉温泉も近くにあり、毎年10万人余りが見学に訪れる。ユネスコの無形文化遺産にも登録されている伝統行事でもある。開催地としては苦渋の決断だったに違いない。このニュースを知って最初に思ったことは、「能登にはコロナウイルスの感染者は出ていないので、規模を縮小してこじんまりとやればいいのではないか」と。オール・オア・ナッシングで中止する必要はないのではないか、と。

   自らの考え違いに間もなく気が付いた。高さ12㍍、重さ20㌧もある山車3台を長時間にわたって動かすのは地域の住民だけではない。この祭りを楽しみに県内外の出身者も大勢が帰郷して曳き手に加わっている。実際、こうした有志がいないと巡行は難しい。かといって、3台のうち1台だけを地元の人たちで、しかも無観客で動かすというのは祭りの趣旨にそぐわない、ならばいっそうのこと中止に、という判断だったのだろう。

   能登の祭りだけではない。新型コロナウイルスの脅威はどこまで波及していくのか。

⇒3日(金)夜・金沢の天気    はれ

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☆政府対策「1世帯2枚のマスク」のインバクト

2020年04月02日 | ⇒ニュース走査

    このところテレビで、新型コロナウイルスの感染拡大による国の緊急事態宣言の是非についての議論されている。視聴していて、それぞれの専門のコメンテーターの話しぶりに殺気だった雰囲気を感じる。それだけ危機が差し迫っているのかと受け止める。そんな中、きのうのこのニュースを知って、おそらく国民のほとんどは耳目を疑っただろう。

   安倍総理がきのう政府の感染症対策本部の会合=写真、首相官邸公式ホームページより=で、マスク不足対策の一環として、洗濯して繰り返し使える布マスクを1億枚配る方針を明らかにした。1世帯当たり2枚を郵便を使って順次送る、という。総理発言で自ら耳目を疑った理由をいくつか。

   その1)「1世帯当たり2枚のマスク」。これは総理が述べるべき内容だろうか。地方自治体の首長が言ったのであれば納得する。総理がいま言うべきは国民の生活保障ではないだろうか。ドイツ政府は収入を失った個人事業主(フリーランス)に3ヵ月100万円、イギリスは給与の8割、フランスは給与の7割を政府が保証すると発表している。それに比べるとマスクを1世帯当たり2枚とは。最近まで自民党内にあった肉券と魚券の提案と同じレベルではないか。

   その2)マスク配布は緊急経済対策(60兆円想定)の経費に盛り込むという。配布は日本郵政が担う。全国に張り巡らされた郵便局のネットワークを活用して郵送ということだろう。その経費はいくらなのか。1世帯への配布のコストを仮に500円として、全国5000万世帯で計算すると250億円だ。

   そこまでして全国津々浦々に配る必然性がどこにあるのだろうか。国から1世帯当たり2枚のマイクが配布されて、これを政府の対策と国民は納得するだろうか。冒頭に述べたように、この世の中は少々殺気立ってきた。配布後の内閣支持率を見てみたい。20%台に落ち込んだら危険水域だ。

   けさもニュースをチェックしていると、世界はすでに殺気立っている。WHOのテドロス事務局長は1日、ジュネーブの本部で記者会見し、ここ数日間で世界で感染者は100万人に上り、死者も5万人に達するだろうと述べた。イギリスでは先月31日に死亡者が1日としては最も多い563人に上ったと発表された。累計は2352人となる。アメリカのトランプ大統領が感染拡大について「非常に厳しい2週間になる」と述べたことを受けて、1日のニューヨークダウの終値は前の日に比べて973㌦下落した(2日付・NHKニュースWeb版)。

⇒2日(木)朝・金沢の天気   あめ

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★欧州クラスターに付け入る中国の思惑

2020年04月01日 | ⇒ニュース走査

   日本のメディアもさることながら、アメリカやヨーロップのメデアィアは新型コロナウイルスのニュースであふれている。31日付のCNNは、フロリダ州で外出禁止令の中で礼拝を続けた牧師が逮捕されたといった、社会や政治経済の動きを細かに報じている。イギリスBBCのWeb版をチェックすると、国際問題になるようなニュースが掲載されていた。   

  「Coronavirus: Countries reject Chinese-made equipment」(国々は中国製の機器を拒否している)=写真=。記事によると、オランダ保健省は、中国製のマスク60万枚をリコールしたと発表した。マスクは品質認証を受けているにもかかわらず、しっかりと装着できず、フィルターも機能していないと説明している。中国メーカーから直接購入したもので、すでに治療に当たる医療現場に送られていた。

   検査キットについても問題が起きている。スペイン政府は数十万個のウイルス検査キットを中国の企業から購入したが、そのうち60万個近くで正確な検査ができないことが判明した。在スペイン中国領事館は、この検査キットを販売した中国のバイオ関連企業は保健当局から認可を得ていなかったとツイッターで説明した。トルコ政府も、中国企業に注文した検査キットに欠陥のあるものが見つかったと発表した。

  BBCはEU外務・安全保障政策代表がブログで述べたコメントを紹介している。「“China is aggressively pushing the message that, unlike the US, it is a responsible and reliable partner,” he wrote. "Armed with facts, we need to defend Europe against its detractors."」(意訳:「中国は、アメリカとは異なり、責任ある信頼できるパートナーであるというメッセージを盛んに送ってきている」「事実を武器に、中傷者からヨーロッパを守らなくてはならない」)

   感染拡大が続くヨーロッパでは、中国がパンデミックを政治的影響力として使っていると批判が出始めているようだ。

⇒1日(水)午後・金沢の天気    あめ

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